恵みありて、インジェラに集う の商品レビュー
一年の半分を断食(午後12~15時以降にしか食事をとらず、動物性食品を避ける)するエチオピア正教徒の村で参与観察した著者の博士論文がもとになった本らしい。 エチオピア北部のその村は裕福ではなく、一日の大半を農作業や食事作りで過ごしている。信仰が教義の学習・理解等ではなく、ほぼ食事...
一年の半分を断食(午後12~15時以降にしか食事をとらず、動物性食品を避ける)するエチオピア正教徒の村で参与観察した著者の博士論文がもとになった本らしい。 エチオピア北部のその村は裕福ではなく、一日の大半を農作業や食事作りで過ごしている。信仰が教義の学習・理解等ではなく、ほぼ食事に基づいて理解されているというのが面白かった。村人たちは毎週教会に行って聖別されたパンをもらうが、それがどのようにしてキリストの体となるのか、などということは誰も関心がなく、知らないのである。宗教に基づいた祝日でも、実際にどのような出来事による日なのか知らないことも珍しくないようだ。しかし、人々は断食を守り、心を込めて祝いの食事を作る。その様子を農作業から食材にするまでの過程、料理、食材の種類、こまごまとしたメニューの詳細まで、実際のエピソードを交えつつ網羅している本になっている。 農村であるため、住民にとっては食べ物と食事が生活の中心であり、社交の中心であり、信仰の中心でもあり、その在り方はとても自然だった。写真がたくさん載っているのだが、無理を言えばカラーのものも見たかったと思ってしまう!日常食であるインジェラもその上にのせるワット、香辛料入りのチーズであるマタタイブなどおいしそうな料理が多いので読み進めながらお腹が空いてしまった。
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