賭ける仏教 の商品レビュー

南直哉(著者)

2024/04/11

仏教者であり修行者であり僧侶である著者が自分自身の実存に直結した形で「仏教とは？」「宗教とは？」「世間とは？」という問いにごまかすことなく真っ向から自分の答えを出していく。自ら仏教者と公言する評論家、宮崎哲弥氏との対談を元に著されたこともあって非常に読み易いのだが、第1章でオウム真理教の問題を恐れることなく扱っていることから分かるように、門外漢にとっては劇薬に近い内容であるかも知れない。実際に修行をしたわけではないし、ただ本を読んだだけの私だが、著者の思い描く日本の仏教像は、あるべき形のうちのひとつであるように思う。それにしても現代日本の仏教システムの中には「一生修行をして暮らす」という選択肢が存在しないというのは私にもショックであった。