覚醒せよ、セイレーン の商品レビュー
読み終えて、いや読みながら、もうぐったり。キツい。半分くらいまでなんとか進んだ時に読むのを辞めようと一度思ったのだが、たまたま次の話が少し心が穏やかになる話だったので最後まで読み終えた。 書かれていることは、神にセクハラ行為を受け、強姦され、ストーカー行為を受け、暴行され、殺さ...
読み終えて、いや読みながら、もうぐったり。キツい。半分くらいまでなんとか進んだ時に読むのを辞めようと一度思ったのだが、たまたま次の話が少し心が穏やかになる話だったので最後まで読み終えた。 書かれていることは、神にセクハラ行為を受け、強姦され、ストーカー行為を受け、暴行され、殺され、脅迫され、そういった様々な行為を受けた女性の告発文みたいな内容が短編や掌編で34綴られる。女性(娘)から望んだ近親相姦や、女性から好きになってアプローチする話もあるし、嫌悪感を抱くようなものばかりではなく希望を感じさせるものもある。しかし、何らかの被害を受けても強く生きた先にある希望みたいなことだったりするので、最初から最後まで安らかな話というのは無い。ん?無かったと思うのだが、正直読んでて辛くて頭に入っていない話もあるので、ちょっと自信がない。 この物語での神は無邪気に女性を傷つける。魅力的だから触りたい。可愛いから犯したい。妻はいるが言い寄られたら拒まない。おそらく理由があるわけではなく本能のようなものなのだろう。この物語は『変身物語』の神話を元にしつつも、現代的な内容で書かれているものもある(ちなみに『変身物語』は読んだことがないので個人的に内容の比較ができない)。そういったものは正に現代の女性が受ける被害を、当事者が書いているかのように読み取れる。現代の加害者も上記のような理由のない欲望によるものだとしても何も不自然には思わない。それくらい突拍子のないものではない。訳者あとがきに「神話が書かれた古代から現代まで、虐待と暴力が続いていることを意識されられる」とあったのだが、なるほど確かにと思える。ここで語られる女性たちの声は忘れられないだろうな。 追記 自分の感想で後半「おそらく理由があるわけではなく本能のようなものだろう」と書いたが、この物語の中に、神(男)が力の誇示や優位性を示すために女性を支配しようとする欲望が描かれている短編もある。これを理由とするには男の勝手な欲望が正当化されるようであり、そんな身勝手な行動は理由になり得ないと思っている。それすらも無くただ標的にされる女性だっているのだろうし。しばらく経ってじわじわと感じることも出てくるし、時間を置いてまた読んでみたらもう少し違う感じ方もあるかもしれない。
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『古代ギリシャのリアル』でユピテルが人間の女や半神やらを誘拐、性交しまくりな件の理由は説明されていたけど、それにしていてもやりすぎだよね…?ユピテルにも女にも内面が見えないよね…?という気持ちが一気に昇華された1冊。基本的に強奪される女目線ですべて描かれているため、ページの進みは...
『古代ギリシャのリアル』でユピテルが人間の女や半神やらを誘拐、性交しまくりな件の理由は説明されていたけど、それにしていてもやりすぎだよね…?ユピテルにも女にも内面が見えないよね…?という気持ちが一気に昇華された1冊。基本的に強奪される女目線ですべて描かれているため、ページの進みは遅くなりがちだが、良い読書体験であった。
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久々にきつかったぁ。 読まなきゃ良かったとも思わないけど、読んで良かったとも思わない。 大好きな神話の話なのでかなり期待してたからかな? 叙情詩のような散文のような、そして海外作品にある独特の言い回し。 小さい頃は人を動物や植物に変えるなんて、すごいなーくらいだったけど、こうやっ...
久々にきつかったぁ。 読まなきゃ良かったとも思わないけど、読んで良かったとも思わない。 大好きな神話の話なのでかなり期待してたからかな? 叙情詩のような散文のような、そして海外作品にある独特の言い回し。 小さい頃は人を動物や植物に変えるなんて、すごいなーくらいだったけど、こうやってみるとゼウスや他の神々の傲慢さが理解の範疇を超えている。 ただ美しいだけで横恋慕されて、あげく嫉妬ゆえに動物にされるって、ホント救いがない。 ちょっとギリシャ神話(本書はローマ神話だけど)が好きじゃなくなった。
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オイディウスの『変身物語』の語り直し。名前を聞いたことのある神話の登場人物、スキュラやメデューサ、カイネウス、セイレーンなどなど。聞いたことのある物語もなかにはあるかもしれない。そんな数々の物語は、ある人物の一人称視点で語っていたり、現代から話が始まっていたり、街の風景や会話など...
オイディウスの『変身物語』の語り直し。名前を聞いたことのある神話の登場人物、スキュラやメデューサ、カイネウス、セイレーンなどなど。聞いたことのある物語もなかにはあるかもしれない。そんな数々の物語は、ある人物の一人称視点で語っていたり、現代から話が始まっていたり、街の風景や会話などが現代チック(メールのやりとり)だったりと神話と現代の地続きをすごく感じる本だった。 何千年も前の話、しかも神話となると神々の理不尽さってまあそういうもんだよねとか、その神ってひどいよねーだとか、軽く受け止めがちというか仕様がないよねというか……神話はあくまで神話として割り切るとか。でもこの『覚醒せよ、セイレーン』は神話の物語だと割り切きることを良しとせず、現代の現実にも繋がるように書かれているのが自分自身のことだと思えるし、加害者、被害者、そして見て見ぬ振りをする者、強者(与える立場)であるがゆえに思いがいたらない傲慢さ、どうしようもできない枠組みだとかに思いを馳せれる。 ただ一つ一つの物語があまりにも重すぎる錨のようで、読み終わって心に刺さった錨を持ち上げる(自身のなかで消化する)のに時間がかかる。でもそれだけ心にくる本だった。
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読む地獄。かなり終盤になるまでほとんど救いがなく、でも読むのをやめられない。ぜひ男性にも読んでほしい。感想を聞きたい。
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