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まちがえる脳 の商品レビュー

4.3

18件のお客様レビュー

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2024/04/13

思った以上に専門的な内容でしたが、様々な事例や研究例と共に説明されるのでわかりやすくまた面白かったです。 本書で脳の機能について今わかっている事・わからない事を丁寧に解説してるからこそ最後の筆者の「脳の機能はアンサンブルで決まる」という言葉にとても納得できました。

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2024/03/24

脳の中でニューロン間の信号伝達が30回に1回程度しか成功していない由.従って脳はほとんど間違えていることになる.実感としては、時々間違えている感じだが.制御方法に工夫を凝らしていると想定される.記憶の形成にはニューロン集団の同期発火が必要との解説があったが、最終的にはニューロンの...

脳の中でニューロン間の信号伝達が30回に1回程度しか成功していない由.従って脳はほとんど間違えていることになる.実感としては、時々間違えている感じだが.制御方法に工夫を凝らしていると想定される.記憶の形成にはニューロン集団の同期発火が必要との解説があったが、最終的にはニューロンの感受性を増大させることが必要なようだ.とは言っても、自分自身で脳をコントロールできるわけではないので、脳内部を常に変容し続けることに大きなメリットがある由.学ぶことが多い本だった.

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2024/01/12
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思っていたより専門的な内容の本だった。説明は易しく、脳科学素人でも理解しやすい。脳の正確なしくみはまだまだ解明されていない、というのが筆者の伝えたいことだと感じた。 脳のメカニズムは、現在の科学を持ってしてもほとんど解明されていない。正確無比なコンピュータと異なり、神経回路は確率的なゆらぎをもつ。ゆえに間違い、その間違いが時にひらめきを生む。 特定の部位が特定の機能をもつ、あるいはある脳機能には特定の原因物質が作用しているといった、分類という方法論では脳を正しく理解することは難しい。実際には極めて多様な働きが、多くの部位の相互作用のなかで生まれているのであり、その複雑さを無視して単純に理解しようとすれば、誤った風説を助長しかねない。

Posted byブクログ

2023/12/03
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 脳の機能やしくみがまだわかっていないことが、よく理解できた。「AIが、心を持つ日が来るのか」と考えることがあるが、そもそも心って何なのかがまだはっきりしていないのだと思う。  脳について、これまでの研究でわかっていることの中にも、実は実験条件のおかしいものがあることもわかった。  いい本でした。難しいところもあった。線を引きながら読んだので、後で読み返そう。

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2023/09/23

ニューロン集団の同時発火による信号伝達によりほぼ無難に毎日を過ごすことができるが、ニューロン集団の同時発火は常にゆらぎ変動しているため、たくさんのエラーの中にある確率で意外性のある答えを出すようになっている。脳は出力にエラー、ゆらぎのある点において、AIに置き換えできるものとして...

ニューロン集団の同時発火による信号伝達によりほぼ無難に毎日を過ごすことができるが、ニューロン集団の同時発火は常にゆらぎ変動しているため、たくさんのエラーの中にある確率で意外性のある答えを出すようになっている。脳は出力にエラー、ゆらぎのある点において、AIに置き換えできるものとしての説明を難しく感じました。

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2023/09/15

脳は、コンピュータと比べると、不完全で不確かな計算装置であると同時に、極めて複雑で多様な作用を持っている。だから、間違うとともに創造的な閃きを生むし、脳の一部が損傷したり全体が萎縮したりしても機能を代替して通常と同じように機能する柔軟さを持っている。 こうした極めて複雑で多様で可...

脳は、コンピュータと比べると、不完全で不確かな計算装置であると同時に、極めて複雑で多様な作用を持っている。だから、間違うとともに創造的な閃きを生むし、脳の一部が損傷したり全体が萎縮したりしても機能を代替して通常と同じように機能する柔軟さを持っている。 こうした極めて複雑で多様で可塑性の高い脳について、単独の部位や神経伝達物質や遺伝子が何らかの機能に対応したり何らかの問題の原因として単独犯になるという、わかりやすいが誤った説明が用いられやすいが、複雑な相互作用や柔軟性の仕組みを解き明かした時、初めて脳を解明できたと言えるのであろう。そして、そう言える日はまだまだ遠い。

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2023/09/10

脳は、非常にアナログな動作をする器官である。人の脳には1000億のニューロンがあるといわれている。しかもひとつのニューロンに数千のシナプスがあり、そこでは非常に不安定で確率的な信号伝達が行われている。電気信号を受け取る樹状突起上では信号の逆方向転換が生じ、軸索を覆うミエリンの変化...

脳は、非常にアナログな動作をする器官である。人の脳には1000億のニューロンがあるといわれている。しかもひとつのニューロンに数千のシナプスがあり、そこでは非常に不安定で確率的な信号伝達が行われている。電気信号を受け取る樹状突起上では信号の逆方向転換が生じ、軸索を覆うミエリンの変化による信号伝達速度の調整が行われている。更にはシナプスを介さない細胞外スペースにおける神経修飾物質なども脳の動作に影響を与えている。 また、脳の機能は部位ごとに局在しているわけではない。同じ行動、記憶、感覚などが常に同じニューロンの発火から生じるわけではなく、同じニューロンが発火しても常に同じ行動、記憶、感覚が生じるわけでもない。こうした仕組みを持つ脳は、AIなどのニューラルネットワークとは根本的に作りが異なる。このような要素を持つ脳はよく間違え、ミスをする。一方、可塑性という大きな特徴を持っており、部分的な損傷を受けても影響を受けなかったり、大きな損傷を受けても回復したりする。 このようなことを知ることができると、安心する。日常生活で私は間違えていることばかりだが、私がポンコツなのではなく、そもそも脳がそのような性質を持っているのだと言い聞かせることができる。また、出来が悪いなりにも努力することにより何とかなるものだとも思えるようになる。生成系AIの時代が到来したが、慌てずに腰を落ち着けてその時代に対応しようという気持ちが湧いてくる。一読してよかったと思える本。

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2023/09/06

脳についての最新の研究をわかりやすく述べている。人は間違えるものであるが、間違えるからこそ新たなアイデアが生まれるのだ。

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2023/09/03

錯視のような身近な「まちがえ」の話かと思ったが骨太な内容。 脳機能の再現をAIがなし得るかという積年の議論は、西垣通氏のような情報学者からの反駁も興味を惹かれたが 神経科学者からの、そもそも脳機能の未知性からの論拠もなるほどと思わせられる。 実地的な検証の必要性と難解さ。それを...

錯視のような身近な「まちがえ」の話かと思ったが骨太な内容。 脳機能の再現をAIがなし得るかという積年の議論は、西垣通氏のような情報学者からの反駁も興味を惹かれたが 神経科学者からの、そもそも脳機能の未知性からの論拠もなるほどと思わせられる。 実地的な検証の必要性と難解さ。それを解き明かすための科学的検証のあり方多様であり、一筋縄ではいかない生物の深淵を覗く道程がやはりまだはるか先まで続くことを示唆しているのだろう。 一方で機械的な生物理解からは考えにくい実例も面白い。

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2023/08/13

脳の最新の知見を平易に解説する本書。専門用語もあり読むのは少し我慢が要りますが!脳の神秘に触れられます。脳の情報伝達が確率的であり、間違いながら働くことでさまざまな可能性が担保されていること、AIとは根本的に違うことを解説。今でもなお脳はわからないことだらけであり、脳に関する迷信...

脳の最新の知見を平易に解説する本書。専門用語もあり読むのは少し我慢が要りますが!脳の神秘に触れられます。脳の情報伝達が確率的であり、間違いながら働くことでさまざまな可能性が担保されていること、AIとは根本的に違うことを解説。今でもなお脳はわからないことだらけであり、脳に関する迷信をことごとく喝破する様は小気味良さを覚えました。脳の持つ可能性に期待しつつ、読書を続けますかね。

Posted byブクログ