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「戦前」の正体 の商品レビュー

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26件のお客様レビュー

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2024/08/19

わたしの個人的な思想はリベラル寄りで、いわゆる「歴史修正主義」的な動きなど、右派論壇に対してはつねに批判的な視線を向けてきた。関聯する記事などもよく読むのだが、そこでしばしば用いられるのが「戦前」という言葉である。「戦前回帰」といった形で眼にすることも多いが、しかしその実、われわ...

わたしの個人的な思想はリベラル寄りで、いわゆる「歴史修正主義」的な動きなど、右派論壇に対してはつねに批判的な視線を向けてきた。関聯する記事などもよく読むのだが、そこでしばしば用いられるのが「戦前」という言葉である。「戦前回帰」といった形で眼にすることも多いが、しかしその実、われわれは「戦前」という言葉をイメージでしか捉えておらず、正しく理解できているとは言いがたい。そこで今回は、正しい「戦前」像を理解するために、「新書大賞2024」で第7位になった本作を読んでみた。内容的には、「創られた『伝統』」という、よく知られた言いまわしがあるが、たとえば「八紘一宇」というキイワードがいかに「創られた」かを解き明かすなど、それほど目新しさはない。それでも知らなかった智識もあってなかなか刺戟的な読書体験であった。とくに、著者は「『ネタ』が『ベタ』になる」と表現しているが、いわゆる「戦前」ムードが形成されるにあたっては、もちろん「上」が「あえて」利用して煽ったことが要因としてはもっとも大きいけれども、「臣民」の側がときにはそれ以上に「暴走」した結果、しだいに天皇の言動にまで影響を与えるほど大きな存在になっていったということは衝撃的であった。著者は「戦前」という言葉が安易に使われすぎていると指摘し、また「戦前」を全否定するような言説にも顔を顰めており、それはそうなのだが、「『ネタ』が『ベタ』になる」危険性を考えてみれば、やはり警鐘を鳴らさずにはいられない。大事なのは本作を読んでただ終わりにするのではなく、現実世界にも確実にある「戦前」の実を摘んでゆくことではないかと切に思った。その理解の第1歩として本作があるのだと思う。

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2024/07/15

日本の神話が戦前のプロパガンダにどう使われてきたのか、体系的に整理された良著。明治維新からひもといた点が特筆される。

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2024/06/11

神話は実話かどうか実証できない分、良くも悪くも解釈の自由度があり、状況によって利用されがち。 それは日本だけではなく、キリスト教なども同様。

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2024/05/16
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※このレビューにはネタバレを含みます

スタンスの置き方が難しい時代を極めてバランスよく記述してありました。日本の神話って名前が難しくてなんか取っ付きにくかったのですが、ザックリわかり易く纏めてあり、有益。確かに神話を踏まえないと戦前は理解できませんね。架空であるが故に自由度の高い神話をネタとして急速な近代化を進め、その後、逆にこのネタにしばられるようになってしまった日本。物語がないと国民国家はできないが、物語の行き過ぎが自滅をもたらす。歴史は繰り返す。やはり冷静な勉強は大事ですね。良書。

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2024/05/07

なんか見たことある主張だなと思ったらプロパガンダ研究の人だ。と気づいたのは読後。「戦前」というキーワードには、様々な思惑により恣意的に加工された産物であり、その正体を捉えるのは難しい。タモリ発言「新しい戦前」という言葉も、プロパガンダ化することで、後乗せサクサクてんこ盛りのバズワ...

なんか見たことある主張だなと思ったらプロパガンダ研究の人だ。と気づいたのは読後。「戦前」というキーワードには、様々な思惑により恣意的に加工された産物であり、その正体を捉えるのは難しい。タモリ発言「新しい戦前」という言葉も、プロパガンダ化することで、後乗せサクサクてんこ盛りのバズワードに仕立てたい輩の思惑を感じる。

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2024/03/30

大日本帝国を宗教国家として見た時の、奇妙な天皇崇拝はどうやって形作られたのか? 明治からの政府が作った上からの宗教と、草の根的な下からの宗教が結びつく流れが面白かった。 木村鷹太郎、通称キムタカのオカルトとしか言いようのない日本書紀はそもそも世界の話をしていたという解釈は、抱腹絶...

大日本帝国を宗教国家として見た時の、奇妙な天皇崇拝はどうやって形作られたのか? 明治からの政府が作った上からの宗教と、草の根的な下からの宗教が結びつく流れが面白かった。 木村鷹太郎、通称キムタカのオカルトとしか言いようのない日本書紀はそもそも世界の話をしていたという解釈は、抱腹絶倒するほどに面白いと同時に、これだけ賢い人がオカルトに傾倒してしまうというオウム真理教の様な怖さがあると感じた。

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2024/03/28
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

タイトルから少し怪しいイメージをしていたが、読んでみたらしっかり分析してあり勉強になった。 初代神武天皇など昔は祀られていなかった人が国威高揚の為、祀られるようになったと言うのが驚きだった

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2024/03/17

博識で広範囲の史料からよく拾ったと思うが、ただそれだけで、国家の無能や責任に対する言及は薄く、命を落とした人々に寄り添う内容とは言えない。

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2024/03/10

日本神話をほとんど知らなかったので読むのに苦労しましたが、いかに神話が都合よく解釈され、利用されてきたかよく分かります。 東西問わず様々な宗教に共通することですね。

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2024/02/03

「戦後民主主義の永続・発展を望むにせよ、21世紀にふさわしい新しい国家像を描くにせよ、自分たちの立場を補強する物語を創出して、普及を図るしか道はない(8頁)」「人権も平等も皇室制度も貨幣も共産主義もすべて虚構であ(8頁)」れば、より良いところを鍛え上げていくための物語が必要。戦前...

「戦後民主主義の永続・発展を望むにせよ、21世紀にふさわしい新しい国家像を描くにせよ、自分たちの立場を補強する物語を創出して、普及を図るしか道はない(8頁)」「人権も平等も皇室制度も貨幣も共産主義もすべて虚構であ(8頁)」れば、より良いところを鍛え上げていくための物語が必要。戦前は、国家も国民も神話を利用したことを神話の地に建つ顕彰碑などを含めて知る本でした。

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