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蚊が歴史をつくった の商品レビュー

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2024/09/02

蚊についてのとても面白い本。そう蚊だ。 蚊を舐めてはいけない、現在世界には110兆匹の蚊が生息し、毎年83万人が媒介する病気により命を落としている。蚊は、はるか昔より歴史の裏で暗躍してきた。 紀元前1323年エジプト、ツタンカーメンがマラリアで18歳で亡くなる。 紀元前500年...

蚊についてのとても面白い本。そう蚊だ。 蚊を舐めてはいけない、現在世界には110兆匹の蚊が生息し、毎年83万人が媒介する病気により命を落としている。蚊は、はるか昔より歴史の裏で暗躍してきた。 紀元前1323年エジプト、ツタンカーメンがマラリアで18歳で亡くなる。 紀元前500年、ペルシア戦争でマラリアに襲われたペルシア兵は全軍の40%を失う。 紀元前431年、アテネとスパルタが戦ったペロポネソス戦争でアテネの将軍ペリクレスは病死する。 紀元前323年、マケドニア王アレキサンドロス32歳で帰らぬ人となる。 ナポレオン、ジョージ・ワシントンなどなどこれでもかというくらいに、現代までの歴史上のエポックメイキング的なイベントで人間と蚊の壮絶な戦いを描いている。 人物だけではない、例えば、人気のコーヒー店スターバックと蚊の関係。一見、何?と思うが、1773年ボストン茶会事件に端を発するアメリカ人の紅茶からコーヒーへの切り替え。実は、コーヒーがマラリアの特効薬として広まり、現在、アメリカ人が世界の25%のコーヒーを消費している。その恩恵をスターバックスが被っているとのこと、ちょっと無理がある論法だが、トピックスとては面白い。 そんなかんなのお話が盛りだくさんある。本書は500ページを超える大著であり、よくもまあこんなに蚊に関わる歴史を調べましたねと脱帽してしまう。ボリュームはあるが、翻訳がよいせいか、文章は読みやすく、サクサクとストレスなく進む。 総じていうならば、蚊の生息する沼地などが戦場になった場合、兵士は間違いなく悲惨な運命をたどる。 また、農地開発等で同じく蚊の住処を浸食すると、これもまた悲劇が起こる。 体長わずか数センチの蚊に人類が翻弄された歴史を振り返ると、蚊は他に類を見ない最強の殺し屋であると改めて気づかされる。 たかが蚊と、蚊を侮ってはならない。

Posted byブクログ