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鑑定学への招待 の商品レビュー

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2024/10/29
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副題の「『偽』の実態」に興味を惹かれて、図書館で衝動借り。 研究者が美術品の真贋をどのように見極めているのか、その一端を窺い知ることができて、とても面白かった。 とくに、素人でもわかりやすかったのは、「画絹」(絵が描かれる絹のキャンバス)に用いられる糸の太さや密度によって、画絹の製作年代を特定し、それに基づいて絵の真贋を判断するという方法。 時代が下るにつれて絹織物の技術水準が上がり、密度の細かい画絹が増えるため、絵画の作者が生きた時代には不釣り合いに密度が細かい画絹が使用されている場合には、贋作と判断しやすいそうだ。本書には真作と贋作の拡大写真が掲載されており、画絹の違いを実際に見比べることができるおかげで、非常によく納得できた。 ここまでの観察はさすがに難しいけれど、せめて専門家の100分の1でもいいから、こんなふうに絵をじっくりと観察できるようになれたら、これまで以上に日本画を楽しめるようになれそうだ。

Posted byブクログ

2024/04/15
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※このレビューにはネタバレを含みます

鑑定とは何か?どうやって行うのか?現在の鑑定にどんな問題があるのか?を提示している本。 鑑定の需要に比べてその形式が全く整っていない!というのは確かにマズそう。権威に従う通例があったり、マニュアルのようなものがあるわけでもなかったり。科学的な測定を除けば、未だに鑑定人の胸先三寸的なところが多く、それをどうにかしよう、というお話になっている。 文中では美術品(主に日本絵画)の鑑定のポイントが提示され、なるほどと思う反面、なかなかこれを習得するのは難しいと感じた。というのは、やはり美術品の鑑定は、その作者のタッチ、癖を見抜くことも重要になるからである。 鑑定力の認定として、鑑定士試験があればと素人考えで思いついたけれど、たとえば日本の美術品ですら、浮世絵、日本画、工芸、彫刻等あり、浮世絵の中でも歌麿、写楽、広重等、作者は多岐に及ぶ。 それらの鑑定資格をどうやって認定するのか?作者ごと?そんなに詳細な分類は現実的には不可能だろう。では浮世絵のくくりで?それもどうなのか…そもそも試験の点数だけで測れるのか? 鑑定は「この絵だ!」と、知っている絵が出てくるわけではなく、全く未知の絵の真贋を見極めるという作業なわけで…。 なので、鑑定学というのは、鑑定全体に共通するポイントを抑えるということになり、この本ではそれを紹介している。客観的に証明するという点ではやはり科学測定が信頼できるソースであり、あとは他者の書き足しがあるか、贋作の工作(古紙の色付け等)がないか、伝来のエピソード等。 資格はおいといて、学問としてのカリキュラムは講じられそうと思う。また、データの蓄積の上で判断するという言う点では、AIが鑑定する未来もあるのかも?

Posted byブクログ