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火山の下 の商品レビュー

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2024/11/19
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※このレビューにはネタバレを含みます

10月でしたか、某界隈ではスマホを捨てて不得手な分野の本を読むのが流行ってるみたいなことを書きましたが、じゃあ難しい本でもオーケー? ってことでこの本を借りてきました。大江健三郎が著書のなかで何度も言及していたのでずっと気になってたのですが、すごく難しいのでしょう? と敬遠してきちゃって。そしたら訳者さんまで「とにかく一筋縄では読み解けない」ってあってさらにハードル上がるの巻。 が、ね、読み始めてすぐでした、これはガルシア=マルケス(なんでイコールなんだろ?)『百年の孤独』そのものじゃないか! と気づきました。そしたらマルケスさんこの本を何度も読み返したんだそうです。こっちが本家でした。そうなるとジョイスの『ユリシーズ』っぽくも思えたのですが、作者のマルカム・ラウリーはダンテの『新曲 地獄篇』をイメージして書いたんだとか。つまりは凄まじく読み難い本なのでした。 といいつつも、しかしこの本は、ぶっちゃけ「浮気した妻のことが許せない哀しき男」の物語なんですね? たぶん。この単純なテーマをよくぞここまで複雑(というかわけわからない!)に書いたなと思わないでもないんですが、でもね、あたし、このわけのわからなさがある意味でわかるんです。義母の言動と同じなんですよ。 これも前回読んだ脳の本からの請け売りですが、ラウリーさんアル中だったらしいんです。だから左脳の機能が低下していて右脳力全開でこの本を書いたんじゃないかな? 大江さんもいつからかウイスキー痛飲してたような。そう思うと今の義母こそがこの本を楽しく読めるのではないか?  話はドーンっと飛びまして、この数年(特に新コロ禍以降)の世の中が怖いんです、私。皆さん真面目が過ぎません。正論に溢れちゃって。あっちの正論こっちの正論に振られまくってこのありよう。それもこれも左脳=理性的なるものに頼り過ぎなんでは? 脳みそはときどき嘘をつくんです。なぜなら退屈に飽きちゃうから。それを危惧したからこそラウリーはこの本を書いたのでは? 況や大江さんの小説もまた……。 《三日月形の車回しを上がっていくとき、地面にぽっかりと口を開けた穴ぼこはもとより、サングラス越しにぼやけた鉛色を浮かべ、不当な渇きのゆえにいたるところで枯れつつ、お互いに寄りかかるように見えながらも、まるで末期に及んで性の楽しみを求める夢を、あるいは空しい生殖を一度に試みる幻想を抱いて死にゆく快楽主義者のごとく悶えている背の高い異国風の植物たちが如実に語る悲劇を目の前にして、領事の漠然たる想像のなかで、自分のそばを歩きながら自分のために苦しんでいる人物は、過去を振り返り、解釈を与えながらこう語っていた》

Posted byブクログ