企業文化をデザインする の商品レビュー
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20【なぜ、今カルチャーデザインなのか】 今までは「ヒト以外の要因」で企業の成長や成功を説明できた。日本であれば、高度経済成長期は上りのエスカレーターに乗っている状態だったので、他社よりも努力を積み重ねることで成功できる確率が上がった。また。他社よりも優れた製品さえ作れば、顧客は...
20【なぜ、今カルチャーデザインなのか】 今までは「ヒト以外の要因」で企業の成長や成功を説明できた。日本であれば、高度経済成長期は上りのエスカレーターに乗っている状態だったので、他社よりも努力を積み重ねることで成功できる確率が上がった。また。他社よりも優れた製品さえ作れば、顧客は選んでくれた。 さらに、インターネットによる情報革命は、競合他社の製品・サービスをリバースエンジニアリングすることを可能にし、その成功要因を高いか解像度で把握できるようになった。つまり、カルチャーのような曖昧なものを考えるのではなく、常に明確なものを扱うことに成功できた。 しかし、時間が経つにつれて、一定レベル以上に達した各社の商品やサービスのクオリティは、容易に差別できるものではなくなった。また、世界がVUCAと呼ばれる時代に突入し、企業経営の変数におけるVolatility(変動性)・Uncertainty(不確実性)・Complexity(複雑性)・Ambiguity(曖昧性)が高まった。 あらゆる事象を「明快で説明可能」な状態にすることのコストが高まっている。裏を返すと、「曖昧で説明不可能な物」を、そして「複雑なものを複雑なまま」に許容し、デザインすることが必要になっている。 32【起業カルチャーとは】 カルチャーデザインとは、その企業信じるもの、そして、それに基づき判断・行動することのすべて。 34 『サピエンス全史』の著者ユヴァル・ノア・ハラリは、数万年前に登場した人類の直接的な祖先である「ホモ・サピエンス」だけが圧倒的優位をもち、現在まで生き残れた理由は、彼らが「虚構を信じる能力」を持っていたからと論じている。 「虚構を信じる能力」とは、あるかないかは分からないものを空想し、それを信じることで「想像上の現実」を生み出す力のこと。この能力の獲得により、ホモ・サピエンスは、血縁や親密性のみでつながることができる群れの限界(おおむね150人まで=ダンバー数)を哺乳類として初めて突破し、何千・何万もの個体を束ねることに成功。 66 たとえ信じる神がいなくても、特定の価値観に傾倒し、一般常識からかけ離れた極端に厳格なルールを順守したり、熱狂的な行動を起こしたりする集団は、しばしば「宗教」にたとえられる。 国内企業で言えば、GMOインターネットグループで行われている「スピリットベンチャー宣言」の唱和が最たる例。定められた「教典」や「戒律」を唱和するという「儀式」は、まさに「宗教」といっても過言ではない。 81 あなたが経営者、マネージャーであっても、企業カルチャーを強化したいのであれば、メンバーの中から「濃い信者」を探し出すか育てるか、もしくは、自らが「濃い信者」となり、布教活動に努めましょう。 113 サイバーエージェントの採用の軸としている「素直でいい奴」とは、最低限度のカルチャーフィット要件。 135 企業カルチャーに対する経営戦略上のアプローチは、「すでにあるもの」を可視化し、深く理解し、より広め、自社が置かれている外部環境や事業戦略に合わせて調整したり、バランスをとったり、場合によっては外科手術を施したりする。 162 エゴが強く自分の成果を優先する人物(テイカー:奪う人)ではなく、組織や仲間に成果やエネルギーを与えることを優先する人物(ギバー:与える人)こそ、組織の感情デザインにおける最重要人物となる。 182 優れたカルチャーデザインとは、その企業の文化に根差した「勝てる組織カルチャーのデザイン」。そして、カルチャーはハイレベルな領域のデザインであり、日々の業務で大事になるには「行動」のデザイン。 つまり、本当に必要なのは「強いカルチャーを作る」ことよりも、「勝ち続けるための組織行動をデザインすること」。 258 頂上・・・ビジョン ルート・・・ミッション 態度・・・バリュー 275 「企業カルチャー」とは、「その企業の生き方」。
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企業文化については、自分の興味のある領域でもあるので、 ちょくちょくこういった本は読んでいます。 著者のことは全く知らなかったのですが、 主にスタートアップを中心に 人事畑で活躍されてきた方のようです。 この本一冊の中にぎゅーっとエッセンスが詰まっており、 自分はとても分かり...
企業文化については、自分の興味のある領域でもあるので、 ちょくちょくこういった本は読んでいます。 著者のことは全く知らなかったのですが、 主にスタートアップを中心に 人事畑で活躍されてきた方のようです。 この本一冊の中にぎゅーっとエッセンスが詰まっており、 自分はとても分かりやすい本だなと感じました。 各章の最後にまとめも載っており、 ここを読むだけでもこの本のあらすじは押さえられるでしょう。 以前にレビューした 「カルチャーモデル 最高の組織文化のつくり方」や 「だから僕たちは、組織を変えていける」と 扱うテーマは同じで、 解説のアプローチが異なるって感じでしょうか。 合わせて読むことをお勧めします。 ※カルチャーモデル 最高の組織文化のつくり方 https://booklog.jp/users/noguri/archives/1/4799326686#comment ※だから僕たちは、組織を変えていける https://booklog.jp/users/noguri/archives/1/4295406252#comment
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
企業カルチャーは企業の生き方。 採用や評価には企業カルチャーが色濃く反映される。 属人的なものだから、明文化しきれないところはカルチャーを体現する社員によって伝承されていく。 パフォーマンス=能力×やる気 やる気を高めるために、全社イベントなどのお祭りがあったり、日々のコミュニケーションは重要。
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■企業文化については色々と勉強しているが、著者のビジョン・ミッション・バリューの考え方とは合わず、個人的には違和感を感じたままの読書となった。 ■ヒトは程度の差こそあれ、基本的には「感情をエネルギーとする内燃機関」と考え、その内燃機関のエネルギーを最大化し、企業経営に活用するため...
■企業文化については色々と勉強しているが、著者のビジョン・ミッション・バリューの考え方とは合わず、個人的には違和感を感じたままの読書となった。 ■ヒトは程度の差こそあれ、基本的には「感情をエネルギーとする内燃機関」と考え、その内燃機関のエネルギーを最大化し、企業経営に活用するためにカルチャーデザインが必要、ということには賛成です。 ■ただ、ヒトは迷ったり悩んだりするものでもあり、そういう時に何に立ち返るのか、もデザインする必要があると感じている。
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企業文化の重要性が伝わる一冊。企業文化の重要性を認識するには良さそう。 一方で内容としては網羅的にする分、一つずつの事例などは簡単に触れられていてもう少し深堀りした内容も知りたかった。
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強い企業文化こそ、多くの人を惹きつけ、組織エネルギーの源泉になる。 当著は、定量的に測れない企業文化に輪郭を与え、デザインできるように解説している。 企業の生き方や滲み出る生きがいこそが「企業文化」。 「生きるために働く」ことが当たり前だった時代から、それぞれの人生において「働...
強い企業文化こそ、多くの人を惹きつけ、組織エネルギーの源泉になる。 当著は、定量的に測れない企業文化に輪郭を与え、デザインできるように解説している。 企業の生き方や滲み出る生きがいこそが「企業文化」。 「生きるために働く」ことが当たり前だった時代から、それぞれの人生において「働く意義とは何か」が問われている時代に変わったため、「WHY」に答えられることが大切。 優れたリーダーは、whyから始めて人々の行動を促す。Howからはじめないようカルチャーを整えるべし。 ・カルチャーはデザインされるべき人工物 ・企業文化をデザインするうえで肝要なのは、その企業が信じるもの、信じるものに基づき判断・行動できるよう考えること。 ・共感されるwhyの要素「本質的なこと」「唯一無二の原体験」「信念(まったく変わらない思い)」「社会的な大義がある」「魅力的なビジョン(夢)をもつ」 ・事業戦略にフィットするカルチャーを育むこと ・ミッションとバリューを用意すると採用があらゆる意味で楽になる 例:https://careers.mercari.com/jp/mission-values/ メルカリバリュー ・CEOの仕事は「ミッションを明確にして」「戦略を描いて」「優秀な人を採用する」 ・カルチャーを作るということが難しく感じるのであれば、「勝ち続けるための組織行動をデザインする」ことを考える。それをカルチャーに昇華できる ●やる気、前向きを育む人材がいる文化 ・パフォーマンスとは、能力+やるき である。 ・人間が感情の生き物である以上、やる気方面に施策を行わないのはバカげた話しである ・「我々には才能や能力がある」「我々の取り組みは正しい」「我々は社会に価値を提供している」という自信と尊厳を与えてくれる人材を重宝すべき ・組織全体の感情マネジメントを行うのであれば、そのような人材を把握し、彼らの貢献に感謝を表明し続けすることが大事 ●組織の中心から「愛」を叫ぶ重要性 ・すべての企業は何度も成長の踊り場を向かえる ・成長が停滞すると勝ち方や進み方よりも、問題探しに目が向く。ネガティブな視点から始まってしまう問題探しは「チーム」「人」を悪者にしやすい ・この時経営層にできることは結果を出すこと ...というのは理屈。しかし、すぐに以前のような成長を取り戻せるかというとそんなわけがない(もちろん利益はすべてを癒す)。 企業の感情マネジメント、カルチャー維持へのリソース投下を不断の意思をもって貫いていなければ、成長の踊り場で大きな痛手を被ることになる。 踊り場は、売上の数字などの定量的なもので測れるものばかりではない。 組織に漂う「空気」や「ニュアンス」、「前進感の無さ」といった『流れ』も同様に成長の踊り場である。 そのような場において、デザインすべきことは 「私は会社を愛している」 「私はミッションを信じている」 「私が会社を守りぬく」 と発言できる会社の中心人物であり、エモーショナルリーダーである。 有名な動画「1人の踊るアホ」のように、リスクをいとわず自らを組織の中心において踊り続けられる人を発掘し、活かすことである。 組織の成長を信じ、周りの人たちに希望を与えてくれる人が数人いれば良い。 ●ミッションの浸透化 ・ミッションや価値観を社内浸透させるために何度も思い出させる仕掛けをつくる 例:https://www.cyberagent.co.jp/career/data/id=26150 3分で分かるサイバーエージェント組織戦略編 ・属人性でスケーラブルさせる。可視化したり、クレドにしたりというものわかる、しかしそれで満足するのは大間違い。ミッションやカルチャーは「感情」である。そしてミッションの浸透は、人間が本来嫌う変化である。 →可視化よりも属人性が強い伝播のほうが圧倒的に力強く、浸透していく。そもそも優秀な人物に、自分なりの言語化をしてもらうほうがなにかと効果を発揮しやすい。
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