過去を売る男 の商品レビュー
夢と現実の境い目、うそとまことのさかいめ 人だけでなく、国も町も草花さえも……。 物語はフェリックスの家にいる一匹のヤモリの視点で語られる。また、ヤモリの一人称でも語る章もある。その様子は、どうやらタダのヤモリではなさそう……。 過去を新たに構成して物語のように作り欲する人に...
夢と現実の境い目、うそとまことのさかいめ 人だけでなく、国も町も草花さえも……。 物語はフェリックスの家にいる一匹のヤモリの視点で語られる。また、ヤモリの一人称でも語る章もある。その様子は、どうやらタダのヤモリではなさそう……。 過去を新たに構成して物語のように作り欲する人に与えるフェリックスのもとへ、自分の名前と過去を新たに作ってもらった男が、ウソの過去を現実にたどる旅を語りにくる。 それを見つめるヤモリとフェリックスたちは、夢の中で対話する。 そして結末は……。 「夢を持つことと、夢を作ることは、少し違う。 そう、ぼくは夢を作ったんだ」 平凡な人間なんてひとりもいない。
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良かった。同じ作者の本を図書館で予約する位に良かった。(既読だった) 職業が過去(戸籍?)を売る男(アルビノの黒人)の家に暮らすヤモリが前世の人間の記憶を持っていて、そのヤモリが語り手。奇想天外な設定だが、特に本編には関係なく。 要するにあらすじとかどうでもいいんだよね。読者への...
良かった。同じ作者の本を図書館で予約する位に良かった。(既読だった) 職業が過去(戸籍?)を売る男(アルビノの黒人)の家に暮らすヤモリが前世の人間の記憶を持っていて、そのヤモリが語り手。奇想天外な設定だが、特に本編には関係なく。 要するにあらすじとかどうでもいいんだよね。読者へのもてなし方なんだと思う。別に何か目玉になるような謳い文句があるわけじゃないけど、ふらっと入った店や宿が、理由もなく心地よく、ぜひまた来たい。そう思わせる力があるんだよねえ
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文学ラジオ第120回https://open.spotify.com/episode/6P8w7vobXMsXjcjBEdujmd?si=1491087b74d843a5 ユーモアが散りばめられているし、長い作品でもないので、海外文学を読みなれていない人でも読みやすい一冊だと思...
文学ラジオ第120回https://open.spotify.com/episode/6P8w7vobXMsXjcjBEdujmd?si=1491087b74d843a5 ユーモアが散りばめられているし、長い作品でもないので、海外文学を読みなれていない人でも読みやすい一冊だと思う。読んでいるとはっとさせられる文章も多く、この短い文章の中に、よくこんなにもウィットを詰め込むことができるなと驚嘆した。 アグアルーザは注目の作家。「忘却についての一般論」もよかったので今後も彼の作品が翻訳され続けて欲しい。 アグアルーザのストーリーは魅力的。戦争があって、貧しくて、ろくでもない世界かもしれないが、そこにユーモアが溢れていて、人物がやたらいきいきしている。アンゴラの作家というと日本から程遠く感じるかもしれないが、妙に愛着を持てる作品を書いているので、物語が好きな人は好きになると思う。
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南米文学に近いテイスト、夢幻のイメージやビジュアル、五感に訴えてくる文章。しかしかなり整然と書かれており、読みにくさはない。 発想、構想、登場人物、全てユニークで、文章も独特の美しさがある。アート感の強い作品で、完成度も高い。映画を観たような読後感。 海外を旅行中にカフェで読んだ...
南米文学に近いテイスト、夢幻のイメージやビジュアル、五感に訴えてくる文章。しかしかなり整然と書かれており、読みにくさはない。 発想、構想、登場人物、全てユニークで、文章も独特の美しさがある。アート感の強い作品で、完成度も高い。映画を観たような読後感。 海外を旅行中にカフェで読んだりするのにぴったりかもしれない。
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舞台はアフリカのアンゴラの首都ルアンダ。語り手はなんと前世が人間の一匹のヤモリである。 ヤモリは過去を売る男ーアルビノの黒人、フェリックス・ヴェントゥーラの家に住みつき、彼とは親友だった。フェリックスもヤモリに話しかけながら暮らしていた。そこにジョゼ・ブッフマンという白人の男が自...
舞台はアフリカのアンゴラの首都ルアンダ。語り手はなんと前世が人間の一匹のヤモリである。 ヤモリは過去を売る男ーアルビノの黒人、フェリックス・ヴェントゥーラの家に住みつき、彼とは親友だった。フェリックスもヤモリに話しかけながら暮らしていた。そこにジョゼ・ブッフマンという白人の男が自分の過去を作って欲しいとやって来て… 時折ヤモリの夢の内容が挿入されたり、ユーモアたっぷりで、なんだかうっすら夢見心地でアンゴラの様子をヤモリの目を通してみているような感じだが、事態は急展開を迎える。その瞬間から、まるで目が覚めたようだ。 急に革命や内戦などの血生臭さと痛みを突きつけられ、ハッとさせられる。 不可思議ながらも読みやすく、心地よく読めた。 読み返すと考察のしがいのある作品かもしれない。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
期待していたほど面白くはなかった。筋書きが希薄でふわっふわしている前中盤も微妙だったけど、終盤で一気に「物語」に収束・回収されてしまうのも、それはそれで残念な気持ちになる。 だいたい、「過去/記憶とは本質的に曖昧で絶えざる改竄の上に成り立っているものである」とか、「夢は現実よりもリアルだ」みたいな、ひじょーにありふれたうっすいテーゼを基盤にしている時点でゲンナリしてはいた。 「文学好きへの目配せ」も腹立つ。大衆化したポストモダン現代文学の典型といったかんじ。 しかし巻末訳者解説で、40年にわたって内戦・内乱が続いたアンゴラの想像を絶する政治状況の歴史をさわりだけでも突き付けられると、平和ボケしたこの国でのうのうと生きるじぶんがこんな↑風にばっさりと切り捨ててしまうなんて言語道断で気が引けてくるな……。 これぞ海外文学を読む醍醐味!! どんどん「言ってはいけないこと」を口走っては罪を重ねていこうな
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書館の新着で見つけて何気に借りた本。アンゴラ文学を読むのは初めてだ。……というより、アンゴラってどこ?(笑) そのアンゴラを舞台に、依頼者にまったく新しい“過去”を創り上げる商売をしているアルビノの黒人と、彼の家に棲み着いた1匹のヤモリが語る奇想天外な物語だ。 このヤモリ、人語を...
書館の新着で見つけて何気に借りた本。アンゴラ文学を読むのは初めてだ。……というより、アンゴラってどこ?(笑) そのアンゴラを舞台に、依頼者にまったく新しい“過去”を創り上げる商売をしているアルビノの黒人と、彼の家に棲み着いた1匹のヤモリが語る奇想天外な物語だ。 このヤモリ、人語を解するうえ笑うこともできる。あまつさえ、人の姿をとって夢の中に現れることもある。その正体は実は……。 アンゴラの地理や歴史をまったく知らないのでストーリーを追うことしかできなかったが、なんともいえない奇妙な世界を堪能した。
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人は自分の過去を盛りがちだ。話しているうちに「盛った」内容が自分でも真実となり、過去の記憶が本当にあったことなのか、そうではないのかだんだんわからなくなってくる。 そういった「記憶」の曖昧さと、「記憶」と生活の相互作用がテーマなのかな、という感想を持った。 長い長い内戦終了後の...
人は自分の過去を盛りがちだ。話しているうちに「盛った」内容が自分でも真実となり、過去の記憶が本当にあったことなのか、そうではないのかだんだんわからなくなってくる。 そういった「記憶」の曖昧さと、「記憶」と生活の相互作用がテーマなのかな、という感想を持った。 長い長い内戦終了後のアンゴラで新興富裕層のために過去や家系を「作成」するのを生業とするフェリックス。その家に住むヤモリが語り手だ。 「過去を作る」仕事とそれをヤモリの目から語る?その設定だけで面白そうと読み始めた。 とにかくリーダビリティが高い。どんどん話に引き込まれる。登場人物は4人と一匹。当初は互いに無関係そうだった4人の関係が最後にあきらかになる展開には息を呑む。そして誰かの転生後らしいヤモリの正体は、夢の中でのフェリックスとの会話や回想でなんとなくわかってくる(そうきたか!)。 最後まで一気に読んだ後、もう1度最初から読み直したくなる1冊。
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