人を動かすナラティブ の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
昨今、よく耳にする「ナラティブ」。 前々から気になっていた一冊を、ようやく読めた(買って1年近く手を出せずに置いてた)。 学びは多岐にわたり、非常に興味ある内容だった。 主な主張は第一章を読めば分かるかな。 いや、本書の主旨より、そこでインタビューされる養老孟司さんの言葉、その主旨が重要か。 「ナラティブというのは、我々の脳が持っているほとんど唯一の形式じゃないかと思うんですね」 そして名著『バカの壁』にある以下の記述も引用されている。 “ 脳内には「一次方程式がある」と説いた。 人間は五感から入力した情報(x)をいったん脳内で回し、運動系で出力(y)して行動に移す。それを方程式に表すと「y(出力)= a(係数)x x(入力)」。「a」は変化する数値、つまり係数で、それぞれの個人が持つ「現実の重み」なのだという。“ 要は、人心を操るナラティブ、それを駆使する集団は、その係数をいかに自分に都合の良いものにしていくかを考えて、テを変えシナを変えて、我々にアプローチしてくるという話を、後段にかけて、縷々と綴っていく。 古くは、民族につたわる神話や民話。そして、現代はSNSを駆使し、しかも、人の脆弱性につけ込んで、上記の「a」(変数)を、発信者側に都合いいように「下地」を作ることからはじめるという周到さが不気味だ。 「デジタル時代の昨今においては、カルト教団や詐欺師が勧誘対象者にやってきたような「聞き取り」は、SNSに公開されている「いいね」の大量分析で可能だ。あとはそれをもとに、特定の標的に刺さるであろう「だましのナラティブ」を生成してSNSに流し、標的に被爆させるだけだ。」 その実例が、2016年には英国のEU離脱、ブレグジットだし、先の米大統領選ではトランプ氏の勝利を後押ししたナラティブ戦略があったと本書は分析する(というか、ケンブリッジ・アナリティカという企業が行った所業を暴露した著書の分析を紹介している)。 本書そのものの分析より、養老さんの著書などのように、あれやこれやの書籍や関係者の証言、意見の引用が多い。新聞記者の記す著書らしいとも言える一冊。
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ナラティブ というと、仕事柄、「業務記述書」なんて無機質な言葉に変換していたが、ここでの意味は本来の「語り」「物語」を網羅したもの。 そしてこのナラティブが力を持っていることを、事例を挙げて紹介してくれている。 特に印象深いのが伊藤詩織さん。安倍首相のお友達のTBSの関係者にレイ...
ナラティブ というと、仕事柄、「業務記述書」なんて無機質な言葉に変換していたが、ここでの意味は本来の「語り」「物語」を網羅したもの。 そしてこのナラティブが力を持っていることを、事例を挙げて紹介してくれている。 特に印象深いのが伊藤詩織さん。安倍首相のお友達のTBSの関係者にレイプされ、 泣き寝入りも考えたが、自分の可愛い妹のために立ち上がったと。 自分より弱く、マスコミにもいない妹がこんな目に合ったらどうしようもない、 であれば自分は闘う!と決めたと。 そのナラティブに力がないわけがない。 自衛隊五ノ井さんの例も出ていた。ここの記述はすくなかったが。 二世信者、小川さゆりさんも。 その人の言葉で語ることのパワーの大きさ。 むろん、最初はなかなか通じない。訓練が必要。それは立花隆さんが語っている。 そして読書。想像力を高める効果のある読書は、ナラティブに有効だ。 自分も次世代に何かを残したいと思う。そのためにはナラティブを信じよう。
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ナラティブを題材にジャーナリストが書いた一冊。個人への取材かと思ったら後半は科学的な考察へ。ただ、主観と科学的が混ざってるのが読み手として気をつけないといけないかな。それもまたナラティブなんだろうけども。
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人間が唯一理解できる形式がナラティブであり、それは人を操る道具にもなるというのはよく言われます。 ナラティブを理解をするのは脳で有り、5章の脳神経科学とナラティブの関係はかなり面白かったです。まだまだプリミティブな印象ながら興味深い発見はこれからも続くと思われます。ただ、そうい...
人間が唯一理解できる形式がナラティブであり、それは人を操る道具にもなるというのはよく言われます。 ナラティブを理解をするのは脳で有り、5章の脳神経科学とナラティブの関係はかなり面白かったです。まだまだプリミティブな印象ながら興味深い発見はこれからも続くと思われます。ただ、そういった発見もダークな方にもどんどん使われるのでしょうか?多分そうなんでしょうね、残念ながら。
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嘘か本当かわからない情報にあふれ、様々な問題が複雑に絡まり合い、寄りかかれる先が少なくなってしまったこの時代に、ナラティブが自分たちの周りに溢れていて、良くも悪くも大きな影響を与え得るということを、様々な事例を通して分かりやすく教えてくれる。 ナラティブについて認識してこの世界...
嘘か本当かわからない情報にあふれ、様々な問題が複雑に絡まり合い、寄りかかれる先が少なくなってしまったこの時代に、ナラティブが自分たちの周りに溢れていて、良くも悪くも大きな影響を与え得るということを、様々な事例を通して分かりやすく教えてくれる。 ナラティブについて認識してこの世界を見ること、知らずにこの世界を見るのではまるで違う。 この世界の"なんでだろう?"を理解する糸口でもあり、情報兵器にもなり得るもの。 過激派テロ、米大統領選、性被害、旧統一協会、ナチス... 様々な事例をナラティブを軸に考えていくと、ものすごく理解が深まった。同時に、危険な思想に向かっていってしまう可能性はどこにでもあるのだと感じて少し怖くなった。 でも、イスラエル・パレスチナ遺族会の存在、 「相手も普通の人間なのだということが分かる。それだけでも意義があると思います」 これが希望だなと思った。 ナラティブが良い方向に活用される社会であってほしい。 それでも、情報兵器としてナラティブを利用する人は確実にいるから、情報を受け取る私たちが、真偽の分からない造られたナラティブに安易に飛びつくのではなく、しっかり考えて向き合っていかないといけない。 私はしっかりネットに浸かった生活を送っているタイプなので気をつけないと…。 本書を読んでから、生活の中でナラティブを自然と探すようになってしまった笑 意識してみると本当にたくさんのナラティブに溢れていて、その中でも印象的だったのは運転免許証更新の講習。講習ビデオ冒頭に事故被害者遺族の語りがあった。あ、これもナラティブだなと。実際、冒頭にその語りがあったことでその後の内容を自分ごととしてより注意して視聴できた感覚があった。 なるほど、自分は確かにナラティブの影響をしっかり受けてる。
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会社の素敵Guyおすすめの書で、この本の内容への興味からというよりは、おすすめしている人への興味から読んだのだが、めっちゃくちゃおもしろかった! 大変な良書。さすが素敵Guy。素敵すぎて目がハートになったわ!(ま、彼の前ではいつもなんだけど) 忙し過ぎて感想を書く暇がなく、読ん...
会社の素敵Guyおすすめの書で、この本の内容への興味からというよりは、おすすめしている人への興味から読んだのだが、めっちゃくちゃおもしろかった! 大変な良書。さすが素敵Guy。素敵すぎて目がハートになったわ!(ま、彼の前ではいつもなんだけど) 忙し過ぎて感想を書く暇がなく、読んでから時間がたっているので、忘れちゃっている部分もあるのだけど、この本は一つだけじゃなく、複数の違うテーマを扱っていた気がする。(例によって図書館本なので、今、手元になく、記憶で書いているのだけど) 特に後半に書かれていたことは現代人が知っておいた方が良い「基礎知識」なんじゃないかなと思った。 あなたの個人情報が、あなたのアイデンティティが、あなたの感情が、どのようにネット上で発信され、それがどのように利用され、時には悪用され、時にはビッグデータとして力を持ち、世の中に大きく影響を与えていたりする。 善悪という二元論では語れない話で、個人では手に負えないという意味で、恐ろしいと思うと同時に、もはやインターネットやSNSがなくなることはないんだから、私たちは否が応でもこうしたシステムと付き合わなくてはならないんだなぁと思った。 こういうこと、学校で教えるべきことじゃないのかな。道徳とかのしょーもない時間を削って。このタイトルどおりの「人を動かすナラティブ」ってタイトルで。あるいはインターネットとの付き合い方、というテーマのクラスの一部でもよいかもしれない。 読んでからすっかり時間がたっていて、何がおもしろかったのか忘れちゃっていて、当時のメモを読み直したが、全部フレッシュにおもしろかった。そのうちのほんの一部をご紹介。 "そもそも私たちの脳には意識と無意識があり、この無意識が果たす役割が意外に大きいということだ。車の運転に喩えれば、意識が運転席にいて無意識が助手席にいると思われがちだが、現実には運転席にいるのが無意識で、意識は助手席に座っているに近いという。無意識が下した判断を、意識が「合理化する。意識が無意識より先じゃないっていうことは、毎日生きていると分かる。いつの間にか眠っているし、起きている」" "「いいね」の傾向を分析すると、高い確率でユーザーの性的指向や政治的思考、性格、幸福度、依存傾向、家庭環境、信仰などが一定程度予測できることが分かった。彼らはその結果を2013年発表の論文「個人の性格と属性は、人間のデジタル上の行動記録から予測可能」で報告した。 またスティルウィル氏らは別の論文「コンピューターは人格分析で人間を追い越した」で、ある人のFBの「いいね」を10個分析するとその人の職場の同僚より、150個でその家族より、300個で配偶者より正確にその人の性格や嗜好、考え方を把握できるという実験結果を報告した。 この論文は世界の政治家、軍事関係者、広告関係者らに大きな意識革命をもたらした。「いいね」はユーザーの「アバター(分身)」そのものだとの認識を世界に広め、大衆心理の捜査をもくろむすべての関係者らがSNSに熱視線を向けるきっかけとなった。” "「昨今の紛争は、国際社会の支持を得るためのナラティブの戦いだ。国際社会はそれを踏まえたうえで、自分たちの判断が紛争当事国のナラティブに影響され過ぎないように気をつけなければならない。紛争当事者のうち、資源や力、さまざまなコネクションを持つものが高い道徳意識やモラルを維持しているとは限らない。紛争をしっかりと観察し、人権の侵害が行なわれていないかを監視し、どちらかの側について紛争をあおったりたきつけたりするのではなく、和平を結ぶ方法はないかと探求し続ける必要がある」。多くの教示を含んだ言葉である。" 最後の引用は、非常に含蓄に富んでいて素晴らしいですね。エネルギー問題やら地政学やら経済状況やらが絡んで大変に難しいけれど。 「いいね」を分析すれば性格が分かる、は、そうかもしれないなと思う。「いいね」をつける数が極端に少ない人(それは私もですが)も、「いいね」はつけないけどSNSに参加して発言しているあたり、何か一つの性格カテゴリを表現していそうだなーと思ったりもする。
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はじめに P7 私たちはナラティブに囲まれて生きている。 それにもかかわらず、ナラティブがいかなる力を持ち、私たちをなぜ、どのように動かすのか、そのメカニズムをほとんど知らない。 第1章:SNSで暴れるナラティブ P19 本書ではナラティブを次のように定義する。 「さまざまな経...
はじめに P7 私たちはナラティブに囲まれて生きている。 それにもかかわらず、ナラティブがいかなる力を持ち、私たちをなぜ、どのように動かすのか、そのメカニズムをほとんど知らない。 第1章:SNSで暴れるナラティブ P19 本書ではナラティブを次のように定義する。 「さまざまな経験や事象を過去や現在、未来といった時間軸で並べ、意味づけをしたり、他者との関わりの中で社会性を含んだりする表現」 おわりに P377 東京大学大学院総合文化研究科の言語脳科学者、酒井邦嘉教授によれば、脳には足りない情報を補う性質がある。情報を伝える手段には、「活字」「音声」「映像」などがあり、情報量が少ないほど、想像力はかきたてられるという。
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アメリカがTiktokに神経を尖らせる意味が少しわかった気がした。。。 多面的にナラティブを捉えているものの、筆者がジャーナリストということもあり、メディアリテラシー視点での学びが一番大きいように思われた。
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AIを使ってダーゲットを絞り込み、ばら撒きたい思想をSNSで拡散させるためのプロ集団いるという事実に驚く。 インターネットとの距離の取り方の参考になるため、義務教育で読ませたほうがいい。
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SNSをチェックすると、パレスチナ市民の置かれた悲惨な状況を報じる動画や証言と同時にイスラエル首相の顔や、世界中の大規模な停戦を求めるデモ映像がリアルタイムで流れてくる。近年は世界各地で異常気象や紛争が絶える事なく緊張状態が続いて(個人的な事情もあり)心身共にキツかったけれど、こ...
SNSをチェックすると、パレスチナ市民の置かれた悲惨な状況を報じる動画や証言と同時にイスラエル首相の顔や、世界中の大規模な停戦を求めるデモ映像がリアルタイムで流れてくる。近年は世界各地で異常気象や紛争が絶える事なく緊張状態が続いて(個人的な事情もあり)心身共にキツかったけれど、このタイミングで本書と出会ったことで心の整理ができたような気もする。人間の脳は簡単なほう、楽なほうに流れていきやすい。この事を意識するだけでもニュースを見る目が変わってくると思う。傾聴の力を再認識できたのも良かった。
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