コレモ日本語アルカ? の商品レビュー
金水敏著『コレモ日本語アルカ? : 異人のことばが生まれるとき (岩波現代文庫. 学術 ; 467)』(岩波書店) 2023.6発行 2023.9.18読了 本作は〈アルヨことば〉にスポットを当てた作になっている。 幕末〜明治期に、横浜の開港地で〈アリマスことば〉が用いられ...
金水敏著『コレモ日本語アルカ? : 異人のことばが生まれるとき (岩波現代文庫. 学術 ; 467)』(岩波書店) 2023.6発行 2023.9.18読了 本作は〈アルヨことば〉にスポットを当てた作になっている。 幕末〜明治期に、横浜の開港地で〈アリマスことば〉が用いられ、南京では中国人が〈アルヨことば〉を用いていたという。 フィクションで中国人にアル語法を使わせた最も古い例は宮沢賢治の「山男の四月」らしい。 南京で中国人が〈アルヨことば〉を用いていた例と宮沢賢治の「山男の四月」の間には時間的断絶があり、ここの経過までは本書では明らかにされていない。研究が進み、ここの経過が明らかになることを望む。 それにしても、満洲ピジンや抗日映画にまで話が展開していき、意外にもと言うか、やはりと言うべきか、偏見や差別意識もその背景にはあって、読む手が止まることができないほど面白かった。 URL:https://id.ndl.go.jp/bib/032832001
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最近では少なくなってきましたが、一昔前までは漫画やアニメでもおなじみだった、中国人のキャラクターが話す「〜アルヨ」「〜するヨロシ」といった言葉づかい。古くは宮沢賢治の童話の中でも使われています。しかし、ご存じの通り実際の中国人は、こんな話し方はしません。 本書は、そうした言葉づか...
最近では少なくなってきましたが、一昔前までは漫画やアニメでもおなじみだった、中国人のキャラクターが話す「〜アルヨ」「〜するヨロシ」といった言葉づかい。古くは宮沢賢治の童話の中でも使われています。しかし、ご存じの通り実際の中国人は、こんな話し方はしません。 本書は、そうした言葉づかいを〈アルヨ言葉〉と呼び、一体どのようにして〈アルヨ言葉〉は生まれ、また長年にわたり創作物の中で使われてきたのか。その歴史と変遷を、多くの外国人が日本を訪れはじめた頃の明治時代の横浜や、日本人と中国人が生活圏を同じくしていた戦前の満洲などに遡りながら考察した一冊は、日本人と外国人が出会う境界の場所や時代をめぐる冒険でもあります。
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