幽霊になった侯爵夫人の最後の七日間 の商品レビュー
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まさかあの底抜けに前向きで明るいナターニアの性格そのものまで後々の伏線になろうとは。 しかも、決して阿呆の子ゆえの明るさではないんだよな、ナターニアのあの性格は。 後半、様々なことが分かってくると「そんなに笑ってなくていいんだよ、自分の好きにすればいいんだよ」と言ってあげたくなるという。 病弱な体ゆえ、侯爵と結婚していながら17歳の若さで亡くなったナターリア。 幽霊になって7日間で未練を晴らすのが目的だったはずが、段々と話が複雑な方向へ。 最初は7日後にはさっくり甦るか時間が巻き戻るのかと想像していたのだが、そういうことはなく(何しろ遺体はきっちり埋葬済みの頃に幽霊化した) 旦那様の再婚相手を見つけるなんて、予想斜め上すぎる未練解消のために奔走するコメディかと思いきや、あちらこちらに謎がちりばめられていて、シリアスな方向へと流れていくし。 病弱だったとはいえ、彼女が亡くなった直接の原因は? 侯爵様の本心は? ナターニアと侯爵様が交わした約束とは。 そして、ツッコミを入れつつもナターニアを見守る「お猫様」の正体は。 ある種ミステリのように細かく張り巡らされた伏線を回収していく後半には衝撃的な事実が飛び出して、もう本当に驚いたのなんの。 そこからは、涙なしには見られない展開がやってくるという。 勘弁してくれ、そういう展開は涙もろい自分にとても効く。 納得できる結末は、予想よりも大分先に。 でもそうだよな、病弱なまま甦ったところで大変だしな、とあの結末だったことに納得をした。 本編以降の話は、番外編で補完されているので、幸せな家族も見られて大満足だった。 本編前の話もあり、そのアネモネの件でまたぼろ泣きしたのだが。 旦那様の不器用さを思うと、本当に涙を禁じ得ない。 そして、またあの結末を思い出して「本当によかったねえ」とぼろ泣きするループに嵌るという。 勘弁してくれ。
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