「人新世」の惑星政治学 の商品レビュー
政治学・国際関係論の研究者による「人新世」についての本。 私の専攻?は、実は、政治学・国際関係論だったりするのだが、しばらくその分野への興味は薄れていた。が、この10年くらい国際政治に関心がまた向き始め、ウクライナ戦争、そしてパレスチナ戦争で絶望的な気持ちになるとともに、国際政...
政治学・国際関係論の研究者による「人新世」についての本。 私の専攻?は、実は、政治学・国際関係論だったりするのだが、しばらくその分野への興味は薄れていた。が、この10年くらい国際政治に関心がまた向き始め、ウクライナ戦争、そしてパレスチナ戦争で絶望的な気持ちになるとともに、国際政治について、考えざるを得ない感じになってきた。 そんな私が、国際関係論から離れていたときに、関心を持ってきたのは、フーコーとかのポスト構造主義の議論であったり、地球環境問題であったりした。 また、近年、興味関心を持って学んでいたのが、社会構成主義で、言語論的な人間関係へのアプローチ法があるわけだが、こちらの方も情動論的転回とか、物質論的転回なるものが起きているようだし(?)、持続可能性を考えるときに言語による社会的な意味の構成論にとどまるわけにもいかず、物質循環みたいなのを考えないと話しにならない感じになってきている。 そんなことを考えていたところ、著者は、まさにそういう議論を国際関係論のフィールドで展開しているわけで、興味深く読むことができた。興味関心が近そうな著者の議論は、納得感は高いものがあったし、なるほどフーコーの議論がそう繋がるんだね、みたいな面白さもあった。 著者の議論のスタートには、斎藤幸平さんのマルクスの再読による人新世における惑星の物質代謝の議論への批判がある。批判といっても、全面的な批判というより、資本主義の問題としての捉え方やそこにもまだある人間中心的な思考の乗り越えという感じかな。 国際関係論という最も「現実主義的」ともいえる分野において、こうした議論がなされることには、大きな意義があると思う。 一方、なんだか物足りなさみたいなものも感じている。 多分、面白いけどあっと驚くような議論の展開はなかったという感覚であったり、だからどうすればいいのかということへの具体的な提言的なものの薄さみたいなものかな? こうして議論の土俵ができたということが大事で、そんなことはこれからの話しであることは重々にわかっているのだが、つい、その先を求めてしまうわけである。 そこは、読者が考え始めるべきところで、そのための土台を整理してくれたことに感謝したい。
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古くからの友人の本。民主主義の在り方、そして、民主主義を含めた世界内(惑星内)存在としてのヒトの在り方について考えさせられる。SDGsのアヘン性を超えてポストSDGsに向かおうとするとき、OECDの言う、「エージェンシー」が世界内(惑星内)存在として妥当なのか。(妥当ではない)(...
古くからの友人の本。民主主義の在り方、そして、民主主義を含めた世界内(惑星内)存在としてのヒトの在り方について考えさせられる。SDGsのアヘン性を超えてポストSDGsに向かおうとするとき、OECDの言う、「エージェンシー」が世界内(惑星内)存在として妥当なのか。(妥当ではない)(T.N)
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