近代日本メディア史(Ⅰ) の商品レビュー
序 見えないメディアを見る方法 第1章 徳川政権とニュース・メディア 第2章 新政権のメディア政策と報道新聞の形成 第3章 「開化」の新聞紙発刊 第4章 上意下達メディアと下からの投書沸騰 第5章 政府の新聞政策のディレンマと新聞言論の形成 第6章 讒謗律・新聞紙条例の登場 第7...
序 見えないメディアを見る方法 第1章 徳川政権とニュース・メディア 第2章 新政権のメディア政策と報道新聞の形成 第3章 「開化」の新聞紙発刊 第4章 上意下達メディアと下からの投書沸騰 第5章 政府の新聞政策のディレンマと新聞言論の形成 第6章 讒謗律・新聞紙条例の登場 第7章 新聞活動の昂揚 第8章 一八八〇年代 メディアの変質 第9章 明治国家体制のなかのメディア 第10章 国家権力・新聞企業・言論
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昨年、2022年は毎日新聞がその前身、郵便報知新聞として誕生して150周年。1872年は鉄道が初めて走り、学校制度が開始された年であり、鉄道、教育、新聞という近代日本の基本フレームみたいなものが同時に生まれたことに感慨を持ちましたが、同時に鉄道というインフラも教育という制度も国家...
昨年、2022年は毎日新聞がその前身、郵便報知新聞として誕生して150周年。1872年は鉄道が初めて走り、学校制度が開始された年であり、鉄道、教育、新聞という近代日本の基本フレームみたいなものが同時に生まれたことに感慨を持ちましたが、同時に鉄道というインフラも教育という制度も国家が主導したところがあるのに対してジャーナリズムは国に対峙するところから生まれたのが違う、と勝手に思っていました。しかし、いきなり新政権が自ら「太政官日誌」という公的メディアをつくったところから明治のメディアの歴史が語られていて固定概念をひっくり返されてしまいました。もちろん前史としての幕末のメディアについても論じられています。まさに序で著者が宣言しているように「見えないメディアを見る方法」としてのメディア史、抜群に面白いです。人の欲望と権力の都合と社会の変化の細かい絡み合いが丁寧に簡潔に語られていてページを繰る手が止まりませんでした。日本の近代においてジャーナリズムという言葉を日本語に出来なかった理由もなんとなく理解できるような1868-1918までの上巻です。早く下巻読みたくてスピード上げて読了しましたが、新聞温故知新、もう一度ゆっくり読みたい本です。そうそう、この本、朝日新聞の書評欄の「著者に会いたい」というコーナーで「不都合な過去を直視する」という言葉に惹かれて手にした本ですが、この過去を見つめているメディアの人はどれくらい、いるのだろう?
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