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わかる!ニーチェ の商品レビュー

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3件のお客様レビュー

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2024/08/13

「私は私自身だ。何より、私をほかの誰かと間違えないでくれ」ポストモダンの先駆者として見做されがちなニーチェ哲学を、科学的基礎を重視した自然主義哲学として解説している。ニーチェのアフォリズム満載な文章を明晰に解説しているので、本当に基本的な入門書として最適ではないだろうか。

Posted byブクログ

2024/03/22

24歳でバーゼル大学の教授に就任しながら体調不良で10年で辞職。1882年、代表作である「ツァラトゥストラはかく語りき」を発表した後、1889年に発狂、意思疎通が困難になり、55歳で肺炎で逝去。 ニーチェの挑発的な文体、神の死、超人、同じものの永遠回帰など、誤解したり利用されや...

24歳でバーゼル大学の教授に就任しながら体調不良で10年で辞職。1882年、代表作である「ツァラトゥストラはかく語りき」を発表した後、1889年に発狂、意思疎通が困難になり、55歳で肺炎で逝去。 ニーチェの挑発的な文体、神の死、超人、同じものの永遠回帰など、誤解したり利用されやすい格言が右翼運動に担がれた。ニーチェ自身は、ドイツ国家主義も反ユダヤ主義も否定的だったが、やがて、ナチ党の公式哲学者として知られるようになる。生前は決して恵まれた人生では無かったが、死後評価が高まった。しかし、ナチ党との関係でいまだに誤解が多い、悲運の天才。 ― あらゆる価値は人間が創造したもの。本質的に人間は価値評価をする生き物。私たちは皆、永遠に繰り返される、細部に至るまで全く同じ生を生きるという永遠回帰。 永遠回帰や生きている価値がないという事実に負けて無気力になるのではなく、まずその現実を直視し、自分の運命を愛する強いニヒリズム。カルヴァニズムにも通底するような運命論と、それを超越する超人という哲学。 人間には自由意志はなく、組み込まれた衝動の連鎖反応により存在するという思想。その衝動の連鎖は、永劫にループする。証明のしようが無いがそうした考えも成立するという事だろう。人間は自然因果の領域を超越しており自由に行為することができるとするカントの哲学に対置される。 狂気を辿る。子供の頃、自分以外の全ては統一された意識下の登場人物で、本当はこの世界の真の住人ではなく、実験用のモルモットである自分を取り巻く役者か何かだと感じた事があった。その頃、父の古漫画で手塚治虫のSFミックスに『赤の他人』という作品を読み、主人公が同様の妄想に取り憑かれ、不意に皿を割る事で役者を欺こうとするシーンに共感した事をよく覚えている。少し時が経ち、トゥルーマンショーという映画を見た。どれも彼我を極端に隔絶した妄想症、あるいはそれを利用した表現である。これを素朴実在論というのか、独我論というのか、哲学の領域においてもハッキリした呼び名は分からない。最近では映画にちなんでトゥルーマンショー妄想などという、精神障害に分類されるらしい。哲学と精神症は紙一重という事だろう。非日常に取り憑かれる不都合は、いつだって病人扱いで排除だ。 この世界がプログラミングされたものならば、スイッチを切ってリスタートすれば、自らの人生は永劫回帰する。誰が何のためにそんなことをするのかは分からない。回帰しないのかも知れない。しかし、個々の生物が何を思い、どのようにその生を終えようが、答えは得られない。深く考え続ければ、発狂するしかないのかもしれない。故に、死後の世界は信仰するしかないのだろうが、神が死んでは、信仰も無かったのだろう。つまり、ニーチェは、詰んでいたのかも。

Posted byブクログ

2023/09/04

「自然主義」者としてのニーチェ読解。「神の死」「超人」といった誤解されやすい概念について、最新の知見を交えながら分かりやすく、そして、誤解の少ない書き方がされている入門書として最良の一冊。

Posted byブクログ