あなたを想う花(下) の商品レビュー
フランスのシャロン村で墓地の管理人として働く中年女性ヴィオレットと不実な夫フィリップを中心に、様々な愛と喪失の物語が過去と現在を行き来しながら94の短い章で綴られる。両親を知らず複数の里親の元で育ったヴィオレットはジョン・アーヴィングの『サイダーハウス・ルール』を、主人公の孤児ホ...
フランスのシャロン村で墓地の管理人として働く中年女性ヴィオレットと不実な夫フィリップを中心に、様々な愛と喪失の物語が過去と現在を行き来しながら94の短い章で綴られる。両親を知らず複数の里親の元で育ったヴィオレットはジョン・アーヴィングの『サイダーハウス・ルール』を、主人公の孤児ホーマーの境遇や生き方に共感し愛読する。亡き母イレーヌを他人の夫ガブリエルの墓に入れる為に訪れた警視のジュリアンとの出会い。イレーヌとガブリエルの秘められた大人の恋は繊細かつ思いやりをもって描かれる。多くを求めず、有り合わせの自由な日々を幸せと感じながらも、否応なく様々な死と向き合わされる墓地での日常の中で、ヴィオレット自身にも悲劇が訪れる。 折々に読み返してみたくなる本です。
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続いて下巻も読むことできた。 最後まで読むことでこの作品の良さがわかる。時系列が複雑で戸惑ったがそれもまたこの作品の魅力なのかもしれない。でもやっぱり登場人物の名前がゴッチャになって…。
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2023年上半期ベスト1。 フランスの片田舎、孤独ながら丁寧に送られる墓地管理人女性の暮らしに憧れが募り、「墓守女になりたい」などと思っていたら、徐々にあらわになっていく彼女の凄まじい悲劇…。過去の人生と、昔のあるカップルの物語と複数の筋が交錯しつつ、あるとは知らなかった謎が解か...
2023年上半期ベスト1。 フランスの片田舎、孤独ながら丁寧に送られる墓地管理人女性の暮らしに憧れが募り、「墓守女になりたい」などと思っていたら、徐々にあらわになっていく彼女の凄まじい悲劇…。過去の人生と、昔のあるカップルの物語と複数の筋が交錯しつつ、あるとは知らなかった謎が解かれていくミステリ小説でもあって、実に見事な構成。 でも誰も悪くなくて、自分の価値観で行動してただけなのに、すれ違い傷つけあってしまった悲しさよ。 自分にとって大切なものはなに?って、しっかり価値を見つめて、慈しんでいかなくちゃなんねえよと思いました。
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フランスの小さな町で墓地の管理人をしているヴィオレット。墓地にある管理人小屋で一人生活をし、墓地に訪れる人たちや、神父や墓掘人たちと静かな日々を送っている。そこにある男性が現れてからヴィオレットの日常に変化があって、過去の出来事が語られていく。なぜ墓地の管理人になったのか、過去に...
フランスの小さな町で墓地の管理人をしているヴィオレット。墓地にある管理人小屋で一人生活をし、墓地に訪れる人たちや、神父や墓掘人たちと静かな日々を送っている。そこにある男性が現れてからヴィオレットの日常に変化があって、過去の出来事が語られていく。なぜ墓地の管理人になったのか、過去に何があったのか。その出来事ひとつひとつの大きさ、衝撃がヴィオレットの喪失の深さを表している。過去に生きていたヴィオレットが少しずつ再生していく、生の喜びをまた見出していく過程が素晴らしい。
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上巻とは打って変わってミステリー要素の濃い内容になってきます。娘の事故の真相が徐々にわかってくるにつれてヴァイオレットがフィリップへのことを理解していきます。 「あの人はちっとも恵まれてはいませんでした。いつも孤独で不幸だったんですもの・・・。そんなに不幸にならなくてもいいと思う...
上巻とは打って変わってミステリー要素の濃い内容になってきます。娘の事故の真相が徐々にわかってくるにつれてヴァイオレットがフィリップへのことを理解していきます。 「あの人はちっとも恵まれてはいませんでした。いつも孤独で不幸だったんですもの・・・。そんなに不幸にならなくてもいいと思うくらいに・・・。」 最後にフィリップはなんかかっこいい描かれ方をしていますが、クズらしく女性とバイクのうちバイクを選びます。彼の役割は何だったのか。女性を不幸にするのが役割だったのですが、ヴァイオレットに新しい人生を始めるためのきっかけを与えるのが本当の役割だったのではないでしょうか。 ヴァイオレットは娘の事故の真相をなんとなくつかみことで過去と決別し、イレーヌ・ファヨールの日記で人を愛することの意味を知ります。さらに、サーシャの導きで墓場の管理人という天職を見つけます。サーシャはこの指輪物語でいえばガンダルフのような、ヴァイオレットを助けるためだけに生まれてきた男は役目を終えたら舞台からいなくなりました。あとはヴァイオレットが自分の人生を生きるだけになりました。 踏切の管理人から墓場の管理人に転職するというとんでもない物語であり、フランス人の考え方にびっくりして、さらにフレンチジョークで笑ってしまうという小説でした。いくらなんでも悲惨すぎる人生からの復活、そこにはかなりの偶然と強い意志があるのだということでしょう。
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