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過去を売る男 の商品レビュー

3.8

12件のお客様レビュー

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2026/01/24

内戦終結後のアンゴラで、新興富裕層に由緒ある家系を“作る”仕事をしているフェリックス。彼の生活、仕事、人間関係が、家に住むヤモリ(前世はボルヘス?)の視点で描かれる。内戦の傷痕、新しい記憶。現実を変えていく嘘と夢。幻想的な美しさと生命力溢れる逞しさが同居した作品。 『忘却について...

内戦終結後のアンゴラで、新興富裕層に由緒ある家系を“作る”仕事をしているフェリックス。彼の生活、仕事、人間関係が、家に住むヤモリ(前世はボルヘス?)の視点で描かれる。内戦の傷痕、新しい記憶。現実を変えていく嘘と夢。幻想的な美しさと生命力溢れる逞しさが同居した作品。 『忘却についての一般論』に続いてのアグアルーザ、前作に負けずこちらも良い。混乱も暴力も過去になりきっていない世界の通奏低音のような緊張感と不安感。その土壌の上に綴られる繊細で力強い言葉の鮮烈な色彩。欧米ど真ん中の文学とは一味違う魅力が確かにある。

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2025/07/28

自分の過去を売ってお金にするうちに自分の過去の記憶が無くなる的なSF話を想像していたのだが、もっと現実的な話だった。 今まで読んだどの本とも似ていない。それは、アイデアが奇抜だという意味でではなく、土台となっている価値観も小説の書き方も自分の知っているものと遠いという意味で。 読...

自分の過去を売ってお金にするうちに自分の過去の記憶が無くなる的なSF話を想像していたのだが、もっと現実的な話だった。 今まで読んだどの本とも似ていない。それは、アイデアが奇抜だという意味でではなく、土台となっている価値観も小説の書き方も自分の知っているものと遠いという意味で。 読んでいるとアンゴラの匂いが本当に漂ってくる本だった。

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2025/01/24

家系を偽造する仕事をしている男が受けた、とある依頼から、やがて波乱に満ちた国の歴史のほんの一部が垣間見えてくる。戦争とは、受け継がれていく家族の記憶をバッサリ断絶させるものだと改めて実感する。 とはいえ哀しく重い話ではなく、ヤモリが語り手であることを筆頭に、どちらかといえばユーモ...

家系を偽造する仕事をしている男が受けた、とある依頼から、やがて波乱に満ちた国の歴史のほんの一部が垣間見えてくる。戦争とは、受け継がれていく家族の記憶をバッサリ断絶させるものだと改めて実感する。 とはいえ哀しく重い話ではなく、ヤモリが語り手であることを筆頭に、どちらかといえばユーモアの印象が残る。

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2024/04/05

夢と現実の境い目、うそとまことのさかいめ 人だけでなく、国も町も草花さえも……。 物語はフェリックスの家にいる一匹のヤモリの視点で語られる。また、ヤモリの一人称でも語る章もある。その様子は、どうやらタダのヤモリではなさそう……。 過去を新たに構成して物語のように作り欲する人に...

夢と現実の境い目、うそとまことのさかいめ 人だけでなく、国も町も草花さえも……。 物語はフェリックスの家にいる一匹のヤモリの視点で語られる。また、ヤモリの一人称でも語る章もある。その様子は、どうやらタダのヤモリではなさそう……。 過去を新たに構成して物語のように作り欲する人に与えるフェリックスのもとへ、自分の名前と過去を新たに作ってもらった男が、ウソの過去を現実にたどる旅を語りにくる。 それを見つめるヤモリとフェリックスたちは、夢の中で対話する。 そして結末は……。 「夢を持つことと、夢を作ることは、少し違う。 そう、ぼくは夢を作ったんだ」 平凡な人間なんてひとりもいない。

Posted byブクログ

2024/03/30

良かった。同じ作者の本を図書館で予約する位に良かった。(既読だった) 職業が過去(戸籍?)を売る男(アルビノの黒人)の家に暮らすヤモリが前世の人間の記憶を持っていて、そのヤモリが語り手。奇想天外な設定だが、特に本編には関係なく。 要するにあらすじとかどうでもいいんだよね。読者への...

良かった。同じ作者の本を図書館で予約する位に良かった。(既読だった) 職業が過去(戸籍?)を売る男(アルビノの黒人)の家に暮らすヤモリが前世の人間の記憶を持っていて、そのヤモリが語り手。奇想天外な設定だが、特に本編には関係なく。 要するにあらすじとかどうでもいいんだよね。読者へのもてなし方なんだと思う。別に何か目玉になるような謳い文句があるわけじゃないけど、ふらっと入った店や宿が、理由もなく心地よく、ぜひまた来たい。そう思わせる力があるんだよねえ

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2024/03/28
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

アンゴラの作者。 語り手はヤモリ。 それもかわった種類の。 家主の生活を観察している。 やぬしの仕事は過去を新しく作り直すこと。

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2024/01/06

文学ラジオ第120回https://open.spotify.com/episode/6P8w7vobXMsXjcjBEdujmd?si=1491087b74d843a5 ユーモアが散りばめられているし、長い作品でもないので、海外文学を読みなれていない人でも読みやすい一冊だと思...

文学ラジオ第120回https://open.spotify.com/episode/6P8w7vobXMsXjcjBEdujmd?si=1491087b74d843a5 ユーモアが散りばめられているし、長い作品でもないので、海外文学を読みなれていない人でも読みやすい一冊だと思う。読んでいるとはっとさせられる文章も多く、この短い文章の中に、よくこんなにもウィットを詰め込むことができるなと驚嘆した。 アグアルーザは注目の作家。「忘却についての一般論」もよかったので今後も彼の作品が翻訳され続けて欲しい。 アグアルーザのストーリーは魅力的。戦争があって、貧しくて、ろくでもない世界かもしれないが、そこにユーモアが溢れていて、人物がやたらいきいきしている。アンゴラの作家というと日本から程遠く感じるかもしれないが、妙に愛着を持てる作品を書いているので、物語が好きな人は好きになると思う。

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2023/11/03

南米文学に近いテイスト、夢幻のイメージやビジュアル、五感に訴えてくる文章。しかしかなり整然と書かれており、読みにくさはない。 発想、構想、登場人物、全てユニークで、文章も独特の美しさがある。アート感の強い作品で、完成度も高い。映画を観たような読後感。 海外を旅行中にカフェで読んだ...

南米文学に近いテイスト、夢幻のイメージやビジュアル、五感に訴えてくる文章。しかしかなり整然と書かれており、読みにくさはない。 発想、構想、登場人物、全てユニークで、文章も独特の美しさがある。アート感の強い作品で、完成度も高い。映画を観たような読後感。 海外を旅行中にカフェで読んだりするのにぴったりかもしれない。

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2023/08/01

舞台はアフリカのアンゴラの首都ルアンダ。語り手はなんと前世が人間の一匹のヤモリである。 ヤモリは過去を売る男ーアルビノの黒人、フェリックス・ヴェントゥーラの家に住みつき、彼とは親友だった。フェリックスもヤモリに話しかけながら暮らしていた。そこにジョゼ・ブッフマンという白人の男が自...

舞台はアフリカのアンゴラの首都ルアンダ。語り手はなんと前世が人間の一匹のヤモリである。 ヤモリは過去を売る男ーアルビノの黒人、フェリックス・ヴェントゥーラの家に住みつき、彼とは親友だった。フェリックスもヤモリに話しかけながら暮らしていた。そこにジョゼ・ブッフマンという白人の男が自分の過去を作って欲しいとやって来て… 時折ヤモリの夢の内容が挿入されたり、ユーモアたっぷりで、なんだかうっすら夢見心地でアンゴラの様子をヤモリの目を通してみているような感じだが、事態は急展開を迎える。その瞬間から、まるで目が覚めたようだ。 急に革命や内戦などの血生臭さと痛みを突きつけられ、ハッとさせられる。 不可思議ながらも読みやすく、心地よく読めた。 読み返すと考察のしがいのある作品かもしれない。

Posted byブクログ

2023/06/16
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

期待していたほど面白くはなかった。筋書きが希薄でふわっふわしている前中盤も微妙だったけど、終盤で一気に「物語」に収束・回収されてしまうのも、それはそれで残念な気持ちになる。 だいたい、「過去/記憶とは本質的に曖昧で絶えざる改竄の上に成り立っているものである」とか、「夢は現実よりもリアルだ」みたいな、ひじょーにありふれたうっすいテーゼを基盤にしている時点でゲンナリしてはいた。 「文学好きへの目配せ」も腹立つ。大衆化したポストモダン現代文学の典型といったかんじ。 しかし巻末訳者解説で、40年にわたって内戦・内乱が続いたアンゴラの想像を絶する政治状況の歴史をさわりだけでも突き付けられると、平和ボケしたこの国でのうのうと生きるじぶんがこんな↑風にばっさりと切り捨ててしまうなんて言語道断で気が引けてくるな……。 これぞ海外文学を読む醍醐味!! どんどん「言ってはいけないこと」を口走っては罪を重ねていこうな

Posted byブクログ