竈稲荷の猫 の商品レビュー
三味線職人の話である。 毎度の佐伯泰英氏の剣豪小説とは、少し変わっている。 わが母もお茶の師範免状と共に、三味線も家にあった。 ツルトテトルトテトッピンシャン……と、楽譜無しで、教わったと、幼き日に聞いたけど、撥をあててる母を覚えが薄い。 そんな三味線、実家の何処かにあるの...
三味線職人の話である。 毎度の佐伯泰英氏の剣豪小説とは、少し変わっている。 わが母もお茶の師範免状と共に、三味線も家にあった。 ツルトテトルトテトッピンシャン……と、楽譜無しで、教わったと、幼き日に聞いたけど、撥をあててる母を覚えが薄い。 そんな三味線、実家の何処かにあるのだろうけど…… 三味線製作が、こんなにも大変だと、思いもよらず、読み始めた。 三味線の袋も、粋な朱色の花柄だったことしか覚えていないけど、…… 三味線の皮に猫のオスのお腹側を使う事から、竈横丁の稲荷神社の黒猫が登場する。 ちょっとやんちゃぽい15歳の小夏の登場で、雰囲気が、和む。 7年の修行で、出来上がった善次郎の花梨の三味線。 苦労の末、製作に成功して良かったと思うのと、若い二人の未来が、続いて行く終わり方で良かった!
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単発の書き下ろしで、三味線職人の成長物語。 タイトルの「竈稲荷の猫」は、稲荷神社に住み着く野良猫で代々(?)大事にされてきた猫。 三味線に貼る猫皮は黒猫のオスが最適とかで、今いる竈稲荷の猫も丁度その対象となり一騒動が起きる。 主人公の14歳の娘と三味線の棹だけ作る父親のもとに、弟...
単発の書き下ろしで、三味線職人の成長物語。 タイトルの「竈稲荷の猫」は、稲荷神社に住み着く野良猫で代々(?)大事にされてきた猫。 三味線に貼る猫皮は黒猫のオスが最適とかで、今いる竈稲荷の猫も丁度その対象となり一騒動が起きる。 主人公の14歳の娘と三味線の棹だけ作る父親のもとに、弟弟子の若い職人が親方から修行の為に派遣される。最高級の材料を元に、親方しかできない全行程を一人で作ることになった若い職人。 娘と竈稲荷の猫に励まされ、三味線の完成に取り組む。 この14歳の娘が何でもできるし、的確な助言も次々と行って行く。佐伯作品では強い女性が付き物。二人の恋の行方も娘が主導権を持っているようだ。 若干の騒動はあるものの、剣術の場面は少なく、市井の出来事を丹念に描いた作品。単発では「出絞と花かんざし」に近い職人もの。
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