朝鮮半島の歴史 の商品レビュー
近世の朝鮮半島史として、時系列で流れが把握出来、地勢学的な半島国家の悲哀とも言える朝貢外交や権力闘争に明け暮れる疲弊する内政問題などが端的にまとめられている。やはり現在の情勢を見る上で歴史認識は大事だと思う。
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14世紀終わりの李成桂による朝鮮王朝創始から、20世紀の朝鮮戦争までを扱った朝鮮通史。 日本の中等教育における「世界史」で「朝鮮」が採りあげられるのはそれこそ朝鮮戦争くらいで、「日本史」においても秀吉の朝鮮出兵、江戸時代の朝鮮通信使、明治期の征韓論や韓国併合などが部分的に登場す...
14世紀終わりの李成桂による朝鮮王朝創始から、20世紀の朝鮮戦争までを扱った朝鮮通史。 日本の中等教育における「世界史」で「朝鮮」が採りあげられるのはそれこそ朝鮮戦争くらいで、「日本史」においても秀吉の朝鮮出兵、江戸時代の朝鮮通信使、明治期の征韓論や韓国併合などが部分的に登場するくらいだろう。それ故、このように朝鮮半島を主体にして体系的に歴史を外観するのは新鮮な知的体験ではあった。 本著から受ける印象は、「おわりに」において著者が自ら記している以下の引用部が的確に言い当てている。 (以下引用) 朝鮮半島は、まるで二匹の蛇が絡み付くケーリュケイオン(ギリシア神話の神ヘルメスが持つ杖)のように、政争と外患が互いに引き寄せ合って螺旋構造を作り出し、きつく締め付けながら歴史を紡いできたように見える。 (引用ここまで) まさにサブタイトル通り「政争と外患の六百年」なのであり、それは21世紀の今にも通じていて、この先も永遠に続きそうに思えてくる。 まずは「政争」の側面。どの時代を切り取っても、権力闘争の繰り返し。政敵を徹底的に殲滅し、容赦のない残虐な粛清のオンパレードで、読んでいて嫌になってくる。これを読むと、今の北朝鮮・金正恩王朝の残虐性や、政権交代の度に前大統領が訴追され失脚させられる韓国の不毛な政治慣行が然もありなんと思えてくる。 そして、おそらくそんな「政争」の要因でもあり帰結でもあるのが「外患」。大陸の諸民族列強と日本列島に囲まれた地理条件ゆえに悲劇的なポジションから逃れられない地政学的運命には同情を禁じ得ない。 成立当初から明の属国としてのポジションを自ら引き受けて始まった朝鮮王朝。明が清に滅ぼされた後は宗主国を清に替え、日清戦争後の下関条約でようやく独立帝国となるが、10年余りで日本が保護国化した後に併合。第二次大戦終戦により日本の植民地統治は終わるが、米ソ対立と朝鮮国内の権力闘争から南北分裂する形で独立国家を樹立、朝鮮戦争を経て休戦状態のまま分断国家は固定化されるとともに南北対立は深刻の度を増している。 この通史の範囲において、日本は二度朝鮮半島に浸出している。一度目は豊臣秀吉の朝鮮出兵、二度目は明治期の保護国化からの併合。 秀吉の出兵は、全国統一の余勢を駆っての領土的野心をもってのものとされているが、明治政府の浸出は、海を隔てて接する半島を緩衝地帯とすべく近代化した友好国家を作ろうとした安全保障的意図が強かったものと認識している。21世紀の今となっては、韓国がそのポジションを引き受ける形となっていると言えるだろう。それはつまり韓国が東アジアのウクライナとなるリスクを孕んでいることなのかもしれない。
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第1章 朝鮮王朝の建国 第2章 華夷秩序の崩壊と朝鮮の危機 第3章 終わりなき政争と沈みゆく王朝 第4章 清・日本・ロシアの狭間で 第5章 朝鮮半島の分断
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韓国ドラマでは分からない「歴史の深層」と裏表紙に書いてある。 編集の方が描かれたんではないかと思うが、本当に、韓国ドラマでしかあの国を知らない人が読んだら、死んじゃうんじゃないか。 粛清とテロとクーデターの応酬のオンパレード。 「道徳的正当性」に基づいて、我こそ正義反するのは悪...
韓国ドラマでは分からない「歴史の深層」と裏表紙に書いてある。 編集の方が描かれたんではないかと思うが、本当に、韓国ドラマでしかあの国を知らない人が読んだら、死んじゃうんじゃないか。 粛清とテロとクーデターの応酬のオンパレード。 「道徳的正当性」に基づいて、我こそ正義反するのは悪の二分で、故に相手には何をしていいと言う潔さの反面、やってることは半径3メートルの政治と利権と権力への飢え。 ヤバくなったら外国に助けを乞い、そのお陰で一息つくと、その隙に急にオレ様オラオラに変わる。 地勢的にすんごい面倒なところであっちこっちに小突き回されて来たのは本当に「気の毒」で逞しいと思うのだが、平気でその周辺を翻弄愚弄して来たのも事実。 その逞しさの底に、浅ましさと、自分が生き残ること、正しい側につくこと「だけ」が蠢いているのが透ける。 独立だって、二度とも、自分たちでなく、外から与えてもらったもの。 自主性が発揮できなかった事実を直視できない。 明が滅んだ時の自我を保つための「小中華」思想がずーっと尾を引いてる感じがした。 戦後すら、言って仕舞えば、「国として独立できるレベルではない」と米ソに判断されてしまっている。 大体において、どの場面でも、二分されるどっちにも人がいるんだ。 で、当然どっちかが生き残るんだけど、そうすると大半の「庶民」たちは、実は俺たちもそうだったんだと勝ち馬に乗る。 自分たちは悪くない。本当は違ったんだ。 だから、そこで起きていたことは、どんな歴史であれ、事実であれ、無かったことにしてしまう。 これも事大か。 いろんな生き方があって然るべしだが、どうしたの、なんで信用してくれないのと言われても、ちょっとしんどい。 色々な事件が書いてあるのだが、みんなおんなじことの繰り返しで、誰が誰かさっぱり記憶に残らなかった。
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度重なる外敵の侵攻を受けながらも統一を維持してきた朝鮮半島が分断している現状は異例であるが、それと同時に、70年以上にわたって〈独立〉を維持していることもまた異例なのである。(272頁)通史であらためて、内政と周辺国との関係の変動を知って現在と未来を思う方法を必要に思いました。
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