ADHDの僕がグループホームを作ったら、モヤモヤに包まれた の商品レビュー
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障害者の当事者側と支援者側の両方の視点が分かるものだった。 著者はADHDなので障害者の世界をメインに書いているが、障害者に限った話ではなく、頷ける部分がたくさんあった。 "「あなたはあなたのままでいい」という言葉が向けられても違和感を感じてしまう。ー障害者も障害に甘えて何かをごまかしたり、「ありのまま」に振る舞い続けて周りの人を疲弊させていたり、権利ばかりを強く主張して相手を困らせたりすれば、その場=社会にいられなくなっていく。" 障害者でなくても同じだよなぁと突き刺さった。どんな立場でも「自分のありよう」を考えたいと思う。 当事者でありながらグループホームを立ち上げる際に "日々の中でここにいていいのだと感じられる事、安心して失敗できること、一緒に考えてもらえること、何度でも教えてもらえること、ダメなことはちゃんと叱ってもらえること、自分の存在を喜んでもらえること" ができる環境を作りたいと書いてあったが、グループホームに限らず、子育てする中でもそういった環境を作りたいと思った。 "医療の現場では、「多様な方達に対して医師がどれだけチューニングできるか」と思っていてー 医師の価値観を押し付けるのは絶対いけない事で、相手の価値観に僕がどれだけ乗れるかみたいなところがある。その人がすごく悪いことをしたらなんてことしたんだ!と思うけど、「でもそれしかできなかったんだよな」って自分の頭の中で切り替えて、その上で「この方に医師としてできることはなんだろう?」と考えていく。" 今子育て中だが、親として子供に接する時に心がけたいと思った。 また、第二章は当事者の失敗や、失敗との向き合い方について書かれていたが、子育てにも当てはまる部分が多く勉強になった。 "トラブルを周囲で解決して本人に責任を取らせない、これが本人を守ることになる?例え痛みを伴うものであってもその人のもの。「ごめん」も「ありがとう」も、ひとつ一つを本人が自分のものとして実感できるようにすることが、社会の一員になることを助ける支援なんじゃないか。" "育ちというのは痛みを伴うもので、成長というのは失敗を繰り返すこと。" また、グループホーム利用者のエピソードは視点が鋭くて面白かったし、著者と田中先生との対談は温かみがあって良かった。 障害関係なく、当事者も支援者も心地よくいられる方法を教えてくれる本でした。
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