哲学がわかる 懐疑論 の商品レビュー
「それってあなたの感想ですよね」が小学生の流行語になってるらしい。これも懐疑論というか相対主義の一種と言えるだろう。本書はそれらに反論する形で論証していくという、ある意味マジメな内容ではある。とはいえ、論説としてのインパクトは懐疑論に軍配があがるので、総じて面白味に欠ける部分はあ...
「それってあなたの感想ですよね」が小学生の流行語になってるらしい。これも懐疑論というか相対主義の一種と言えるだろう。本書はそれらに反論する形で論証していくという、ある意味マジメな内容ではある。とはいえ、論説としてのインパクトは懐疑論に軍配があがるので、総じて面白味に欠ける部分はある。だからこそ必要だとも言えるのだろうが。 ただし、過度な懐疑論を真に受ける人は少数派だろうし、殆どの人は「思考実験」として割り切っている部分があるように思える。それをマジメに検証しているところか本書の野暮なところでもあり面白い部分でもある。結局は認識論に基づいて、信念や知識がどのように形成されるのか、という極めて古典的かつ現代においても重要な哲学的テーマが述べられているように思える。という意味では有益な書であると言えるだろう。 著者の結論としてはアリストテレスの徳や中庸を参考にしつつも、ピュロン派の探求の精神等々を用いて「自信を持ち、かつ謙虚であれ」というようになってはいるが、最後がちょっと「倫理的」になってしまったのはオチとしてどうなんだろうという気もする。
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