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水戸学事始 の商品レビュー

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2024/12/22

 年を取ってきたせいもあろうか、最近自分の出身地である茨城が発祥の学問「水戸学」について関心を持つようになった。もちろん水戸学が尊王攘夷運動の思想的起爆剤となり、幕末の志士たちに大きな影響を与えたということは知っていたが、その全体像についてはあまり正確な知識を持っていなかったので...

 年を取ってきたせいもあろうか、最近自分の出身地である茨城が発祥の学問「水戸学」について関心を持つようになった。もちろん水戸学が尊王攘夷運動の思想的起爆剤となり、幕末の志士たちに大きな影響を与えたということは知っていたが、その全体像についてはあまり正確な知識を持っていなかったので、本書を手始めとして読んでみた。  本書は大学の教養科目「思想史」の講義録が元になっているので、基礎的なところから、かつ講義調で語られていて、とても取っつきやすい。  中でも「春秋公羊伝」が尊王思想及び正統論と正名論の基本を作っているということ、隠公元年の記述の意味についての説明のところなどは、とても勉強になった。また、『大日本史』編纂を巡る立原翆軒と藤田幽谷との対立が那辺にあったのかなど、とても分かりやすく解説されている。  ただ、「第12章 弘道館の創設と水戸の都市構造」のところ、水戸の都市構造が本当に著者の言うようなものなのか、ちょっと?

Posted byブクログ

2024/12/18

水戸学とその背景となる儒学に関する入門書です。どちらかというと儒学が多めな印象です。 その他、水戸藩の歴史や弘道館の歴史など幅広く水戸学関連内容も含んでいるため、そうしたことに興味がある人もおすすめです

Posted byブクログ

2023/06/29

第二次大戦前に日本に猖獗していた皇国思想の淵源である水戸学のなりたちについて。著者の大学の講義をベースにしたというだけあって水戸藩・水戸徳川家の歴史と儒教・朱子学の発展とそれを理解するための基礎情報を細かに解説し、『大日本史』の成立とその性質を通して前期水戸学・後期水戸学の違いを...

第二次大戦前に日本に猖獗していた皇国思想の淵源である水戸学のなりたちについて。著者の大学の講義をベースにしたというだけあって水戸藩・水戸徳川家の歴史と儒教・朱子学の発展とそれを理解するための基礎情報を細かに解説し、『大日本史』の成立とその性質を通して前期水戸学・後期水戸学の違いを詳述。江戸時代全盛の朱子学というよりは古来の儒教の『春秋』公羊伝による歴史の名分論と、葬式仏教のもとにもなった『家礼』の儒教式葬祭による身分社会の序列の理想化が『大日本史』編纂の方針となった前期水戸学から、あくまでも儒教的な意味の覇者として幕府ありきの「尊王攘夷」のはずが、諸外国の到来により過激化したスローガンと化した後期水戸学によって水戸藩の人士が内紛で自滅し結局はその幕府が倒れることになった皮肉ということを知った。重臣の家屋をつぶして創設された弘道館の位置は遠方にある有名な神社を結んだ線の交点にあるというオカルティックな説も面白かった、

Posted byブクログ