進化が同性愛を用意した の商品レビュー
ジェンダーの生物学 https://www.sogensha.co.jp/productlist/detail?id=4673
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性自認と性的嗜好は遺伝的なものと環境的なものに由来することがあること、またそれは環境によってあっちこっちに変わる可能性があること、そもそも男女で二分されるものではなくスペクトラムなこと、性行為には繁殖以外の目的もあることを、人間以外の生物をたくさん例に挙げて説明してくれた。
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最初の方は生物的に同性愛はありふれたことに触れ、性が二極的でも決定論的でもないことを説明している。 「進化」って表題だが、進化的な論理はあまりない、ただ遺伝子に関する考察はあるし、自然淘汰に関する考え方は慎重に語られている。 また性淘汰の話と同じくらい、群淘汰に関する話もある。 ...
最初の方は生物的に同性愛はありふれたことに触れ、性が二極的でも決定論的でもないことを説明している。 「進化」って表題だが、進化的な論理はあまりない、ただ遺伝子に関する考察はあるし、自然淘汰に関する考え方は慎重に語られている。 また性淘汰の話と同じくらい、群淘汰に関する話もある。 ただ中盤頃から人に限って、歴史的あるいは宗教的な話になってきた。 後半はいわゆる発達障害にも言及している、ジェンダーも特性も多様性の一つとして、ネガティブな面だけでないこと、特に特定の分野において突出した人にはそのような傾向があったし、一面で見れば禅などもそのような状態を目指していることも書いている。
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知らなかったことを沢山知ることが出来ました。 生物学的視点だけではなく心理学や文化的な経緯など多面的にあつかっていて、同性愛について言葉は知っているけど詳しくは知らないという人にとって入門書的な役割も果たすと思います。ぜひ多くの人に読んで欲しいです。
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タイトルから、進化論的に同性愛をどう説明できるか、という内容を期待して読んだのだが、ジェンダー研究の歴史と現在の状況を描き、個々それぞれのジェンダー感の更新を促す本であった。わたしにとっては男女の性別は二項対立ではなくグラデーションを伴って変化していくものという意識がすでにあった...
タイトルから、進化論的に同性愛をどう説明できるか、という内容を期待して読んだのだが、ジェンダー研究の歴史と現在の状況を描き、個々それぞれのジェンダー感の更新を促す本であった。わたしにとっては男女の性別は二項対立ではなくグラデーションを伴って変化していくものという意識がすでにあったので半ば確認作業のような読書であったといえる。いまだに偏見を持っている人にはぜひ読んでいただきたい。
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年末年始休みに読もうと思ってた一冊目。ジェンダーの問題と生物学的な関わりを広範なテーマ(時間軸、地理的分布軸、動物種軸)から論じている。「性的マイノリティの存在は、遺伝子が自らを効率よく拡散させるために個体の行動を操作するはず、という前提に反するように見えるパラドックス」(「はじ...
年末年始休みに読もうと思ってた一冊目。ジェンダーの問題と生物学的な関わりを広範なテーマ(時間軸、地理的分布軸、動物種軸)から論じている。「性的マイノリティの存在は、遺伝子が自らを効率よく拡散させるために個体の行動を操作するはず、という前提に反するように見えるパラドックス」(「はじめに」より)という僕の疑問にも丁寧に答えてくれている。Part1タイトル「同性愛でいっぱいの地球」を読んで「えっ、答えはそんなシンプルなことなの!それ普通なことなの?」という驚きの連続でした。とてもお勧めの一冊です。
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ヒトはもともと両性愛的だし、同性との性行動はヒト以外の生き物にも“普遍的に”存在するし、性別は雌雄に二分できないと考える方が“自然”だし、ヒト以外でも性別とそれに付随する生殖行動が固定的なわけではないのでジェンダーと看做したほうが説明がつく、というような内容。 同性愛やトランス...
ヒトはもともと両性愛的だし、同性との性行動はヒト以外の生き物にも“普遍的に”存在するし、性別は雌雄に二分できないと考える方が“自然”だし、ヒト以外でも性別とそれに付随する生殖行動が固定的なわけではないのでジェンダーと看做したほうが説明がつく、というような内容。 同性愛やトランスジェンダーが排除されるのは、生殖が目的ではなくコミュニケーションとしての性行動を排除したい人たちがいるからで、それもナチスや優生学以降の話、というような。 Part4 ジェンダーの生物学、Part6 宗教戦争としてのホモフォビア・トランスフォビアは必読。 Part7の三島由紀夫と南方熊楠の話から始まる非定型発達と同性愛やトランスジェンダーの関連はいらないというか、他の脳の話題(三位一体脳ぽいとことか)やジェンダー関連セクシュアリティ関連用語の扱いと同じく不用意過ぎると思う。 性自認などただでさえ、一般と学術的な場で捉え方のギャップが大きく、それが差別的言説につながっているものを、さらに別の意味へ拡張したら余計に混乱を招くのでは。既存の用語ではなく、新しい呼び方も含めて提案すればいいのに。
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言説における、性別=生物学的性で変えられないもの 辞書的定義の間違い指摘することに役立つ。生物学的性という、「変えられなさ」が綻びを持ち揺らぎのあるものと認識することの、進化学・生物学からのバックアップが詰まった書籍である。そして、揺らぎや綻びがあることは、この生物学的性が、それ...
言説における、性別=生物学的性で変えられないもの 辞書的定義の間違い指摘することに役立つ。生物学的性という、「変えられなさ」が綻びを持ち揺らぎのあるものと認識することの、進化学・生物学からのバックアップが詰まった書籍である。そして、揺らぎや綻びがあることは、この生物学的性が、それ以外の言説によって規定され、辞書的意味を超えたパフォーマティブなものであることを示す。同時に、性別はジェンダー(社会文化的な性)することと深く結びつき、分かちがたい、だからこそ、生物学的性別に生まれたなら、そのらしさに当てはまれ(不当な事があってもそれを運命だと思って生きろ)という暴力性を容認することになる。生物学的な性別の定義の、不確実性と柔軟性に着目しパフォーマティブだと捉えることこそが、不当な出来事の批判に繋がる。
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基本的に生き物は両性愛であること、性別は完全にオスとメスの二つに分けられるものではなくグラデーションがあること、別の種類の生き物同士の性行為は特に珍しくないこと、など知らないことばかりで面白かった。両性と性行為をする生き物がこんなにいるとは。そして、同性との性行為はコミュニケーシ...
基本的に生き物は両性愛であること、性別は完全にオスとメスの二つに分けられるものではなくグラデーションがあること、別の種類の生き物同士の性行為は特に珍しくないこと、など知らないことばかりで面白かった。両性と性行為をする生き物がこんなにいるとは。そして、同性との性行為はコミュニケーションであるとの解釈にはなるほど、と思った。 昔は人間も、同性同士の性愛は世界的にありふれたものだった、12世紀まではキリスト教も同性愛は禁止しておらず男性同士の結婚も普通だったがイスラム教徒と対立しだしてから、イスラエル教徒(同性愛が盛んだった)と差別化するために同性愛が差別されるようになった、という話も面白かった。
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動物とヒトの性そのものから文化まで幅広い領域に触れている。性やジェンダーを、社会運動的文脈でなく自然科学的な研究対象として扱っている本は多くないように思うので、貴重な内容ではある。しかし動物行動学の分野を除いては、定説とはいえない様々な説まで広く言及しているため、学問として研究が...
動物とヒトの性そのものから文化まで幅広い領域に触れている。性やジェンダーを、社会運動的文脈でなく自然科学的な研究対象として扱っている本は多くないように思うので、貴重な内容ではある。しかし動物行動学の分野を除いては、定説とはいえない様々な説まで広く言及しているため、学問として研究が道半ばなのだなという印象を持った。 「心に性別はないのではないか」という疑問から本書を読むに至ったが、性別は二分的なものではないとの見解があることは参考になった。今後この分野の研究がさらに進むことを期待しつつ、他に同分野を扱っている書籍がないか探したい。
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