北千島アイヌ民族の記録 の商品レビュー

加藤好男(著者)

2024/04/17

クリル人とは、千島列島の北方に位置する島の人々の呼び名であり、そこに暮らしていたのはアイヌであるらしい。クリルもアイヌ語のクリ（人間）からきている。ロシア人、日本は幕府の役人などによる、１８世紀後半からの記録である。
クリル諸島はロシアと日本とアイヌにとって時代ごとに陣取り合戦を繰り返し、現在はロシアのものになってしまった。国境という区切りのために、アイヌの人たちは翻弄され続けたが、戦争の時は、どちらの国にも都合のいいように使われた。
この本は、時代ごとに文献からクリル諸島におけるアイヌの記述を丹念に拾い上げた記録である。
北方領土、というのはクリル諸島の南端のみであり、北側には多くの島が点在しながらカムチャッカ半島へとつながっている。
時代がすすむにつれ、北方領土に暮らした人々の記述が増えていく。私が知るのは主にこのあたりのことであった。それ以前にもここには主にアイヌ民族の暮らしがあったことを教えてくれる。