ウクライナのサイバー戦争 の商品レビュー
現代の戦争の実態を多くの事例を基礎に、あまり報道で出てこない部分を含めて解説している好著だ.ロシアのウクライナ侵攻(2022.2.24)はクリミア併合(2014.2.23)を踏まえて考察していく必要があると思っていたが、ウクライナ自体ロシアのサイバー攻撃に初めて直面し、その後対応...
現代の戦争の実態を多くの事例を基礎に、あまり報道で出てこない部分を含めて解説している好著だ.ロシアのウクライナ侵攻(2022.2.24)はクリミア併合(2014.2.23)を踏まえて考察していく必要があると思っていたが、ウクライナ自体ロシアのサイバー攻撃に初めて直面し、その後対応策を確実に進めてきたことが詳述されていた.軍事侵攻に関して火力による攻撃よりサイバー攻撃の方が今後重点を置いた作戦になることが確実になってきた状況を踏まえて我が国でも国家安全保障戦略が2022年12月に策定されたが、その中に「サイバー攻撃への能動的サイバー防御」という項目が盛り込まれた由だが、国会やマスコミからその点についての関心が薄い感じがしている.由々しきことだと認識している.
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・日本も官民が連携してサイバーセキュリティを高めるべき ・日本の強みを発信して国際協力を得られるようにする ・戦争前に日本人がどれだけサイバーセキュリティに危機感を持てるかが大切
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SEの端くれとしては胃が痛くなる話満載で、非常に身が引き締まりました。 やはり、レジリエンスが大切だと痛感。 インフラ企業の技術者達が実務で戦場の最前線を支えている話は、本当に胸が熱くなります。 今年こそはセキュリティの勉強がんばろう…。
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ウクライナは粘り強くロシアのサイバー攻撃、その他のほか攻撃に耐えている。 クリミア併合などでのロシアからのサイバー攻撃に対する教訓を得て、インターネット事業者は分散、抗堪性を意識して、ネットワーク容量増加、データベースのバックアップ、重要機器の物理的移動をしてきた。 結果としてロ...
ウクライナは粘り強くロシアのサイバー攻撃、その他のほか攻撃に耐えている。 クリミア併合などでのロシアからのサイバー攻撃に対する教訓を得て、インターネット事業者は分散、抗堪性を意識して、ネットワーク容量増加、データベースのバックアップ、重要機器の物理的移動をしてきた。 結果としてロシアからの攻撃にサイバー戦では互角に戦っている。 国内での官民連携、米軍からの支援、海外民間企業の支援なども得ることで高度なサイバー戦対応ができている。 ロシアは決してサイバー戦のみでは成功していない。 一方で、ロシア自身もサイバー空間だけで戦争を評価しないだろう。 サイバー攻撃は厭戦気分を高めること、相手の機能やパフォーマンスを低下させることなど、目的は様々だが、他の攻撃手段を含めた累積効果で評価されるだろう。 日本は安保3文書で能動的サイバー防御を言及している。 官民連携、サイバーと他領域の連携、国際協力の拡大がさらに必要。 自衛隊だけでは日本のサイバー空間は絶対に守れない。 サイバー空間はサイバー空間だけで成り立っていない。影響は実際の空間にも及ぼすし、サイバー空間は物理的なインフラの上に成り立っている。 努力なしに国際協力は得られない。民主国家が少数派になる傾向にも気をつけないといけない。
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報道ではミサイルや戦車、ドローンといった実弾系による戦争の状況が伝えられることが多い。本書はサイバー攻撃という観点でウクライナ戦争を俯瞰する。どちらかというと、サイバー攻撃に詳しくない人が、サイバー空間での戦争ってどういうものなのかを理解するのに役立つと思う。逆に、セキュリティに...
報道ではミサイルや戦車、ドローンといった実弾系による戦争の状況が伝えられることが多い。本書はサイバー攻撃という観点でウクライナ戦争を俯瞰する。どちらかというと、サイバー攻撃に詳しくない人が、サイバー空間での戦争ってどういうものなのかを理解するのに役立つと思う。逆に、セキュリティに詳しい人は知っていることなども多く、オープンな情報をまとめた感じがして物足りないかもしれない。新書らしく、現状をさくっと知る読み方をすべきで、そういう意味では、ウクライナ戦争の真っただ中の今でこそ読むべき本なのだろう。
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表題のテーマを概観を把握するにはとてもいい本。安全保障の世界は男性社会のイメージが強いだけに、著者のような女性の論客によるメディアでの発信が多くなってくる予感。 ウクライナの通信事業者の技術者たちが戦闘地域に残り、ネットワークの修復・維持活動をしている、という事実に驚愕。
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ウクライナ侵攻のある種の影の部分としてのサイバー戦争は、いくらか通信の異常という形で仄聞することもあったように思うが それらの具体的な事案について、クリミア紛争からの経緯と教訓の元、サイバー領域でのしのぎを削る争いがいかに現在進行系で繰り広げられているか手を変え品を変え取り上げて...
ウクライナ侵攻のある種の影の部分としてのサイバー戦争は、いくらか通信の異常という形で仄聞することもあったように思うが それらの具体的な事案について、クリミア紛争からの経緯と教訓の元、サイバー領域でのしのぎを削る争いがいかに現在進行系で繰り広げられているか手を変え品を変え取り上げている。 事実とその背後に潜む不可視の部分に対する推測を羅列するだけでも新書の紙幅の限りでは厳しい部分もあるため、淡々と出来事を連ねている記述にも感じられるかもしれないが、それこそが斯様な客観的な事実認識が必要となる領野での基礎たる視野のあり方とも思える。
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<目次> はじめに 第1章クリミア併合から得た教訓 第2章サイバー戦の予兆:2021秋~2022/2 第3章サイバー戦の始まり:軍事進攻前日~2022/6 第4章重要インフラ企業の戦い 第5章ロシアは失敗したのか 第6章発信力で勝ち取った国際支援 第7章ハッカー集団も続々参戦 第...
<目次> はじめに 第1章クリミア併合から得た教訓 第2章サイバー戦の予兆:2021秋~2022/2 第3章サイバー戦の始まり:軍事進攻前日~2022/6 第4章重要インフラ企業の戦い 第5章ロシアは失敗したのか 第6章発信力で勝ち取った国際支援 第7章ハッカー集団も続々参戦 第8章細り続けるロシアのサイバー人材 第9章台湾有事への影響 おわりに日本は何をすべきか 謝辞 P204日本が今すぐ取るべき行動、3つ ①日本一丸となってのサイバー防御能力の強化 ②サイバー演習と多領域の演習の両方を官民で行う ③国際協力を拡大・深化さす 2023/8/20発行 虎ノ門ニュースに、2023/8/25に出演した、松原美穂子氏の著作。松原氏は、自衛隊からNTTチーフサイバーセキュリティ・ストラテジスト。 疑問点 ・ウクライナから日本は学んで、情報の共有はできているのか ・その情報を元に、日本は対応しているのか ・民間の重要インフラ(原発など発電所、電気、ガス、水道、鉄道、運輸、港湾、等)の情報セキュリティには 国が関与しなくていいのか? 構成と文章がいまいち。外注のライターが書いた? これらをもっとちゃんとして書けば、もっと売れるし、 社会に影響を与えることのできる内容なのに、残念である。
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知らない事については、それを解説するような内容の本を読むのが善いと思う。本書は「サイバー戦争」という事柄に関して、関連分野に纏わる現今のウクライナの状況を引きながら説くという内容である。 「サイバー」とでも言われると、夥しい数のコンピュータと広く張り巡らされたネットワークというよ...
知らない事については、それを解説するような内容の本を読むのが善いと思う。本書は「サイバー戦争」という事柄に関して、関連分野に纏わる現今のウクライナの状況を引きながら説くという内容である。 「サイバー」とでも言われると、夥しい数のコンピュータと広く張り巡らされたネットワークというようなことを思い浮かべる。それらは生活を便利にしていて、何時の間にかそういう次元を通り越して社会を支えているとも言い得るのかもしれない。そういうモノに関して、通常の利用方法を逸脱して、不正に情報を抜き出す、機能を阻害する、“誘拐”のように大切な情報等をタネに脅迫、または騙して金品を奪うという「犯罪」というモノも見受けられる。それから更に踏み込めば、「戦争」というような目的でその「犯罪」と同様か似たようなことを行ってしまう、逆にそういう行為で損害を受けることから護ろうとする動きも出て来る。本書ではその「戦争」という話題を提供している。 「戦争」とでも言われると、陸海空軍(国によっては一部の部隊の戦力を独立軍種の扱いにしていて、他の〇〇軍というモノが在る場合も見受けられる)というような、装備品を備えた将兵が動き回るような様子、装甲戦闘車輛が走って、軍用機が飛び廻って、軍艦が航行し、砲弾が飛び交うような様を思い浮かべる。が、或る部屋にコンピュータ端末と向き合っている人達が在って、何やら端末を操作していて、やっていることが一般的なオフィスでの作業というようなことでもなく、「戦争」という世界が在る訳である。 近年は、「戦争」または「国際紛争」というようなモノに関して「ハイブリッド」という問題意識が在って、そういう問題意識も高まっていると思う。「戦争」とでも言われると思い浮かべるような軍事行動そのものに留まらず、広い意味での諜報活動を抱き合わせて、紛争の結果として得られるモノを得ようとする行動様式のことを指し示す概念だ。そういう中には、意図的に必ずしも正しくない情報で誘導を行うことや、何らかの混乱を引き起こそうとしてしまうというような、「サイバー」と呼ばれる分野の活動等が入り込んでいる。 現今の「ウクライナ」の問題に在っては、2022年の侵攻のかなり以前、2014年頃からこの「サイバー」という分野の動き、攻防が見受けられ、今でも続いている。既に、少なくても8年にもなってしまっているのだ。本書はそういう事柄に関して詳しく紹介している。 加えて、本書は問題提起も行っている。所謂「サイバー攻撃」というようなことでは、「ウクライナ」に関連して、ウクライナ支援を打ち出して色々と取組む国々を対象とする動きも見受けられるという。「対象」には日本も含まれている。更に、ウクライナを巡る動きを観て、別な地域間紛争ではその「戦訓」を採り入れるようなことをする人達迄現れてしまうかもしれない。 何れにしても、知らない事については、それを解説するような内容の本を読むのが善い。身近な「サイバー」の過ぎる程に意外な一面を知ることが叶うと思う。
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