敵対的買収とアクティビスト の商品レビュー
本の題名通りの中身でした。基礎的なところからはじめ、事例や判例等、コンパクトにまとまっています。勉強になりました。私は専門家でも実務家でもないので、後半に出てくる事例・判例の列挙は読み飛ばしましたが、アメリカ・イギリス・ドイツ・フランス等、主要国の諸法令は微妙に異なるということと...
本の題名通りの中身でした。基礎的なところからはじめ、事例や判例等、コンパクトにまとまっています。勉強になりました。私は専門家でも実務家でもないので、後半に出てくる事例・判例の列挙は読み飛ばしましたが、アメリカ・イギリス・ドイツ・フランス等、主要国の諸法令は微妙に異なるということと(当たり前ですが)、日本は結構緩く、昨今改めて日本の株式市場が世界の注目を集めている状況を考えると、今後、日本ではさらに華々しい事例が出てくるのではないかという予感を感じるものでした。ワクワクします。
Posted by
超一流の弁護士が専門書としてではなく一般書として執筆した本、ということで、大変ありがたく読んだ。 日米欧それぞれの法理論と判例の変遷まで、大変分かりやすく書いてあって、一般書とは言いながら、実務の上でもしっかりした基礎を築くことが出来るかと思う。
Posted by
現在のわが国の裁判例は、大雑把に言って、企業価値研究会の第一次~第三次報告書に依拠して、「企業価値」を向上させるものが「良い」買収であって、そのような結果をもたらす敵対的買収こそが「良い」敵対的買収と考えているものと思われる。ただし、そこでいう「企業価値」の内実は、株主共同の利...
現在のわが国の裁判例は、大雑把に言って、企業価値研究会の第一次~第三次報告書に依拠して、「企業価値」を向上させるものが「良い」買収であって、そのような結果をもたらす敵対的買収こそが「良い」敵対的買収と考えているものと思われる。ただし、そこでいう「企業価値」の内実は、株主共同の利益を重視していることは明らかであるものの、どのようなものを想定しているのかについては、必ずしも明確ではない。 だから、例えば、「株主利益にかなうものが良い敵対的買収だ」とするステレオタイプ的な見方に陥ることに警鐘を鳴らす。(249~250頁) 以上の見方の背景には、株主資本主義からステークホルダー資本主義への大きな流れ、企業に求められる役割をどう捉えるか、すでに、アクティビスト・ファンドがESGやSDGsへの取組みをめぐる議案を株主提案として提出する中で、重要な視点である。 「買収防衛」とは、「一歩ずつ常に先手を打つことで、できる限り時間を稼ぎ、最終的に、会社の企業価値や株主共同の利益に照らして最善の解決策に辿り着くという試みに他ならない」(エピローグから)という著者が、アクティビスト、敵対的買収、買収防衛策、米国・欧州・日本の法的規制と判例の動向などを論じたもので、資本市場の見方について、示唆するところが多い好著である。
Posted by
- 1
- 2