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無益な殺人未遂への想像上の反響 の商品レビュー

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2024/09/30

作品紹介・あらすじ ギリシャに形成されつつある新たなる迷宮。本書には、本格ミステリ、ノワール、警察小説など、各ジャンルのギリシャ・ミステリの精鋭たちの作品が収録されている。 回天するギリシャ・ミステリの世界へようこそ。 あなたは希望に胸膨らませた新人作家が大御所ミステリ作家の...

作品紹介・あらすじ ギリシャに形成されつつある新たなる迷宮。本書には、本格ミステリ、ノワール、警察小説など、各ジャンルのギリシャ・ミステリの精鋭たちの作品が収録されている。 回天するギリシャ・ミステリの世界へようこそ。 あなたは希望に胸膨らませた新人作家が大御所ミステリ作家のもとに持ち込んだ原稿を読む(「ギリシャ・ミステリ文学の将来」)。ナンシー・シナトラの曲が流れる中、ひとりの女と男の生涯を追体験する(「バン・バン!」)。現実とミステリの狭間をさまよう(表題作)。陽気な警官たちと観る、ブルース・スプリングスティーンのアテネ公演は最高だ(「《ボス》の警護」)。そして、最悪の愛が通りを駆け抜けてゆく――(「死ぬまで愛す」)。 二千年の時を経て、色合いを変え深度を増した迷宮が、あなたの前に扉を開く。 あなたはそこで怪物よりも不可解なものに遭遇するだろう。 混沌としたギリシャ・ミステリの謎に。 ***** ギリシャ人作家による15編の短編集。ギリシャ本国では「ギリシャの犯罪5」というタイトルで出版されていたアンソロジーとのこと。 うーん、正直あまり面白くはなかった。ミステリなんだけど、謎が解けた段階で、申し訳ないんだけれど「うーん、だから?」と思えてしまうような作品も少々。元々は「ボスの警備」という作品に興味があって購入したので、この本を手に取った動機自体が脆弱だったのだけれど。ちなみに「ボスの警備」はブルース・スプリングスティーンのコンサート警備を担当することになった犯罪捜査課の副主任の話。15編の中では他愛のない、微笑ましいくらいの作品。ブルースのファンだから読んでみたいと思った……ってのはやはり動機としては弱かったなとちょっと反省。

Posted byブクログ

2024/09/29

表題作を含む全15編のミステリ短編小説アンソロジー。もともとは『ギリシャの犯罪』という人気アンソロジーシリーズの第5巻に当たるものだそう。 SF傑作選はギリシャ語→英語→日本語の重訳でしたが、こちらは直でギリシャ語→日本語っぽい。 ミステリと聞いてパッと連想された「名探偵の華麗...

表題作を含む全15編のミステリ短編小説アンソロジー。もともとは『ギリシャの犯罪』という人気アンソロジーシリーズの第5巻に当たるものだそう。 SF傑作選はギリシャ語→英語→日本語の重訳でしたが、こちらは直でギリシャ語→日本語っぽい。 ミステリと聞いてパッと連想された「名探偵の華麗な解決劇」といった作品は少なく、犯人の視点に立った犯罪小説が多く収録されている印象。どれも1967〜74年の軍事独裁政権時代や2010年代の財政危機。移民、環境問題などに端を発しており、自国に対する息苦しさや無力感を漂わせる作品も多い。しかし、それでも中にはギリシャに対する希望や祈りを込めた作品も見られ、深い一冊であると感じた。 巻末解説のギリシャミステリ史の概要も、とても興味深かった。文庫本にして1500円+税と、もはや少し前の単行本のような価格だけど……個人的には、やっぱり買ってよかった、と心から思った。

Posted byブクログ

2023/07/24

本国で『ギリシャの犯罪5』というタイトルで出た アンソロジーの邦訳。 収録作は15編。 アンドレアス・アポストリディス  「町を覆う恐怖と罪――セルヴェサキス事件」 ネオクリス・ガラノプロス  「ギリシャ・ミステリ文学の将来」 ティティナ・ダネリ  「最後のボタン」 ヴァシリス...

本国で『ギリシャの犯罪5』というタイトルで出た アンソロジーの邦訳。 収録作は15編。 アンドレアス・アポストリディス  「町を覆う恐怖と罪――セルヴェサキス事件」 ネオクリス・ガラノプロス  「ギリシャ・ミステリ文学の将来」 ティティナ・ダネリ  「最後のボタン」 ヴァシリス・ダネリス  「バン・バン!」 サノス・ドラグミス  「死せる時」 アシナ・カクリ  「善良な人間」 コスタス・Th・カルフォプロス  「さよなら、スーラ。または美しき始まりは殺しで終わる」 イエロニモス・リカリス  「無益な殺人未遂への想像上の反響」 ペトロス・マルカリス  「三人の騎士」 テフクロス・ミハイリディス  「双子素数」 コスタス・ムズラキス  「冷蔵庫」 ヒルダ・パパディミトリウ  「《ボス》の警護」 マルレナ・ポリトプル  「死への願い」 ヤニス・ランゴス  「死ぬまで愛す――ある愛の物語の一コマ――」 フィリポス・フィリプ  「ゲーテ・インスティトゥートの死」 いわゆるミステリ好きの人が謎解きを期待して読むと 肩透かしを食ってしまいそうな、 掴みどころのない話が中心……のような気がする。 推理やサスペンスより ノワール(犯罪小説)という言葉で括った方が ピンと来そうな趣き。 ギリシャ危機(2009年に発覚した経済危機)や 移民問題が隈々に影を落としているらしい。 面白かったのは“半分くらい叙述トリック”風な 「死せる時」と、 サッカー八百長問題が絡んだ「双子素数」。 ※後でもう少し細かい話をブログに綴る予定。  https://fukagawa-natsumi.hatenablog.com/

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