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100分de名著 ヘーゲル『精神現象学』(2023年5月) の商品レビュー

4.2

11件のお客様レビュー

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2024/03/18

右も左も耳を傾けるべき。相互承認を続けるための自己批判の可能性。斎藤さんは世に数多いる左翼とは一線を画する人物であることがよく分かった。 信仰を馬鹿にする啓蒙の浅はかさの主張が白眉か。

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2023/11/05

 難解な哲学書の1つである『精神現象学』を、できる限りわかりやすく、要点をまとめたのが本書である。他者との関わりを重視するところが、ヘーゲル哲学の特徴であるが、第4回で、相互承認を理解するために、進撃の巨人の一場面を取り上げたのは意外であった。本書にあるように、相互承認によって、...

 難解な哲学書の1つである『精神現象学』を、できる限りわかりやすく、要点をまとめたのが本書である。他者との関わりを重視するところが、ヘーゲル哲学の特徴であるが、第4回で、相互承認を理解するために、進撃の巨人の一場面を取り上げたのは意外であった。本書にあるように、相互承認によって、社会にはびこるコンフリクトそのものを解消することはできない。しかし、適切な処理を可能にする、開かれた態度が相互承認である。これは、たしかに、進撃の巨人のテーマ、とくに最終話を彷彿させる。

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2023/08/14
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

「近代社会では、規範や伝統を踏まえた絶対的な基準がないため、各人が信じたいものを信じる相対主義となる」という部分は、意見が氾濫して社会の分断が深まる現代社会を上手く言い当てていると感じた。 一方、その対処方法として、「科学を特権視するのではなく、科学(啓蒙)と信仰の『相互承認』」としているのは疑問も残る。 あらゆる意見が相対化されると社会は分裂するので、一体感を保つには拠り所が必要。もはや信仰や伝統を無条件で信じられない以上、拠り所は科学しかないように感じた。勿論、科学的な証明は時間を要するので、その間意見が乱立し、有用性に取り込まれることもあるだろうが、人々が共通認識を持つ上では、科学的な裏付けに頼る以外にないのではないか。

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2023/07/25

難解な書をかなり分かりやすく解説してくれている。啓蒙と信仰の戦い、論破する人に足りない視点、反省など、一つひとつのトピックがうまくまとまっていた。

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2023/06/15

Eテレの放送は見ていたようなみていなかったような、という感じ。 ヘーゲルは好きじゃない。40年前の大学時代に弁証法を教えられたが、納得できなかった。 命題(テーゼ)に対する反対命題(アンチテーゼ)、その対立から止揚(アウフヘーベン)されてた新しいテーゼ。そんな莫迦なことあってた...

Eテレの放送は見ていたようなみていなかったような、という感じ。 ヘーゲルは好きじゃない。40年前の大学時代に弁証法を教えられたが、納得できなかった。 命題(テーゼ)に対する反対命題(アンチテーゼ)、その対立から止揚(アウフヘーベン)されてた新しいテーゼ。そんな莫迦なことあってたまるものか。 マルクスは交換価値の段では、商品の「命がけの跳躍」と言っていたくせに、労働価値にアウフヘーベンされたら、生産性向上による価値の獲得を収奪と決めつける欺瞞。ドイツ観念主義なんてくだらないと思っていた。 さて、本書で説明される弁証法はぜんぜん違う。何しろヘーゲルが弁証法を唱えたわけではないという。 (引用)自分の知が否定されるような矛盾に耐えて考え抜き、悪いところは棄て、良いところは残しつつ、より高度の知を生み出していく 全然、マルクスと違いじゃないか。 本書は、信仰なき論破について、反論することが目的化して共通認識に至ることがないと批判する。また、「啓蒙」には相手を信頼する態度に欠くとする。 現代日本でも、論破に血道をあげている輩も多いし、正しいことを主張しているつもりで全然共感を集まられない集団もいるなあ。 「行為する意識」に自己批判と「評価する意識」の赦しが相互承認の関係の実現に至る。成程と思うが、トランプ支持の共和党員とか、ワクチンにはICチップが入っていると主張する人たちは自己批判も「然り!」という赦しも受け付けないだろうなあ。 講師役の斎藤先生は100分de名著に加筆した「ゼロからの『資本論』」という本があると広告があった。さて、どうしよう。

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2023/06/14

「ヘーゲル『精神現象学』」斎藤幸平著、NHK出版、2023.05.01 131p ¥600 C9410 (2023.06.14読了)(2023.04.28購入) 難攻不落の大著 ・カント『純粋理性批判』 ・ハイデガー『存在と時間』 ・ヘーゲル『精神現象学』(上記二著の50倍ぐらい...

「ヘーゲル『精神現象学』」斎藤幸平著、NHK出版、2023.05.01 131p ¥600 C9410 (2023.06.14読了)(2023.04.28購入) 難攻不落の大著 ・カント『純粋理性批判』 ・ハイデガー『存在と時間』 ・ヘーゲル『精神現象学』(上記二著の50倍ぐらい難しい) (いずれも最初の巻だけ買って積読してあります。) 【目次】 【はじめに】社会の分断を乗り越える思想 第1回 奴隷の絶望の先に ―「弁証法」と「承認」 第2回 論破がもたらすもの ―「疎外」と「教養」 第3回 理性は薔薇で踊りだす ―「啓蒙」と「信仰」 第4回 それでも共に生きていく ―「告白」と「赦し」 ●他者との協働が不可欠(49頁) ヘーゲルによれば、個々の「私」は「私たち」のもとでさまざまな認識や知を獲得し、「私たち」の次元でこそ自由を実現できるといいます。つまり、知の獲得や自由の実現には、他者との協働が不可欠なことを示したのです。 「精神」章においてヘーゲルは、社会の中で多くの他者と交わり、影響を受けながら、「私」が「私たちの中の私」として成長していく過程を描いています。ここにこそ、ヘーゲル哲学の画期性があるのです。 ☆関連図書(既読) 「ヘーゲル・大人のなりかた」西研著、NHKブックス、1995.01.20 「「幸せ」について考えよう」島田雅彦・浜矩子・西研・鈴木晶著、NHK出版、2014.05.30 「カント『純粋理性批判』入門」黒崎政男著、講談社選書メチエ、2000.09.10 「カント『純粋理性批判』」西研著、NHK出版、2020.06.01 「ハイデガー『存在と時間』」戸谷洋志著、NHK出版、2022.04.01 (アマゾンより) 分断の時代にこそヘーゲルの思考法が必要だ! さまざまな分断が可視化された現代社会にこそ、ヘーゲルの思考法が必要だ! ポスト・トゥルースの時代はなぜ訪れたのか? 意見を異にする他者と共に生きていくために必要なこととは? 矛盾や否定を重んじて弁証法によって自由を構想したヘーゲルの著作には、不毛な対立を乗り越えて社会を形作っていくためのヒントが詰まっている。 マルクスが「私は自分があの偉大な思想家の弟子であることを率直に認め」(『資本論』)と書くように、ヘーゲルは後世に多大な影響をおよぼした大哲学者だが、破格のスケールで展開される思考には独特の難解さが付きまとう。 今回「100分de名著」で取り上げるにあたっては、さまざまな補助線を示しながら解説。ベルリンにわたってヘーゲルを研究した斎藤氏が、近年アメリカで進んでいる再評価の成果も踏まえつつ、日本の一般読者に向けて易しく解きほぐす。

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2023/06/14

いままでで最もわかりやすいヘーゲルの精神現象学の解説である。この本を読んでさらに意欲がわいたら訳本を読んでみることがいいと思われる。

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2023/05/27
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

対話の重要性。相互承認することで、より強い信頼関係が築かれる。しかし、完全な解決は無いから、常に対話し相互承認を繰り返していくしかない。 難解にしているのは、ヘーゲルが理論の用語を本来の言葉の意味と違う意味付けをして使っている事、文章自体が分かりづらい事である。これをここまでかみ砕いて説明してくれた斎藤幸平さんが本当に素晴らしい。

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2023/05/24

弁証法も含めて、難解でしたが、番組と合わせてテキストを読むと、なんとなくわかった気がします。人間はやはり両論併記の中で、生きていますね!然り!

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2023/05/06

初回を観て購入。個人の自由と社会の調和に関心があったし,「完全にわかりあえない他者と,共に生きていくためには何が必要か」(8ページ)はここ数年職場関係で思うところもあって気になったり。 相手を批判ばかりしている「評価する意識」が強すぎるのかもしれない。 丸く収まることはないか...

初回を観て購入。個人の自由と社会の調和に関心があったし,「完全にわかりあえない他者と,共に生きていくためには何が必要か」(8ページ)はここ数年職場関係で思うところもあって気になったり。 相手を批判ばかりしている「評価する意識」が強すぎるのかもしれない。 丸く収まることはないから,自分を見つめ直しつつ,根気よく相手に向き合って対話を続けていくしかない模様。。。 放送で理解を深めたい。 『精神現象学』を購入するかどうかは悩み中。。。

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