日本の会社のための人事の経済学 の商品レビュー
ジョブ型、メンバーシップ型、成果主義などのメリットとデメリットがわかるだけでなく、どうあるべきかを職務内容や企業ごとに解説している。 理想論と思われるが、かっちりとした制度がある会社が利益を出しているわけでない理由がわかった気がする。 コロナ後の働き方、ハイブリッドワークにま...
ジョブ型、メンバーシップ型、成果主義などのメリットとデメリットがわかるだけでなく、どうあるべきかを職務内容や企業ごとに解説している。 理想論と思われるが、かっちりとした制度がある会社が利益を出しているわけでない理由がわかった気がする。 コロナ後の働き方、ハイブリッドワークにまで踏み込んでいるので、いろいろと参考になった。
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著者は、以前からジョブ型雇用の普及を推進してきた立場とのことだが、最近のジョブ型雇用ブームには誤解が多いと言う。 ジョブ型だから解雇自由というのは完全な誤解だし、ジョブ型=成果主義というのも誤解で、ジョブ型雇用は職務に賃金が結びついているので成果主義の要素が元来無い。Job D...
著者は、以前からジョブ型雇用の普及を推進してきた立場とのことだが、最近のジョブ型雇用ブームには誤解が多いと言う。 ジョブ型だから解雇自由というのは完全な誤解だし、ジョブ型=成果主義というのも誤解で、ジョブ型雇用は職務に賃金が結びついているので成果主義の要素が元来無い。Job Description(ジョブ定義書)があればジョブ型ということでもなく、メンバーシップ型雇用でもJDは有用であり得る。 そして、ジョブ型雇用はテレワークの要件でもない。テレワークが進まないのはジョブ型とは関係なく、環境・制度の準備ができていなかったただけ。テクノロジー遠最大活用すれば、対面と変わらぬレベルでのコミュニケーションが実現できるはずだと。 一方で、日本特有のメンバーシップ型無限定正社員システムは、年功昇進と後払い賃金の仕組みとの組み合わせで、かつては有用であったが、自己犠牲や長時間労働などの弊害を孕んだシステムであるだけでなく、経済・社会の不確実性の増大、少子高齢化などの環境変化により、イノベーション力や共働き・シニア雇用などの多様性が求められる状況下で限界を迎えている。 ここにどのようにしてジョブ型雇用を採り入れていくか?著者の提唱するジョブ型への現実的な移行戦略は「途中からジョブ型」の導入、無限定メンバーシップ型との複線化だと言う。 日本企業がマクロ環境の変化に対応して、ジョブ型雇用をうまく活用しながら、イノベーティブで多様性を生かした組織になっていくにはどうしたらよいのか?著者が挙げるポイントは、自己犠牲・減点主義に基づく評価を改め過去の成果ではなく将来に向けた変化を評価すること、多様な構成員に「職場にいないことを許容する仕組み」を提供しつつ求心力を生み出すために企業の理念・社会貢献目標などのパーパスを共有すること、構成員のウェルビーイングの向上を通じて人的資本が一定でもその稼動率を上げることでパフォーマンスを高めること。 自分の勤めている会社でも、ここにきてジョブ型雇用の導入や評価制度の改変など、動きが始まっているが、それらをどう捉えてどのように運用していくべきか、指針を与えてくれる良著であった。
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