森のバルコニー の商品レビュー

ジュリアン・グラック(著者),中島昭和(訳者)

2023/08/28

得も言われぬ感覚、ちょっとこれは初めてのものかも。
森の息遣いが主題のようで、人間の営みはこの偉大なる主人公の言ってみれば邪魔をするだけのもの。
それだけに戦争という愚行が際立つのですが、この戦争も森からしてみれば非現実的なもののように思えてくるところがある意味怖い、そしておそらく現実的。
今、私たちが暮らす日本は実際はこの森であり、そこの住人は何となく不安に怯えつつ、穏やかともいうべき日常を「まったり」と過ごしているのかも。
うーん、この本、ほとんど起伏のない描写なのですが、内容はなかなか刺激的。何年かして再読したい1冊です。