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ウクライナ侵攻とグローバル・サウス の商品レビュー

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2023/10/13

 ウクライナ侵攻以降、世界は混乱に陥っている。これにより、西側諸国を中心にロシアを徹底的に非難する。その一方で、アジア、アフリカなどいわゆるグローバル・サウスでは、ロシアの対応がまるで違う。このように、世界は分断化が加速している。そこで本書はアフリカ諸国に焦点を当てることで、なぜ...

 ウクライナ侵攻以降、世界は混乱に陥っている。これにより、西側諸国を中心にロシアを徹底的に非難する。その一方で、アジア、アフリカなどいわゆるグローバル・サウスでは、ロシアの対応がまるで違う。このように、世界は分断化が加速している。そこで本書はアフリカ諸国に焦点を当てることで、なぜこれらの国々はロシアを非難せず、むしろ、ロシアに寄り添うのかを見ていく。  本書にあるように、ウクライナは世界有数の食糧生産国で、とりわけ穀物は世界五大輸出国と言われるほど重要である。これが、ウクライナ侵攻によって、生産力は低下して、そのうえロシアが黒海を封鎖した影響で、食糧の高騰をまねいた。なかでも甚大な影響を受けたのがアフリカである。アフリカ地域の多くが植民地時代により、パンを主食とする習慣が身についた。つまり、アフリカの多くの人々にとって小麦は欠かせない。しかし、先ほど述べたように、輸出入の停滞で、小麦の入手が困難となり、そのせいで餓死する人もいる。  それだけではない。過去の植民地支配から、近年では西側諸国を嫌悪する傾向が高まっている。実際、昨今では西アフリカを中心にクーデターが多発しており、親ロシア派の政権が誕生している。さらに、SNSの普及に伴い、西側諸国に関するデマが流されており、これまで以上に混沌とした状態である。そんな中、本書で紹介されたマリの政治家ボカリ・サガラのインタビューが印象深い。彼は、過激派対策が武力だけではないと説く。何よりも教育が重要で、その次に雇用が重要だという。

Posted byブクログ