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若きウェルテルの怪死 新装版 の商品レビュー

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2024/01/10

旧制高校もの第二作。今回は三高(仙台)が舞台。 白樺派が大好きな文学青年が主人公だけあって、随所に武者小路実篤に佐藤春夫や萩原朔太郎の詩を引用したり、章タイトルに文学ネタを持ってくるあたり、くすぐりがきいてて良いですね。 さらに昭和9年~10年頃舞台ということで、学生寮のバンカラ...

旧制高校もの第二作。今回は三高(仙台)が舞台。 白樺派が大好きな文学青年が主人公だけあって、随所に武者小路実篤に佐藤春夫や萩原朔太郎の詩を引用したり、章タイトルに文学ネタを持ってくるあたり、くすぐりがきいてて良いですね。 さらに昭和9年~10年頃舞台ということで、学生寮のバンカラな風潮(ストーム)とそれと対立するインテリゲンチア、マルクス主義、反戦同盟など、特高警察まで交えての当時の10代の若者の胸中と時局の絡みがとても私好み。 事件の関係者それぞれの供述の食い違いや行動の違和感が見事に最後で畳まれる様も鮮やかでした。

Posted byブクログ

2023/07/10

端正なフーダニット。とびきりのトリックがあるわけでもなく、犯人の正体にも意外感はさしてない。ただ、事の真相が分かってから読み返すと、それを示唆する伏線が、当たり前の日常描写の中に如何に細かく埋め込まれていたかに気付いて、思わず顔がほころんでしまう。これは愉しい。青春ものとしては、...

端正なフーダニット。とびきりのトリックがあるわけでもなく、犯人の正体にも意外感はさしてない。ただ、事の真相が分かってから読み返すと、それを示唆する伏線が、当たり前の日常描写の中に如何に細かく埋め込まれていたかに気付いて、思わず顔がほころんでしまう。これは愉しい。青春ものとしては、主人公がひたすら無力な傍観者なのが少し残念。

Posted byブクログ