終末のワルキューレ Special Edition(19) の商品レビュー
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第8回戦、ニコラ・テスラvsベルゼブブが、ついに決着!! プラズマを駆使するニコラ・テスラ、振動を操るベルゼブブ、両者のぶつかり合いは実に激しく、だからこその美しさがあった。 一つ上の戦いってのは、どれもそうだが、両者が勝つために、全力を出し、視力も尽くし、そして、命懸けで戦う姿は美しさだけが残るものだ。 そんな美しい戦いには、憎しみや恨みと言った負の感情はなく、自分の全部をぶつけさせてくれる相手への感謝、自分の本気を出せる喜び、何より、そんな素晴らしい相手にこそ勝ちたいって欲が詰まっていて、いつまでも観ていたくなる。 しかし、どんなものにも、終わりはやってくる。戦いであれば、勝ちと負けが決まる時だ。その時に、興奮は最高に達し、その直後にやってくる一瞬の虚無感は、妙に心地良いものだ。 激闘に辛勝したのは、ベルゼブブだった。 決して、ニコラ・テスラが弱かった訳じゃない。攻撃の組み立てを、彼が間違えてしまった訳でもない。実際、ベルゼブブ自身も、自分が、どうして、ニコラ・テスラに勝てたのか、を正しく理解できていないだろうな。美しい戦いの勝敗ってのは、大体、そういうものだ、と私は思っている。どうして勝てたのか、何で負けたのか、それが解らなくなるほどでなければ、戦いは美しくならない。そんな美しい戦いを魅せてくれた両者には、ただただ、感謝しかない。 わざわざ言うまでもないが、ニコラ・テスラの散り際、これも実に見(美)事だった。自分の力が及ばなかった悔しさを自覚した上で、自分に勝ったベルゼブブへの敬意を失わなかった。 英雄の定義は色々とあるだろうが、大事なのは、惜敗してしまった時に、次世代の者へ希望を残せるか、だ。見苦しい最期など迎えず、堂々と、己の生き方を貫いた事を誇り、なおかつ、前進せよ、と人類に魂から訴え、科学に希望を見い出した少年の時のような笑顔のままで逝ったニコラ・テスラは、本当にカッコよかった。そんな彼の最期を心に刻み、前に進む決意をより強めた人類は、やはり、弱くない。 これにて、勝敗は4:4の五分に戻った。その中で、気になるのは、やはり、ヒルデの言動。やはり、彼女が暗躍している理由には、一人の男が大きく関わってくるようだ。その男とは、ヘラクレスと同じく、半人半神であるジークフリート。英雄中の英雄と言っても過言じゃないジークフリートが、今後、ストーリーに、どんな波紋を生むのか、楽しみだ。 そして、続く第9回戦の対戦カードは、叛逆者の代表格たるレオニダス王vs神の中で最も美しいアポロン。レオニダス王は、何やら、アポロンに、とてつもない嫌悪感を抱いているようだけど、どんな戦いになるんだろうか。 この台詞を引用に選んだのは、ベルゼブブの、ニコラ・テスラを相手にした激闘に於ける覚悟と、ニコラ・テスラへの尊敬、感謝、そして、この素晴らしい男に勝ちたいって純粋な気持ちを感じ取れるものなので。 この台詞は、『呪術廻戦』の「死んで勝つと死んでも勝つは全然違うよ」(by五条悟)が刺さる人には、かなり、グッと来るんじゃないだろうか。 バトル漫画では、よく、命懸けって言葉が出てくる訳だが、これがそうだな、としみじみ実感できるベルゼブブの姿だった。 (リリス・・・!!頼む・・・止めないでくれ・・・!!僕は・・・僕は今・・・命を捨ててるんじゃない・・・命を懸けてるんだ・・・!!)(byベルゼブブ) もう一つ、グッと来た台詞を紹介。 これは、ニコラ・テスラのカッコ良さを、どシンプルに表現してくれている。 ある意味、昔も今も、そして、これからも、人間に必要なモノを教えてくれているんじゃないだろうか。 前に進む、言葉にすると簡単なようだけど、これが結構、難しいのは、私も承知している。 人間は、基本的には、弱い存在だ。 立ち止まってしまう事もあるし、後ろ向きな発想に囚われる時もある。 それは、決して、悪い事じゃない。 だが、人間は弱さの中に、強さを秘めている。 人間が、未だに種として滅んでいないのは、どんなに辛い事が起きても、その身に痛みや苦しみを負っても、希望を捨てずに、前に進み続けてきたからだ。そして、自分が受け取ったバトンを、次に託してきたからだ。 人間の強さとは、前進し、成長し、変化できる事なんだろう。 人間は、負け続けるようには出来ていないんだから。 「人類よ・・・顔をあげよ!!この闘いで、我々は、またひとつ、進化した!!我々が諦めぬかぎり・・・科学に・・・人類に・・・終末は、決して訪れない!!人類よ、前を向くんだ。人類よ、立ち止まるな・・・人類よ・・・人類よ・・・人類よ、前進せよ!!」(byニコラ・テスラ)
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