おどるでく の商品レビュー
副題の<猫又伝奇集>をみて、妖怪の猫又かと思って読み始めた。妖怪らしきものも時々登場はするものの、この本のなかの猫又は架空の地名であり、冒頭に収められた『猫又拾遺』は、『遠野物語』形式の掌編集。ほかの短編もすべてこの架空の土地が舞台であり、それぞれの物語は登場人物やエピソードがリ...
副題の<猫又伝奇集>をみて、妖怪の猫又かと思って読み始めた。妖怪らしきものも時々登場はするものの、この本のなかの猫又は架空の地名であり、冒頭に収められた『猫又拾遺』は、『遠野物語』形式の掌編集。ほかの短編もすべてこの架空の土地が舞台であり、それぞれの物語は登場人物やエピソードがリンクしている。巻末には自作解題やインタビューがまとめられていて、作中に散りばめられている方言の半分以上は創作であると語られている。一方で実在した(する)人名や地名なども多用されており、虚実ないまぜの語りを目で聴いている気分になる読後感だった。
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芥川賞を受賞した表題作のほか17作と、解説や対談が収録された作品集でした。 実家でロシア文字で日本語が書かれた「ロシア字日記」を見つけた主人公が文中にあった「おどるでく」という謎の言葉についていろいろと思いを巡らす話でした。 5回読み直しましたが、最後までよく分かりませんでし...
芥川賞を受賞した表題作のほか17作と、解説や対談が収録された作品集でした。 実家でロシア文字で日本語が書かれた「ロシア字日記」を見つけた主人公が文中にあった「おどるでく」という謎の言葉についていろいろと思いを巡らす話でした。 5回読み直しましたが、最後までよく分かりませんでした。 そんな自分と、「おどるでく」という言葉がよく分からずいろいろと思いを巡らす主人公とが重なり、気づきました。 「あぁ、これは答えのないことについて、いろいろと思いを巡らすこと自体を楽しむ物語なんだな」ということを! 「えっ、どうゆうこと?」と、脳が疲れるくらい考えながら時間を過ごせるのが、純文学の醍醐味の一つなのかもしれませんね。 まぁ、私に読解力がないだけかもしれませんが……(笑)。 【追記】 その後、この本の沼にハマり、2か月間この本しか読めない日々が続きました。よくわからないから、いろいろと考えられる。実に深い小説でした。
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全然進まなくて、少しずつしか読めなくて、ものすごく時間がかかった。 中身はすごく興味深い(民俗学や言語学や色々な要素が詰まっている)のに、読んだ傍から読んだ文章が崩れていくような感覚。 一文が次に繋がっているようで繋がっていない感じ。意味というものが逃げていくような、不確かで曖昧...
全然進まなくて、少しずつしか読めなくて、ものすごく時間がかかった。 中身はすごく興味深い(民俗学や言語学や色々な要素が詰まっている)のに、読んだ傍から読んだ文章が崩れていくような感覚。 一文が次に繋がっているようで繋がっていない感じ。意味というものが逃げていくような、不確かで曖昧で捉えられないものに変わってしまうような感じ。 うまく伝えられないのだけれど。体験したことのない感覚だった。 個人的には「大字哀野」が非常に良かった。引用して紹介したい部分がたくさんあった。
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芥川賞史上最も難解な受賞作とされる伝説の表題作ほか、故郷・会津を舞台とした短篇を集成。文庫オリジナル。〈巻末エッセイ〉多和田葉子〈解説〉川口好美
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