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八月の銀の雪 の商品レビュー

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25件のお客様レビュー

  1. 5つ

    7

  2. 4つ

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  3. 3つ

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2024/05/03
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

個人的に、珪藻のお話が好きだった。 男性から見たら、女性はみんな平均的で均一だと、ヒストグラムだと山形だろうというが、その実ぜんぜん違う。化粧で覆われているだけで、中身はいろいろある。女性というのは一筋縄ではいかないのである。全くもってその通りだ。

Posted byブクログ

2024/02/26

科学が関係するヒューマンドラマ短編集 まぁ、いつもの伊与原新さんです 以下、公式のあらすじ ---------------------- 「お祈りメール」の不採用通知が届いた大学生は、焦りと不安に苛まれていた。 2歳の娘を抱えるシングルマザーは、「すみません」が口癖になった。 ...

科学が関係するヒューマンドラマ短編集 まぁ、いつもの伊与原新さんです 以下、公式のあらすじ ---------------------- 「お祈りメール」の不採用通知が届いた大学生は、焦りと不安に苛まれていた。 2歳の娘を抱えるシングルマザーは、「すみません」が口癖になった。 不動産会社の契約社員は、自分が何をしたいのか分からなくなっていた……。 辛くても、うまく喋れなくても、 否定されても邪慳にされても、 僕は、耳を澄ませていたい――地球の中心に静かに降り積もる銀色の雪に。深海に響くザトウクジラの歌に。見えない磁場に感応するハトの目に。珪藻の精緻で完璧な美しさに。高度一万メートルを吹き続ける偏西風の永遠に――。 科学の普遍的な知が、傷つき弱った心に光を射しこんでいく。表題作の他「海へ還る日」「アルノーと檸檬」「玻璃を拾う」「十万年の西風」の傑作五編。 ---------------------- ・八月の銀の雪 人類が宇宙に行く時代となっても、身近にあって未知の存在という地球の内部 地球の内部の話は胸熱だよなー どうなっているのかは断片的な情報から推測するしかない 所詮人類が把握できているのは、卵の殻程度のスケール そんな表面ですら深海の最深部にま未到達ですしね あれだけ熱く語れる人だから研究者になれるというのは実感としてよくわかる ・海へ還る日 クジラは、水棲哺乳類という不思議な存在 肺呼吸なのに、常時呼吸ができるわけではない海に帰った経緯に興味がある 本当に不思議な存在ですよねー 知能に関しての話も興味深い 人間は自分達の基準で物事を判断しようとするが、クジラ達はそれとは違った文明を持っている可能性 町田そのこ「52ヘルツのクジラたち」を読んだときも思ったけど 異なる周波数の声は、仲間たちに本当に聞こえてないんですかね? 人間が把握できないコミュニケーション方法とかの可能性あると思う ・玻璃を拾う 自然の生み出した美 世の中には自然の中に潜む規則性があったりする フィボナッチ数列なんて種や花弁の合理的な生え方だし、黄金律なんてそこかしこに隠されていたりする それと同様に、人工的に不純物を含まない物質を作るのが困難でも、自然化にはそれを容易に作る生物がいたりするからねぇ それがミクロの世界でも起こっているという事実 そしてそれを見つける事ができるのも科学という構造が胸熱だよなー ・十万年の西風 科学者倫理について 表題作ではないけど、私にとってこれが一番のテーマに感じた 科学の立ち位置って時代や使われ方によって如何様にも変わる 自分の研究している事がどう使われるのかまで科学者が考える必要があるのか?という命題 科学技術に善悪があるわけではなく、使う人間に悪人がいるという考えもあるけど 果たしてどこまで科学者本人が想定しなければいけないのか ノーベル賞だって、ダイナマイトの発明が発端ですからね 掘削工事に利用すれば平和的だけど、使い方を変えれば戦争で人を殺す武器にもなる 今作の研究は、気象の観測によるジェット気流の発見が、遠くの大陸への爆撃に使われるなんてどう予測しろという話ではあるんだけどね 科学技術がどう使われるかは別問題と切り捨てるのは分かりやすいけど、果たしてそれでよいのだろうか? 科学に限らず、何かを研究する人には哲学がなければいけないし それに伴う倫理観も同時に求められるべきだと思う そこを手放してしまうのは無責任でもあり、ある意味でもったいないとも思う 基礎研究とか、自分の興味の赴くままに探求するという姿勢でもいいけど、そもそも何故それを研究するのか?それがわかるとどうなるのか?という大局的な視点は本来の研究にも役立つ思考なはずなので 私が研究者の隅っこの端くれだった分野だと然程悪用されるようなものではないけど 生命倫理とか、遺伝と種の関係を人類に当てはめると、民族間の優劣や差別に繋がる研究とも言える 人間も生物の一種であるわけで、根源的な存在理由や目的は他の生物と変わるものではない 私のボスだった人やその分野の常識として、野生動物の原理と人間の原理を混同してはいけないという主張だったけれども 個人的には上記の通り人間も生物なわけで、多種には見られない高度な社会性があろうが、結局は生物としての特性に従っていると思っている それを前提に、私個人の行動や生き方はそんな原理を理解した上で歯向かおうとしているという面倒くさい存在なのだろうなと自覚している いやぁ、それにしても伊与原新さんの物語は、科学に携わった経験のある人にとっては響くところがある話ばかりですねぇ

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2024/01/27

すべての話が、最後はぼんやりと終わる感じながら、良い余韻を残している。 不幸を抱えている人が多く出て来るが、暗い感じにならなくて、科学のかたい話しがちりばめられるが鬱陶しさを感じることなく、心地よく読めた。

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2024/01/06

明日からまた一歩踏み出そう、と思える五つの話。どの箇所をとっても詰まることなく、スラスラと読むことができた。

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2024/01/01

地球の内核 クジラの生態 伝書鳩 珪藻 偏西風 科学や自然の神秘と人間模様が見事に絡み合う短篇5篇。 参考文献の多さとそれを作品に見事に活かす著者の技量に驚かされる。 表題作の大学生に過去の自分を重ね合わせる。 イルカの生態を深く知りたくなる。

Posted byブクログ

2023/12/25

すごく良かったかと聞かれるとそうでもなかったような気がするのに、妙な心地良さが残ります。 ぎすぎすした世の中で、自分の思うようには事が運ばず、ふて腐れているところを人に見せたりはしないけれど、鬱々とした気持ちで毎日を過ごしている主人公たち。でも意外とまわりには幸せな瞬間が落ちて...

すごく良かったかと聞かれるとそうでもなかったような気がするのに、妙な心地良さが残ります。 ぎすぎすした世の中で、自分の思うようには事が運ばず、ふて腐れているところを人に見せたりはしないけれど、鬱々とした気持ちで毎日を過ごしている主人公たち。でも意外とまわりには幸せな瞬間が落ちていて、それを拾えば前向きになれるかもしれない。少なくとも、嫌いだった自分のことが好きになれそうに思います。 どの話も好きでしたが、『アルノーと檸檬』が心に残りました。単なる檸檬つながりで高村光太郎の「レモン哀歌」を思い出したりもして、ちょっぴり切なく。 伝書鳩に詳しくなれます(笑)。鳥が苦手だったのに、鳩の見方が180度変わる。

Posted byブクログ

2023/12/24

その雰囲気が捨てがたかった「月まで三キロ」の作者さん。皆さんの★もまずまずだったので手にしてみた。 コミュ障で就活連敗中の大学生、天涯孤独なシングルマザー、役者への夢破れた不動産管理会社の契約社員…、そんな主人公たちが思いがけない出会いからもう一度自分の生き方を見つめ直していく...

その雰囲気が捨てがたかった「月まで三キロ」の作者さん。皆さんの★もまずまずだったので手にしてみた。 コミュ障で就活連敗中の大学生、天涯孤独なシングルマザー、役者への夢破れた不動産管理会社の契約社員…、そんな主人公たちが思いがけない出会いからもう一度自分の生き方を見つめ直していくお話。 それぞれのお話自体も良かったが、それ以上にそこで語られる地球内部の構造や音に包まれるような鯨の歌、磁場を“見ている”という鳩の帰巣能力の話などが興味深かった。 それらは物語ともうまくマッチしていて、とりわけ表題作では、地球の中のもう一つの銀色に輝いている星の上に鉄の結晶の小さなかけらが雪のように降り積もる情景が目に浮かぶようで素敵な気持ちになった。 最後の話は、凧の話から放射能の発見や風船爆弾の話に発展し、多少説明がくどい話ではあったが、再び原子力発電に回帰しようとしているこの国の政策やいつの間にかウクライナやガザでの戦火が日常になった世界の姿など、本が書かれた当時にはなかった憂いを感じ取れる、とても締まった話だった。

Posted byブクログ

2023/12/23
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

得られた知識を人に教えたくなる。 珪藻アートを検索してみたらとてもキレイだった。ちょっと興味ある。 地球の核とか、クジラはずっと考えてるとか、ハトが地磁気分かるとか、珪藻がつくるガラスとか、なんかスゲーッてなった。もっとそれらの詳しいこととか、他の自然や生物の不思議についても知りたくなった。 「玻璃を拾う」の二人はこれから恋愛に発展するんやろうなぁ、って感じだと思うけど、出会い方が珪藻アートってなんか良いなぁ〜と思った。 原発と風船爆弾の話はすごい引き込まれた。

Posted byブクログ

2023/12/11

短編小説。色んな何かの事情で生きる希望を無くしかけてる人たちがひょんな出会いから立ち直っていく話。これだけ考えるとよくある小説だけど、一つ一つで蘊蓄や珍しい話が盛り込まれていて勉強になった。

Posted byブクログ

2023/11/20

読むとちょっと賢くなれたような それぞれの題材が知らないことばかりで面白い短編集。 珪藻が気になって調べたら本当に綺麗で驚いた。 知らないことを知れる 本を読む醍醐味を感じられた。

Posted byブクログ