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パチンコ(下) の商品レビュー

4.5

19件のお客様レビュー

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2024/09/16

「1910年日本が大韓帝国を併合した。」 貧しい漁師夫婦に生まれた一人息子。年頃になり嫁に迎えた働き者のヤンジン。その一人娘ソンジャが主人公。 ソンジャが未婚の母になりかけた時に、結婚し救いだした牧師の夫イサク。二人はイサクの兄ヨセプを頼り大阪に渡る。 ソンジャの息子、ノアと...

「1910年日本が大韓帝国を併合した。」 貧しい漁師夫婦に生まれた一人息子。年頃になり嫁に迎えた働き者のヤンジン。その一人娘ソンジャが主人公。 ソンジャが未婚の母になりかけた時に、結婚し救いだした牧師の夫イサク。二人はイサクの兄ヨセプを頼り大阪に渡る。 ソンジャの息子、ノアとモーザス。ヨセプの妻キョンヒ。そしてノアの実父コ・ハンス。 ソンジャと彼ら、4世代にわたる在日コリアンの家族の物語。 懸命に働きに働いても楽にならない生活。差別と偏見。子供たちが生まれて幸せになったかと思うと、イサクの逮捕やヨセプの悲劇など、次々にどん底に落とされる。ソンジャの人生に入り込む形で喜んだり悲しんだりしつつ一気読み。 NHKの朝ドラ・アメリカのテレビドラマ、同様に途中で止めることはできない。アップルTV連続ドラマになるのも納得。 下巻になる頃にようやく、タイトル『パチンコ』を理解した。 著者の謝辞に記載された多くの方のお名前。構想から30年の歳月をかけた著者の熱い想いを感じた。

Posted byブクログ

2024/09/05

在日の友達がいる。在日3世の彼女は頭がよくてものすごく優しく、しかも美人、その上とっても面白い。今から30年くらい前、出会って数か月経った頃に、日本国籍ではないと知らされて、びっくりし、しかも反応に迷ったことを覚えている。「日本人じゃないんだ」「日本人だと思った」というのは失礼だ...

在日の友達がいる。在日3世の彼女は頭がよくてものすごく優しく、しかも美人、その上とっても面白い。今から30年くらい前、出会って数か月経った頃に、日本国籍ではないと知らされて、びっくりし、しかも反応に迷ったことを覚えている。「日本人じゃないんだ」「日本人だと思った」というのは失礼だし、「そうなんだ」だけだと冷たいかな…等々一瞬のうちに色々頭をよぎり、結局、「韓国語も話せるの?」と聞いた。当時は韓国についての情報もほとんどなく、私自身も無知だったけれど、在日の人を偏見の目で見て差別する人もいるということは知っていたので、ただ、私自身はそうではないということだけ伝えられたら良いなと思った。 彼女の実家もパチンコ屋を経営していた。パチンコ屋を経営することに対して私自身は何も思うことはない(騒々しい場所で働く人は大変だなとは思う)ので、職業差別の対象にもなっていたことに、「世間」とは本当に面倒くさいなと思ってしまった。大勢が遊びに行く場所を経営している人を差別するって、本末転倒というか…変なの。 とにかく、読んでいる間、友達のことや友達の家族のことが思い浮かんだ。彼女の家族もこんな苦労を経てきたのかなと思うと、なんだかやるせないし、友達が理不尽に傷つけられるのは、許せない。 私はなるべくフラットな目で、背景などではなく、その人自身を見て接することを心がけたい。

Posted byブクログ

2024/08/19

何世代にも続く在日コリアンのそれぞれの苦労が描かれていて、故郷とは血や系統か、それとも生きてきた場所で決まるのか...... 国の政治によって自分のアイデンティティが複雑になっていったんだなと思った。 下巻から、続きが気になって怒涛のように3日ほどで読み切った。 この本に出会え...

何世代にも続く在日コリアンのそれぞれの苦労が描かれていて、故郷とは血や系統か、それとも生きてきた場所で決まるのか...... 国の政治によって自分のアイデンティティが複雑になっていったんだなと思った。 下巻から、続きが気になって怒涛のように3日ほどで読み切った。 この本に出会えてよかったと思う。 在日コリアンの心のうちや、政治によって揺れるアイデンティティ、故郷とは何なのか、 知らなかったことがたくさんあった。

Posted byブクログ

2024/08/08
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

331頁 「とんだ食わせ者だったってこと。聞こえのいいことばかり並べてあなたを油断させた。面倒見のいい大学の先輩みたいなふり、あたなを“かわいい後輩”と思ってる芝居をした。ね、男子学生同士のそういうシステムって、いまもあるの?友愛会の先輩後輩の関係ってほんと気持ち悪い」フィービーはうんざりした表情で天井を見上げた。  ソロモンは呆然とした。三越百貨店の食堂街でカズと挨拶を交わしただけなのに、フィービーはソロモンとカズの関係全体をみごとに要約してみせた。なぜそんな芸当ができるのだろう。

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2024/07/15

時は1910年〜1989年、4世代にわたる在日コリアン一家の物語。 1ヶ月ほどかけて上下巻読了。上巻半ばくらいから、すっかりストーリーに入り込んでしまいました。 日本がしてきた差別について心を痛めながら読む物語と覚悟して読み始めましたが、ちょっと違いました。それ以上に、「1人の...

時は1910年〜1989年、4世代にわたる在日コリアン一家の物語。 1ヶ月ほどかけて上下巻読了。上巻半ばくらいから、すっかりストーリーに入り込んでしまいました。 日本がしてきた差別について心を痛めながら読む物語と覚悟して読み始めましたが、ちょっと違いました。それ以上に、「1人の人間として、与えられた環境下でどのような信念を持ってどう生きたいか」を考えさせられる本です。一方で、在日コリアンというルーツが理由で過酷な生活を強いられた人々がいた事実は物語の中でもしっかり描かれており、今まで目を背けていた歴史とも向き合うことができました。

Posted byブクログ

2024/06/17
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

久しぶりに骨太の名作に出会えた。 登場人物が自分の中で今も生きていてフィクションとは思えない読後感。 特に、読者を惹きつけるのはイサクとノア。善人に限って、というか善人だからこそその生涯をあのような形で終えなければならないあたり、悔しさや無力感を覚えた。

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2024/04/13

家族の物語。登場人物がみんな魅力的で、もっと読んでいたいと思った。山崎豊子ばりの読み応えでとにかく面白かった。(山崎豊子さんが好きなので)

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2024/02/17

アメリカの作者が、よくここまで調べて執筆したものだ、と驚き。訳も素晴らしい。もともと日本語で日本の作者が書いたと言われても違和感はない。 ストーリー自体も面白いが、史実としても知っておくべき(作品自体は創作)。 アメリカのKorea系が、生活や食、価値観を維持せず、言葉を維持して...

アメリカの作者が、よくここまで調べて執筆したものだ、と驚き。訳も素晴らしい。もともと日本語で日本の作者が書いたと言われても違和感はない。 ストーリー自体も面白いが、史実としても知っておくべき(作品自体は創作)。 アメリカのKorea系が、生活や食、価値観を維持せず、言葉を維持している一方、日本のKorea系の維持するものが逆であることに関心を持った。どちらが幸せなのか。日本人による酷い差別、アジアの特性なども関係するのだろう。

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2024/02/03

在日コリアン4世代の人生を描く超大作。 とくダネコメンテーターの三浦瑠麗さんが紹介してたもの。 最低限の生活しかできない当時の朝鮮人の民度の低さと人種差別が存在する日本での生活は読んでいて苦しかった。 家族がいる男を好きになってしまったソンジャは生涯苦しむことになるんだけど、...

在日コリアン4世代の人生を描く超大作。 とくダネコメンテーターの三浦瑠麗さんが紹介してたもの。 最低限の生活しかできない当時の朝鮮人の民度の低さと人種差別が存在する日本での生活は読んでいて苦しかった。 家族がいる男を好きになってしまったソンジャは生涯苦しむことになるんだけど、せめてもの救いは、ハンスがソンジャを本当に愛していたってこと。 真実を知ってしまったノアの末路は悲しすぎた

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2024/01/11

朝鮮をルーツに持つというだけで、日本ではこんなにも生きづらいとは想像以上だった。 日本で生まれ育ち朝鮮語も話せないのに、両親だって日本で生まれ育ってるのに、パスポートは韓国発行のものを持つらしい。14歳以降は定期的に外国人登録をしなければいけないらしい。20世紀の後半になっても日...

朝鮮をルーツに持つというだけで、日本ではこんなにも生きづらいとは想像以上だった。 日本で生まれ育ち朝鮮語も話せないのに、両親だって日本で生まれ育ってるのに、パスポートは韓国発行のものを持つらしい。14歳以降は定期的に外国人登録をしなければいけないらしい。20世紀の後半になっても日本の公務員にはなれなかったらしい。 アメリカの一流大学に留学卒業し、一流企業に勤め高収入を得る身分になってさえも「俺たちコリアンに誇れることなんてあるか」と卑屈な感情を持ち続けている。 日本人が知ろうとしてこなかった在日韓国人の苦しみや諦めを知ることができたのはとても良かった。 でも日本を糾弾する内容では決してない。 後半はソンジャたち一族がお金に困らない裕福な生活を送ることができたのが不幸中の幸い。

Posted byブクログ