読み終わらない本 の商品レビュー
若松英輔さんが繰り返し引用する、石牟礼道子(いしむれみちこ)さんの「苦海浄土」や神谷美恵子さん、小林秀雄さんの作品とともに、読むこと、人生の目的について語りかける文章がやさしく心に届く。 ショーペンハウエルの「読書について」にまつわる読書における「過ぎたるは猶及ばざるがごとし」...
若松英輔さんが繰り返し引用する、石牟礼道子(いしむれみちこ)さんの「苦海浄土」や神谷美恵子さん、小林秀雄さんの作品とともに、読むこと、人生の目的について語りかける文章がやさしく心に届く。 ショーペンハウエルの「読書について」にまつわる読書における「過ぎたるは猶及ばざるがごとし」についての文章が興味深い。 まえに「読書について」を読んだとき、"多読に人生を費やす人間は自分で考える力を失う"の文章を読んで悲しくなって読書の意味ってなんだ?読まずに1人で考えた方がいいのか?とわからなくなっていた。 思索(≡咀嚼)しながら読むことで、紙に書かれた思想の足跡以上のものを見て、未知なる自己への道が開かれるという流れが綺麗だった。 今まで読んだ本を振り返って、思索できていただろうか?と思った
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寒いと思っていたのにいつの間にかコートはいらなくなっていた。季節はいつも気が付かないうちにやってくる。冬の寒い日、ぼくたちは、早く春が来てほしいと願う。でも、もし冬がなければ、春の意味を改めて感じることもないかもしれない。「人生における冬の季節」と表現すると、何か過酷な毎日を...
寒いと思っていたのにいつの間にかコートはいらなくなっていた。季節はいつも気が付かないうちにやってくる。冬の寒い日、ぼくたちは、早く春が来てほしいと願う。でも、もし冬がなければ、春の意味を改めて感じることもないかもしれない。「人生における冬の季節」と表現すると、何か過酷な毎日を想像するようだけど、そう感じる人ばかりでもない。冬こそ、もっとも確かに春を予告する、と感じる人もいる。 会いたいと思う人に会えるのはすばらしい。でも、君がその人のことをほんとうに強くおもっているのは、会えずにいて、会いたいと想っているときではないだろうか 。「思う」とき、ぼくたちの心の眼は、十分に開いていないのかもしれな い 。でも、誰かをほんとうに「想う」とき、その「眼」は、静かに 開き始める。肉眼でものを見ようとするときよりも、それが目では見えないときに開かれる。 書いたけど出さなかった手紙、書いたけど出さなかったメール、という経験はないだろうか。ある人のことを思いながら手紙を書く。すると、書こうと思ったときとちがったことを書いてしまって、出すのをやめたことはないだろうか。許せない、そう思った人に、あるいは、ほんとうに好きになった人に向かって書いた手紙を出さないまま、机の中にしまったことはないだろうか。ぼくはある。何度もある。そうなんだ。書くということは、思ったことを文字にすることだけではない。書くことで自分のおもいを知る。書くことで、ぼくたちは自分が何を感じ、どう生きてきたかを知る。「おもい」と一言でいうのは、簡単だ。でも、複雑な思い、という表現があるように、事実、「おもい」は、「思い」や「想い」という言葉では表現できない、深く、広い意味を持 っている。このことをめぐっては、また、次の手紙で。からだをいつも労ってください。君が、いちばん大事な人を大切にするように、自分自身のからだとこころを労ることを忘れないでいてください。君は君の「バラ」にも「責任がある」んだから。
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改めて慈しむことの大切さを、噛み締めた一冊…。対人への向かい方を、また、精進していこうと、思えました。 著者の書物はまた、手にとりたいですし、様々な、書籍に触れていこうと、思いました
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昨今、よくメディアにも登場する若松氏。読み終わらない本は手元に置いてあるだけでよい。また、かなしみ、いつくしむ、おもうなど、漢字に置き変えるとその意味合いも微妙に変わってくるなどを、深く探究されていた。一番印象に残ったのは思考ではなく、思索することの意味合い。人生への解答がないこ...
昨今、よくメディアにも登場する若松氏。読み終わらない本は手元に置いてあるだけでよい。また、かなしみ、いつくしむ、おもうなど、漢字に置き変えるとその意味合いも微妙に変わってくるなどを、深く探究されていた。一番印象に残ったのは思考ではなく、思索することの意味合い。人生への解答がないことは、生きていてわかってきたとは思うが、芯を支える部分を見失わないようにしたいと云うべきだろうか。詩を書いてほしいということをしきりに語りかけていた。それは生きていく上で必要になるものであると。ブームにのるだけではなく、自らがそう思うようになった時、詩にも触れていきたいと思った。
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エッセイストで詩人の若松英輔が若い人に向けた書簡の形で自分が影響を受けた本や著者について話し、それがどのように自分の思想を作っていったかを書いた本。 序盤と最後はとても良かったが、途中は少し言葉遊びのように感じてしまった部分がある。 それでも心の動きを大切にする著者らしく、温...
エッセイストで詩人の若松英輔が若い人に向けた書簡の形で自分が影響を受けた本や著者について話し、それがどのように自分の思想を作っていったかを書いた本。 序盤と最後はとても良かったが、途中は少し言葉遊びのように感じてしまった部分がある。 それでも心の動きを大切にする著者らしく、温かみに溢れる読書エッセイであった。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
これまでの本と同じように、やさしい文体で心が落ち着く文章だった。 本を読むこと、心のおもいを書くことについて、丁寧な気持ちが見て取れる感じで、共感しっぱなしだったかもしれない。『星の王子さま』『君たちはどう生きるか』『苦海浄土』『草枕』『読書について』などさまざまな言葉がちりばめられており、著者自身の詩についてもやさしい形になっている。 「おもう」ことの範囲の広さについても面白かった。 個人の細かい感情を表すことのできる漢字がこんなにたくさんあるということも、日本語の深さ・寛容さを感じることができた。 思う(思考——頭で考える) 意う(注意——意思、あるいは意志をもって感じる) 憶う(記憶——過去を今によみがえらせる) 想う(想像——見えないものを感じる) 忖う(忖度——相手の心を推し量る) 懐う(懐古——懐かしむ) 顧う(回顧——過去を顧みる) 恋う(恋愛——何かを恋する) 惟う(思惟——人間を超えた存在をおもう) 念う(祈念——言葉にならないおもいを宿す)(pp.32-33) ============ 「読書とは、信頼する人間と交わる楽しみであった」(伊藤仁斎)(p.14) 私がまだ始まらぬまえから 始まっていたいのちの音 座っていると その音は 永遠の宇宙から 愛しく哀しく 私の皮膚に包まれて こだましせまってくるのです(p.176) ショーペンハウエルが強く促すのは「考える」こと、彼がいう「思索」だ。「思索」と「思考」は違う。「思考」はすでにあるものを確かめるように考えることだが、「思索」は人が、おのれの固有の人生の問題と向き合い、その本質を見極めるために、「あたま」だけでなく、全身で生きてみることだといっていい。 (中略)「読む」ということと「思索」が呼吸のように自然にまじりあうとき、何かが起きる。未知なる自己へと通じる道が、ゆっくりと開かれてくる。その合図になるのは言葉だ。ある言葉と巡り合うとき、ぼくたちの「読む」という旅が始まる。(p.189)
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若年層に向けて書かれた本だと思いますが大人が読んでも大変心に染みる言葉がたくさんありました。 大変読みごたえがあり、二百数ページの本ですがじっくり読んだので三日かかりました。 人によってこの本で大事だと思うところはさまざまあると思いますが、私がメモしたところを少しだけ書いておき...
若年層に向けて書かれた本だと思いますが大人が読んでも大変心に染みる言葉がたくさんありました。 大変読みごたえがあり、二百数ページの本ですがじっくり読んだので三日かかりました。 人によってこの本で大事だと思うところはさまざまあると思いますが、私がメモしたところを少しだけ書いておきます。 私も自分だけの一冊をみつけたいと思いました。 ○「読書とは、信頼する人間と交わる楽しみであった」(伊藤仁斎) 本はいかに多く読むかが問題ではない。むしろ、どうやって「読み終わらない本」に出会うかが問題。 仁斎が『論語』を見つけたように、ぼくたちも「わたしの古典」を見つけて行かなくてはならない。 ○「人は心からも血を流します」(高橋巌) 言葉で世界が変わるなんて、大げさに聞こえるかもしれない。でもほんとうだ。言葉は世界を変え得る。むしろ、言葉こそ、世界の在りようを根底から変える「ちから」を持っている。 ○これからの時代、人を死に追いやるのは、病より孤独だという研究がある。言葉との波長が合いづらいこともある。エッセイを読むことも、一篇の詩を受け容れることも、むずかしく感じることがある。そんなときは、目にしている言葉を全部、読もうなどしなくていい。そのとき、ほんとうに必要な言葉を摂りいれればそれでいい。 ○高村光太郎は詩は人間が「書く」のではなく、人間から「生まれてくる」ものだという。人間の力で「作った」ものではなく、「いのち」から言葉が「生まれてくる」とき、それは自ずと詩になっていく。人生の困難にあるとき、ぼくたちを救うのは「作る」力だけではなく、さらにいえば「作る」力よりも「生む」ちからだ。 ○君にたくさんの本を読んでほしいとは思っていない。でも簡単に「読み終わらない本」には出会ってほしい。そして、君を変えるだけでない変わっていく君と共に「生きて」くれるような本に出会ってほしい。
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