菊乃、黄泉より参る! の商品レビュー
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菊乃も鶴松も困っている人を放っておけない、結局はお人好しなコンビ。 菊乃は直情的に、鶴松は渋々ながら、それでも。 噛み合っているようで噛み合っていない、でも何だかんだで息の合っている二人の会話を読んでいるだけでも面白かったのに、本編がまた面白いのなんの。 てっきりあやかし関係の事件を複数解決していく連作短編みたいな話かなと思ったら、がっつり長編だった件。 関わってくるのは、犬そして菊乃の息子。 最初は単純な話かと油断していると、派生していたあの件この件が段々一つの大きな物語を描いていく。 そこに菊乃の黄泉がえりの謎解きも入ってくる。 何故未練なく死んだはずの菊乃は黄泉がえったのか。 何故七歳の姿で黄泉かえったのか。 このあたりの伏線の張り方・回収の仕方も素晴らしかった。 そこまで説明してくれるのかと。 菊乃と息子の親子愛の行方も見逃せないし。 見所多い、この話。 鶴松も何故破戒僧になったのか、背景がしっかり描かれているので、魅力がマシマシ。 菊乃に対するただのツッコミ要因でも保護者でもない。 弱いところもしっかりある、でもやるときにはやれちゃう人間味もあってかっこよさもあるキャラ。 この二人、有意差というか関係性の上下が度々逆転するのがまたいい。 どちらも完璧ではないから、どちらかが弱ることがある。 その度に、もう一方が必ず引っ張り上げてくれる。 いいバディだなと思う、本当に。 先述した犬の件。 ただ単純に犬のあやかしの話かと思いきや、謎が集約されていく過程で気付く人は気付くと思う。 そう、あの生み出し方が胸糞なあれ。 やっぱりかと納得してからの事態の収拾の仕方も、使えるものは全部使うぜみたいな総力戦で胸アツ展開だったと思う。 ラスボスは、もう滅するに値する輩だったし、すかっとできた。 ぐいぐい読ませてくれるし、読了後の満足感が半端ない作品。 これは最初予想していたような短編集的な作りでも読みたい。 事実、二人のバディは始まったばかり。 二人の活躍、まだまだいっぱい読みたいですぞ。
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こんなに夢中になってラノベを読んだのは久々です。 江戸時代設定で今でいうアセクシャルと児童への性加害をも扱っているのですが子どもも大人も楽しめる、良い作品だと思います。 二組の親子が出てきて、母と子という関係性が、実の親子でもそうじゃなくてもどういうものなのか考えさせられました。 小気味良く書かれた戦闘シーンも挿絵がなくても想像できるのは自分がアニメ好きだからかもしれません。 もう少し挿絵があればなお楽しめたかも。 二十八歳の菊乃が死んだと思った瞬間、次に気がついたとき七歳くらいの子どもになってよみがえってきた意味を、最後に降魔師の鶴松が話したとき、あーよかった!これからもこの二人は一緒に弱いひとを助け悪と戦うんだなと心からほっこりしました。 そして続くんですね、この世界は。
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期待を裏切らない。 否、期待を上回る、「らしさ」に安堵。 鶴松と菊乃の対話のテンポ、落とし方。 腹の音(笑) 目に浮かぶ。むしろ動画で脳裏に繰り広げられる。 ポップで、しかしちゃんと時代を放り投げる事無く。 爽快。 痛快と言うには、ズシンとくる。それもまた、悪くない。 タイト...
期待を裏切らない。 否、期待を上回る、「らしさ」に安堵。 鶴松と菊乃の対話のテンポ、落とし方。 腹の音(笑) 目に浮かぶ。むしろ動画で脳裏に繰り広げられる。 ポップで、しかしちゃんと時代を放り投げる事無く。 爽快。 痛快と言うには、ズシンとくる。それもまた、悪くない。 タイトルの付け方を見るに、続編は座して待つ。で、良いのかな? まだまだ張られた伏線回収するには回を重ねるはず。 長編になればなるほど深みを増すのがこの作者の強味。 続刊、お待ちしております。
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