ミラーニューロン 新装版 の商品レビュー
先ず思いつくのが、痛みや悲しみの共感。スプラッター映画を見れば、まるで自らが切り刻まれるような嫌悪感に襲われる。このように目の前の行動だけがミラーリングされるのではなく、映像、更には、小説のような文字媒体であっても人は動作や感情を共有する事ができる。 この共感、あるいは模倣や学...
先ず思いつくのが、痛みや悲しみの共感。スプラッター映画を見れば、まるで自らが切り刻まれるような嫌悪感に襲われる。このように目の前の行動だけがミラーリングされるのではなく、映像、更には、小説のような文字媒体であっても人は動作や感情を共有する事ができる。 この共感、あるいは模倣や学習も同義に言えそうだが、つまりは行為や感性の複製こそが、人間が共通の音の振動に意味を共有するに至る能力の一つであり次には振動の意味を記号や傷の象形として用い、言葉が生まれていく。身振り手振りに意味付けしてコミュニケーションしていたものが、振動から音、音から傷へとデジタル化された。意味を仮託されたそうした記号に比べれば、目の前の人の動作に反応するなど、造作もない事に思える。 ミラーニューロンとは、霊長類などの高等動物の脳内で、自ら行動する時と、他の個体が行動するのを見ている状態の、両方で活動電位を発生させる神経細胞の事。自分事として捉える事が種全体のツール活用を促したのだろう。学術的にも面白い本だった。
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