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100分de名著 ナオミ・クライン『ショック・ドクトリン』(2023年6月) の商品レビュー

3.6

14件のお客様レビュー

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2024/04/12

『ショック・ドクトリン』を光と陰の両面から、その価値と限界を再確認できる解説には、一貫してなっていなかったのが残念だ。 多くの読者が浅はかな陰謀論的思考を本書から嗅ぎ取っている。政治家や学者、資本家にだけ悪を見て、歴史的背景や社会構造に切り込まなかった事実から当然と言える。 ...

『ショック・ドクトリン』を光と陰の両面から、その価値と限界を再確認できる解説には、一貫してなっていなかったのが残念だ。 多くの読者が浅はかな陰謀論的思考を本書から嗅ぎ取っている。政治家や学者、資本家にだけ悪を見て、歴史的背景や社会構造に切り込まなかった事実から当然と言える。 改めての詳細なファクトチェックが必要と思ってしまった本書はどちらかと言えば、悪書の部類に入ってしまう。センセーショナルな書き口で読者を不安に陥れる手法は、本書の主張する「ショックドクトリン」そのものではないか。 第一回への違和感 ・ミクロな拷問実験とマクロな国家政策実施をそもそも並列に扱って良いのか? ・チリ、イギリスの事例が単線的に扱われているが、市民はそんなにも愚かなのだろうか?政治家至上主義的な歴史観だ。 ・フリードマン的な小さい政府が生まれ、進行した背景はもっと複雑なのでは? ・紛争で福祉国家から脱する機会を得た、とあるが、そもそも福祉国家は戦争が契機で整備されるようになった経緯からすると、立論の仕方が間違っているのではないか? 第二回からの教訓。歴史はある程度、長い目で見なければいけない。短期に成功しているようなことも長い目で見ると意味が変わってくる。 第三回は、堤氏の過去の著作の亡霊のよう。 第四回は、一面的な見方で、歴史から都合の良い情報だけを取り出して編集すれば、一定の主張を引き出すことができる好例だった。

Posted byブクログ

2024/01/05
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

レビュー Eテレ100分で名著で視聴し、ショックを受けたのでテキストも手にとって読んでみた。TVでは聞き流してしまったところもしっかり確認出来てよかった。 リアルタイムで知っているラムズフェルド、チェイニー氏などが回転ドアで政府要人とドクトリンの恩恵にあずかる企業の要人との間を行ったり来たりしていたとは衝撃だった。原著も読まねばならないと思った。 チリの政変、ソ連崩壊、中国の民主化弾圧の構図も単刀直入にわかりやすく説明されていたが、何事も鵜呑みにはせず自分の頭で考えようと思っている。なにせメディアも煽る存在なのだから。私自身この世で社会人生活してきて行き過ぎた規制緩和には違和感を大いに感じているので、言語化してまとめてくれたことはうれしい。 国連機関も紛争解決に何にも役にも立っていないとイライラしていたが、IMFの話を読みなるほどやはり金の出どころに左右されている機関なのだということがよくわかった。 満足度★★★★ 100分 de 名著ナオミ・クライン『ショック・ドクトリン』 2023年6月 著:堤 未果 ISBN:9784142231522 。出版社:NHK出版 。判型:A5 。ページ数:116ページ 。定価:545円(本体) 。発行年月日:2023年05月 。発売日:2023年05月26日 内容紹介 今こそ知るべき、「衝撃と恐怖の資本主義」の正体 ジャーナリストのナオミ・クラインは、1970年代のチリの軍事クーデターに始まり、ソ連崩壊、アジア通貨危機、米国同時多発テロ事件とイラク戦争、また台風や津波のような自然災害など、社会を揺るがす大惨事に乗じて導入された過激な市場原理主義改革の事実を、歴史的な視点で丹念に追い、この「ショック・ドクトリン(惨事便乗型資本主義)」によって先進諸国が危機状況にある国の富を収奪する構造を明らかにした。新自由主義が世界を席巻し、私たちの暮らす日本も「ショック・ドクトリン」の標的となり得る現在、改めてこの本を読みとき、社会を裏側で動かす構造を見抜く方法や、それに立ち向かうためになすべきことについて考えていく。 著者紹介 国際ジャーナリスト。東京都生まれ。ニューヨーク州立大学国際関係論学科卒、ニューヨーク市立大学大学院国際関係論学科修士号。国連、米国野村證券などを経て現職。 以上アマゾン、Books出版データベースより

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2023/09/11

こういうのはどこまでか本当かは分からない。 自分はどちらかと言えば新自由主義の立場なので、それを否定する意見を読めたのは良かった。

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2023/08/28

案の定デタラメ。 簡単なのはアフガン戦争には国連決議が無いというもの。 こんなのを公共の電波に乗せたNHKの責任は? 最低限、超分厚い正誤表を出すよね? https://seisenudoku.seesaa.net/article/500437367.html

Posted byブクログ

2023/08/29

Eテレでやってるのを録画してみた 社会に壊滅的な惨事が起きた際に、人々が茫然自失している時を、チャンスとして捉えて巧妙に利用するする政策手法 1,ショックドクトリンの誕生 フリードマン理論 シカゴボーイズ チリの民営化 サッチャーの民営化 2, 国際機関というプレイヤー ア...

Eテレでやってるのを録画してみた 社会に壊滅的な惨事が起きた際に、人々が茫然自失している時を、チャンスとして捉えて巧妙に利用するする政策手法 1,ショックドクトリンの誕生 フリードマン理論 シカゴボーイズ チリの民営化 サッチャーの民営化 2, 国際機関というプレイヤー アジア通貨危機 IMF 中国 改革開放 人民武装警察 格差拡大 搾取工場 ロシア ソ連崩壊 創造的破壊何単なる破壊に オリガルヒ 3, 戦争ショックドクトリン 政府中隔までの民営化 911 イラク戦争 新植民地主義  4, 日本、そして民衆のショックドクトリン ハリケーンカトリーナ 学校の民営化ビジネス化 復興特区  日本の民営化 有事の時に機能するか? 数値で価値が測れないところは? 地域の参画は? スマトラ沖地震 被災者自身による復興 政府との交渉 自力復興 

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2023/07/28

ショック・ドクトリンという単語は東日本大地震の時によく耳にしたので知っているつもりだったが認識が甘すぎたのを本書にて思い知った。歴史認識もちょいちょい変わるくらい「ショック」を受ける内容だ。 つくづく災害便乗型資本主義(新自由主義)の人非人ぶりには恐れいる。CIAの拷問プログラ...

ショック・ドクトリンという単語は東日本大地震の時によく耳にしたので知っているつもりだったが認識が甘すぎたのを本書にて思い知った。歴史認識もちょいちょい変わるくらい「ショック」を受ける内容だ。 つくづく災害便乗型資本主義(新自由主義)の人非人ぶりには恐れいる。CIAの拷問プログラムを参考にしたやり方というのがまずすごい。ほとんど敵国と戦う時のような戦争時の姿勢ではなかろうか。 何らかの事件や災害によりショック状態に陥った国や地域にミルトン・フリードマンの弟子シカゴ・ボーイズを派遣し、国民の頭がまともに働かない間に電光石火の勢いで、普段だったら非難轟轟になるような多国籍企業や外資を優先する政策「規制緩和・民営化・社会保障削減」を無理矢理通してしまう。住民の幸せや国の未来など踏み潰して、自分たちだけが効率よく儲けられたらそれでいいという図々しい完全無責任スタイル。 昔から火事場泥棒ってのはいたが、現代の火事場泥棒は海を越えて押し寄せるのが恐ろしい。もう規模が違う。イナゴが大量発生して農作物が全滅するイメージに近い。 エリート男性が書いている新書『リバタリアニズム』では、先進的でフロンティア精神に満ちた街と紹介されていたサンディ・スプリングス市も、金の切れ目が縁の切れ目、新自由主義者の富裕層だけで固まって周りが荒廃している街と身も蓋もない書き方でちょっと笑った。でも、そりゃそうだよねとしか言いようがない。こっちの方が新自由主義のあり方を端的に表していると思う。 竹中平蔵氏がフリードマンの弟子というだけで色々納得できた。日本はまさに進行中なのだな。 それに新自由主義者の旗振り役としてのメディア。『アメリカの原爆神話と情報操作』でも、悪い意味で活躍したニューヨークタイムズ紙がここでも活躍しており、こちらも色々と納得(それにしても、こうしてちょこっと本を読めば手に届く範囲内にこうした情報がゴロゴロ転がっていたのに、何も知らずに、何の問題もなく生活できてしまう現代社会の怖さを感じる。SNSにある「マスゴミ」というスラングからは感情以外何も伝わってこない)。 それでも最後の章にはちゃんと新自由主義に対抗して成功してる人たちの実例もあり、希望が持てる内容だと思う。できればナオミ・クライン『ショック・ドクトリン』も読んでみたい。 カラーページや写真、同ページ記載の用語解説などもあり、番組を視聴してなくても問題なく楽しめる充実した内容だった。600円でこの情報を効率よくゲットできるのはお買い得です。などと新自由主義的な物言いをしてみる。

Posted byブクログ

2023/07/13

この本はEテレ番組に連動したテキストで、 2007年に刊行されたナオミ・クラインの著作「ショック・ドクトリン」を解説しています。 私はまるっきり経済に無知なので、「ショック・ドクトリン」という著作や見方・考え方を全く知りませんでした。 知らなかった人は、これを知ると、きっとシ...

この本はEテレ番組に連動したテキストで、 2007年に刊行されたナオミ・クラインの著作「ショック・ドクトリン」を解説しています。 私はまるっきり経済に無知なので、「ショック・ドクトリン」という著作や見方・考え方を全く知りませんでした。 知らなかった人は、これを知ると、きっとショック・ドクトリン・大ショックを受けるはず。 資本主義のゆがんだ欲望がこれほどまでに世界に蔓延し、非道で恐ろしいとは。 (私は番組に気づくのが遅かったので、番組は後半2本を見ただけですが) 著作「ショック・ドクトリン」は、ノーベル経済学賞を受けたシカゴ大学のミルトン・フリードマンの提唱する、フリードマン理論こと新自由主義とその悪しき進化形(新植民地主義)によって、 米国を中心とする国際金融資本、多国籍企業、世界銀行や IMF(世界金融基金)、そして政府が、 クーデターや戦争、テロリズム、巨大自然災害、巨大債務などの有事によるショック、 また言論統制や市民の監視・監禁・拷問などの恐怖、 メディアによる偏った、あるいは虚偽の情報操作などを悪用して、 自国市民や他国の思考停止を促し、世界の各地でいかにマネーで私腹を肥やしてきたのか、 新自由主義の行きつく先は独裁国家という事実、 また、その結果どんな悲劇が起きたのか、について、 さらに新自由主義に抵抗する手段についても論じています。 この解説書や番組では、国際ジャーナリストの堤未果氏が「ショック・ドクトリン」をかいつまんで解説するだけでなく、一部は堤氏の調査研究による、 日本の国鉄、電電公社、郵政、東日本大震災の復興事業・民営化・復興特区、種子法廃止・種苗法改正などの民営化の事実と認識にも触れています。 とはいえ、クライン自身は日本ついては多くを述べていないようなので原著作の解説という番組の趣旨として、堤氏による日本の事例は端折ったのかもしれません。 しかし、我々にとっては重大な問題なので、さらに一歩進んで学ぶ必要を感じています。 本解説書では、番組に比べるとそれなりに多くの専門語や事例が現れるので(原著作ほどではないはずですが)、新自由主義のしかける悪に対抗する手段に関する大事な部分がやや目立ちにくくなっているように思いました。読者は少し時間をかけて丁寧に理解する必要がある印象です。 堤氏は本解説書で、「ショックドクトリン」は膨大な情報量を含むため、挫折しないよう、ディテールを記憶しようとしないで読むことを勧めています。 本解説書だけでは理解が不十分になりがちだと思われる、ショック時の政策に対する市民側の重要なチェックポイントを、番組放送では堤氏がうまくまとめて述べています。 - 有事の時に機能するかチェックする - 個々の民営化の成果にとらわれず、大きな視点で考える - しかけられた善悪二元論の罠に注意して、広く・長く・深く検証する - 民営化する場合は当事者・地域住民が主導して民主的に運用する - どんな法律が国会で審議・施行されるかチェックする - 有事によるショック時にしかけられるスピード政策に惑わされず、立ち止まって冷静に見極める - 与えられた選択肢が限られていないかを見極める - 勝者側から見た歴史を疑う 米国をはじめ日本でも所得格差が広がってしまっている原因、 東日本大震災復興事業やコロナ禍での諸政策の真実、 ウクライナを侵略するロシアの意図や行動原理、 戦時下でも始まっているウクライナの復興の行方、 中国のテクノロジーによる言論統制、香港、新疆ウイグルやチベットの植民地化、 一帯一路やゼロコロナ政策の意図、 などなど、現代の重要な諸問題を、 メディア社会・デジタル社会の中で巧妙になっていくショック・ドクトリンという視点で正しく解釈し、 対応していく必要があるはずです。

Posted byブクログ

2023/07/11

さすがに偏りすぎではないか。ナオミ・クラインもここまで偏っているのかわからないけれど、少なくとも著者のアンチ新自由主義は酷い。 確かにフリードマンに代表される新自由主義には酷い面があるのは事実なんだけど、効率化やイノベーションに資する面もあり、例えば国鉄や電電公社のままでいま日本...

さすがに偏りすぎではないか。ナオミ・クラインもここまで偏っているのかわからないけれど、少なくとも著者のアンチ新自由主義は酷い。 確かにフリードマンに代表される新自由主義には酷い面があるのは事実なんだけど、効率化やイノベーションに資する面もあり、例えば国鉄や電電公社のままでいま日本が享受している便利さは実現できただろうか、、、。 なので全面否定ではなく必要なのは是々非々の態度で、むしろ著者のような立場の人が採用すべきはそのような対話もできずにただ対立構造に陥ってしまう現状であって、全面的な対抗の姿勢ではないと思うのだけれど、、、、。

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2023/07/05

「ナオミ・クライン『ショック・ドクトリン』」堤未果著、NHK出版、2023.06.01 123p ¥600 C9433 (2023.07.05読了)(2023.05.29購入) 【目次】 【はじめに】今こそ日本人が知るべき、「衝撃と恐怖」のメカニズム 第1回 「ショック・ドクト...

「ナオミ・クライン『ショック・ドクトリン』」堤未果著、NHK出版、2023.06.01 123p ¥600 C9433 (2023.07.05読了)(2023.05.29購入) 【目次】 【はじめに】今こそ日本人が知るべき、「衝撃と恐怖」のメカニズム 第1回 「ショック・ドクトリン」の誕生 第2回 国際機関というプレーヤー・中露での「ショック療法」 第3回 戦争ショック・ドクトリン株式会社化する国家と新植民地主義 第4回 日本、そして民衆の「ショック・ドクトリン」 ☆関連図書(既読) 「もし小泉進次郎がフリードマンの『資本主義と自由』を読んだら」池田信夫原作・藤咲ユイ絵、日経BP社、2011.11.28 「ルポ貧困大国アメリカ」堤未果著、岩波新書、2008.01.22 「メディアと私たち」堤未果・中島岳志・大澤真幸・高橋源一郎著、NHK出版、2018.12.05 「ポストコロニアリズム」本橋哲也著、岩波新書、2005.01.20 (アマゾンより) 今こそ知るべき、「衝撃と恐怖の資本主義」の正体 ジャーナリストのナオミ・クラインは、1970年代のチリの軍事クーデターに始まり、ソ連崩壊、アジア通貨危機、米国同時多発テロ事件とイラク戦争、また台風や津波のような自然災害など、社会を揺るがす大惨事に乗じて導入された過激な市場原理主義改革の事実を、歴史的な視点で丹念に追い、この「ショック・ドクトリン(惨事便乗型資本主義)」によって先進諸国が危機状況にある国の富を収奪する構造を明らかにした。新自由主義が世界を席巻し、私たちの暮らす日本も「ショック・ドクトリン」の標的となり得る現在、改めてこの本を読みとき、社会を裏側で動かす構造を見抜く方法や、それに立ち向かうためになすべきことについて考えていく。

Posted byブクログ

2023/06/30

番組も含めて読了しました!まさにパニックに乗じた落とし穴ですね。一度止まって考える事の大切さを改めて感じました

Posted byブクログ