弾左衛門と車善七 の商品レビュー
中世~近世の身分と職業の関係をなんとなく頭に入れたうえで本書を手に取れば、我が国の差別の発端がどこにあり、何が問題となっているのかということが、非常に理解できる。そして、個人のレベルで何をすべきかということを考えるきっかけも与えてくれる。私の場合は、過去にさかのぼって、差別の歴史...
中世~近世の身分と職業の関係をなんとなく頭に入れたうえで本書を手に取れば、我が国の差別の発端がどこにあり、何が問題となっているのかということが、非常に理解できる。そして、個人のレベルで何をすべきかということを考えるきっかけも与えてくれる。私の場合は、過去にさかのぼって、差別の歴史をしっかりと勉強したいと決意を新たにした。 差別する側が、「解放令後、もう差別は存在しないのだから、差別の話はしない」、「差別の話をすること自体が差別だ」といったところで、問題は解決しない。私が学校で受けた差別についての学習はまさにそれである。触らぬ神に祟りなし、ということを体現し、なんだかよくわからないままに”同和学習”が終了してしまった。 また残念なことに、日本の差別の芯の部分にある「穢れ」の思想は、過去のものではなく、現在も無意識のレベルで私たちに染みついてしまっている。 本書は差別してきた側の無意識を文字化しており、一方で差別されてきた側の過度な主張とも一定の距離を保っているため、その意味でも安心して読み進めることができる。
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