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いなくなっていない父 の商品レビュー

3.9

14件のお客様レビュー

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2026/04/07

どこかで評判を聞いて読んだ本。 失踪癖のある父親をカメラマンの息子が撮影、対話し、自分の言葉で表現していく一冊。 しかし、なんか、まあ、作者の開陳具合が強くて、ウェットさにクラクラしてしまった。 作者のモラトリアムの延長感にも、なんとも乗り切れず。 世代は近いんですが。 この不安...

どこかで評判を聞いて読んだ本。 失踪癖のある父親をカメラマンの息子が撮影、対話し、自分の言葉で表現していく一冊。 しかし、なんか、まあ、作者の開陳具合が強くて、ウェットさにクラクラしてしまった。 作者のモラトリアムの延長感にも、なんとも乗り切れず。 世代は近いんですが。 この不安定な様子ゆえに目が離せず、最後まで読んでしまったというのが本当のところ。 失踪癖のある父親(離婚済、一人暮らし)は、かつてサッカーのコーチをやっていたころにも失踪していたの? 近年の失踪中はペットの犬はどうしてたの、とかいろいろ疑問。 母親はしんどかったに違いない。 失踪癖のある父に作者の顔はよく似ていて、内面にも似たところがあり、そこを恐れているのかもしれないと思えた。 NHKの撮影クルーもけっこう危なっかしい。 数回登場するなかでは、丘山さんが唯一普通の人なので出てくるとホッとする。 動物園のシーンはひとつも使われなかった、で笑った。

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2026/01/23
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図書館にて。 いなくなりがちな失踪癖のある父が、いなくなってないのでこの題名、不思議だがすごくこの本の内容にしっくりくるいいタイトルだと思った。 こういう、状況把握と解決能力のない人っている。 普通の人はそれを簡単にできる、あるいは大変だけれどせざるを得ないから頑張るし、やるしかない。 だけどその両方ができないあるいはしない、もっといえば必要なことが分からない。 この場合で言えば失踪することでお茶をにごすというか解決しようとしてる?それともただ逃げてる? …ということを筆者も父について一生懸命理解しようとするし、どういうことなのか考える。 それがすごくまじめで優しいと思った。 どうしようもないと許容し、その上でわかろうとする感じ。もっと怒ってもいいだろうし、肉親ならではの嫌悪感もあったりしそうなのに。 写真を撮るということは、撮る人というのは物事を客観的に深く考えられる人なのではないだろうか。 橋本一子さんの本を読んだ時も思ったが、写真を撮るように人を見ている見方が、そうではない人と違うのかもしれない。 とりあえずお父さんを被写体としてたくさん写真を撮り、父自身にも日々の生活を撮ってもらったりして時間が過ぎていく。 終始、筆者はどこか淡々と俯瞰しているようであり、父自身もフィルターのかかったような目線で不思議なたたずまいだ。 ラスト近く、筆者の出す父との関係の答えともとれる、題名にもつながる1文はいいなと思った。 「父が私のことを完全に拒絶するようなことはこれまで一度もなかった。父はたしかに何度もいなくはなったが、何度も戻ってきていて、結局いまのところ完全にはいなくなってはいない。今となっては、父の方から先に親子関係の放棄ともとれるようなことをしてくれたのは、息子である私にとってありがたいことだったのではないかという気にさえなっている。(256ページ)」

Posted byブクログ

2025/10/14

自分のこと、家族のこと、人のこと、どれひとつとっても解らないことだらけで、でもそれが気持ち悪かったり許せなかったりして意味とか意義とかを当てはめたりしがちなのに、この本で出てくる人々はみんな耐性があるというか属性なのか解らないけどとにかく「解らない」ままで受け入れているというか、...

自分のこと、家族のこと、人のこと、どれひとつとっても解らないことだらけで、でもそれが気持ち悪かったり許せなかったりして意味とか意義とかを当てはめたりしがちなのに、この本で出てくる人々はみんな耐性があるというか属性なのか解らないけどとにかく「解らない」ままで受け入れているというか、解らないままで周囲をぐるぐるしているというか。その佇まいが、私には新鮮だった。窮屈にならず、時にはそういうモードであってもいいのにと、すぐに結論を出したがる自分を振り返っていた。

Posted byブクログ

2025/10/07
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

『いなくなっていない父』  失踪癖のある父親の写真を撮り続ける著者のエッセイ。著者の金川さんは父の写真を撮り始める前は「家族観」のようなものに囚われ、少し苦しんでいたように感じる。「いろんなことが面倒くさくなってそこから逃げ出したくなることなんて誰もが一度は思うこと。」「父は父、私は私であり、父には失踪する自由がある」と思いながらも、父であるという関係性故に父の失踪について思い悩み、父の人生に介入していく。  それが父の写真を撮ることで被写体とカメラマンの関係性になり、父が何を思っているか気にならなくなっていく。大げさに言えば、自分の価値観が社会の「家族観」に破壊されなくなっていく。そして最終章では自分の価値観に沿った家族を作り生活している描写がなされる。  これは優しさの話でもあると思う。例えば友達から「うちの彼氏モラハラなんだよね〜」という相談を受けて「絶対別れたほうがいいよ!」と答える構図に近い。これが全く関係ない他人でも「絶対別れたほうがいいよ!」と答えられるだろうか。「別れたほうがいいと思うけど言ったらおせっかいだよなあ」と思わないだろうか。優しさとおせっかいは関係性のグラデーションで変化していく。  僕達はみんなひとりひとりで関係性も他人と他人であるという以上のものはないはずなのに、(ましてや家族なんて自分で選び取った関係性ではないから友人よりも他人に近いはずなのに)社会通念的な関係性の中に人との関係性を押し込めて(あるいは擬態して)暮らしている。  とりとめもない文章になってしまった。「家族ってなんだろうか」「他人とそれ以外の人の線引きってどこにあるんだろうか」といった問をゆるく考えるきっかけとなった。 > きつく 抱きしめても > 二つにしかなれないから > 少しだけ 長く > 触れ合うと 言葉より > 君のことを知れる気がした > 『肌』星野源

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2025/08/02

想像を超えた面白さだった。先日、消えていくなら朝、という舞台を観た。ここでは、舞台の世界で活躍する主人公が20年以上ぶりに帰った実家で家族を題材に芝居を書くとこぼし、聞いた家族が拒絶、これまで隠してきた気持ちを露わにしていく過程がリアルで、自分が近い家庭環境にあるだけに観客が笑っ...

想像を超えた面白さだった。先日、消えていくなら朝、という舞台を観た。ここでは、舞台の世界で活躍する主人公が20年以上ぶりに帰った実家で家族を題材に芝居を書くとこぼし、聞いた家族が拒絶、これまで隠してきた気持ちを露わにしていく過程がリアルで、自分が近い家庭環境にあるだけに観客が笑ったセリフも笑えない瞬間があった。この本はそれを超える露骨さというか、柔軟さというか、家族という関係についての考察がとても興味深く、ある種哲学的な側面もあり、一気に読んでしまった。個人的には、著者の男男女の3人暮らしの話が次の作品にならないかなと期待してます。

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2025/01/15

短いセンテンスが続く文章はとても鋭い。書かれているのは“本音”だと感じる。父親に対する想い、家族、血のつながり、他人と交わること。そこにあるわからなさ。そこで感じ考えたことが取り繕うことなく書かれた、そう思える文章には「不気味」さや「息苦し」さもたしかに感じたけれ...

短いセンテンスが続く文章はとても鋭い。書かれているのは“本音”だと感じる。父親に対する想い、家族、血のつながり、他人と交わること。そこにあるわからなさ。そこで感じ考えたことが取り繕うことなく書かれた、そう思える文章には「不気味」さや「息苦し」さもたしかに感じたけれど、同時にそれを書いても良いんだなという、ひとの普段は表には出てこない部分を肯定出来るような驚きがあって。当然あるわからなさも含めて、真摯に書くことは、答えを出す、解決すること以上にたくさんのものを肯定する、してしまうのだと思う。いつか書こうと思っている父親のことはこんな風には書けないなとも思ったけれど、それでも書いてみようという勇気も出て来た。そんなことを思える文章は、やはりとても優しいのだと思う。 友人の父親の精神科医との会話で、ある言葉を聞いて驚くシーンがあるのだけど、そこでの「それは考えてもみないことを言われて驚いたというのではなくて、思ってはいたけれどそれを言ったらおしまいというか、思っていても口にしにくいというか……」というその驚き、今この本を読んで感じています、と思ったりもして。上に書いたみたいにその驚きと同時に肯定感も強く感じたのだけど、それは単純にそれらの言葉にというよりも、この文章、本の中にそれがあるからなのだとも思っていて。その理由みたいなものはまだうまく言葉に出来ないけれど、やっぱりここに感じている優しさが関係しているのではと考えているところ。 ここに載せられた写真にあるような生々しさみたいなものは苦手なのだけど、とても好みな乾いた文章の間に挿入される写真を見ていくと、そこで受ける印象には乖離と同時に統一感があったりもして。当然だけど文章、写真も含めてこの本はひとつの作品なのだなと納得したし、とても素晴らしいと思った。

Posted byブクログ

2024/12/23

何かを行う行為や発せられた言葉にいちいち意味をつけたくなるのは人間のさがか、それとも本能的な動物らしい欲求か。 蒸発を繰り返す自身の父を著者、金川晋吾氏が何年もかけて撮影し、写真を通して親子関係を写真と共に淡々と綴っていくエッセイ。 写真を撮り続けることに意味はあるようでなく...

何かを行う行為や発せられた言葉にいちいち意味をつけたくなるのは人間のさがか、それとも本能的な動物らしい欲求か。 蒸発を繰り返す自身の父を著者、金川晋吾氏が何年もかけて撮影し、写真を通して親子関係を写真と共に淡々と綴っていくエッセイ。 写真を撮り続けることに意味はあるようでなく、蒸発を繰り返す父に対して真意を問いただすことにも意味は特にない、という境地に辿り着く金川氏の作中の描写は、広い運河を流れに沿ってプカプカ浮遊しているような強さと柔らかさと覚悟がうかがえた。 それは父と向き合うことを放棄したわけでは決しってない。 意味をあえてつけないことは、意味をつけることの先にあるお互いの共存を認め合う信頼であり、愛であり静かな肯定そのものだったのだ。

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2024/11/20

金川さんの作品は何度か見たことがあるが、この本を読んで、改めて見てみたくなった。 金川さんの写真との向き合い方、お父様との向き合い方が、困惑も含めて赤裸々に書かれ、もはや哲学書のよう。 粘り強く、誠実に綴られた言葉が持つ面白さがある。

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2024/05/17

前作fatherは不思議な本だった。写真集かと思いきや、いや写真集なんだが、エッセイ?日記?独白?でもその内容が淡々としているのが逆に強い印象を読者に与える。 そして知らなかったんだけどこの本、続編(コレ)が昨年出ていたんですね。しかも中を読むとNHKにまでご出演されて。 前...

前作fatherは不思議な本だった。写真集かと思いきや、いや写真集なんだが、エッセイ?日記?独白?でもその内容が淡々としているのが逆に強い印象を読者に与える。 そして知らなかったんだけどこの本、続編(コレ)が昨年出ていたんですね。しかも中を読むとNHKにまでご出演されて。 前回よりも、よりお父上、家族、そしてご自身の事を詳細に書かれています。特にご自身の心情の吐露というのかな。写真に対するお考えも、読んでてロラン・バルトの明るい部屋を少し思い出す。 お父様も実に興味深いお方だなぁと思っておりましたが、ご本人様もどうしてどうして。ある家庭の日常をコッソリと覗き見するような気持ちになりつつ、さらには今後どうなるんだろうというソワソワ感も追加されてしまいました。これは文字だけでなく写真があるからこそ私の中に突き刺さってくる。ただ、既にご本人はこのテーマへの興味が失われているので次作はないかも、もうお父様を追いかけられなさそうなのがとても残念です。 これから読まれる方は是非前作fatherから。

Posted byブクログ

2024/01/12

入り口は失踪する父というタイトルに惹かれたが、父に対しての作者の考え方、無意識意識含めてありようが出てくる、血のつながりではなく長い時間一緒にいた事で形成される関係性、言葉にしにくいことも最後まで考え抜いて言葉にする洞察と根性が優しく熱く良かった。そんな人が男男女で住んでいるとい...

入り口は失踪する父というタイトルに惹かれたが、父に対しての作者の考え方、無意識意識含めてありようが出てくる、血のつながりではなく長い時間一緒にいた事で形成される関係性、言葉にしにくいことも最後まで考え抜いて言葉にする洞察と根性が優しく熱く良かった。そんな人が男男女で住んでいるという流れに最後だからというのもあるけど違和感なく入って来れる物語、ストーリーがある。

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