闇の魔女史 の商品レビュー

Future Publishing(編者),ダコスタ吉村花子(訳者)

2024/02/29

魔女狩り。根拠のない証拠で罪人とされた人々、というのが魔女狩りの印象でした。
読んでみると、限られた空間における集団心理の暴走が止まらなかったのだ、と思います。本来であれば、暴走を止める役割を果たすために、精神に平穏をもたらすはずの宗教が拍車をかけてしまうという混乱が恐ろしい。
旗振りが示した方向に行かざるを得ない状況。それに抵抗することは、命を失うと同義であるならば、流れに任されるしかなかったのでしょうか。

過去の出来事でないと感じるのは、SNSで燃え上がったりしている事件を見た時です。SNSだけではなく、ワイドショーや週刊誌でも同じ。自分で調べる前に、提示された情報だけを飲み込んでしまっていることが多いのではないでしょうか。自分も戒めなければいけません。気づかないまま加担していることもあるはず。

過去の出来事にするべきなんだけどね。右向け右の安心感と、自分で考えない気楽さからは、なかなか逃れきれないものです。

2024/01/16

本書では、世に強烈なインパクトを与えた「魔女」「魔女狩り」「魔女裁判」を取りあげ、魔女とは何者なのか、なぜ魔女狩りは起きたのか、告発された「魔女」は本当に魔女だったのか、事の顛末を紹介しながら、さまざまな角度から検証する。（e-honより）

2023/07/25

情報量、内容、デザインともに素晴らしい。読了して、本当に陰鬱な気持ちになった。歴史上、第二次世界大戦やそれに関連したユダヤ人の虐殺、アフリカでの独裁者による虐殺など人数だけでいえば魔女狩りを上回る大量殺戮はいくつも挙げられると思うが、魔女狩りがそれらと異なるのは、「利益獲得を目的とした戦争行為」でも「民族主義」でもなく、同族の一般の女性を宗教的なうわべで取り繕ったとんでもない理論で殺害したことにあるように思う。防ぎようがない。やっぱり、世界には正義なんてものは無いのだなと再確認できてしまった。

2023/07/21

『闇の魔女史』魔女と聞けば誰もが箒に乗った老婆を思い浮かべますが、この本ではそれが世界中でどうやって発生したのか、なぜ魔女と呼ばれたのか
またその周縁の歴史を辿ります。豊富なビジュアルが特徴の本で図版がとても面白いです。ただトピックはやや尻すぼみでエンタメ寄りの本といえます。また図版の出典もないため気になる図版も検索ができません。