1,800円以上の注文で送料無料

建築・BIMの教科書 改訂版 の商品レビュー

4

1件のお客様レビュー

  1. 5つ

    0

  2. 4つ

    1

  3. 3つ

    0

  4. 2つ

    0

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2023/09/05

 BIMソフトの使用感で最大のメリットのひとつは、複数枚の図面間で完全な整合性が担保されることです。また設計変更などにともなう修正作業においても、それぞれの図面で同時一斉に変更内容が反映されます。個別に平面図や断面図を作成する製図作業が、BIMではコンピューター上に実物の建物を仮...

 BIMソフトの使用感で最大のメリットのひとつは、複数枚の図面間で完全な整合性が担保されることです。また設計変更などにともなう修正作業においても、それぞれの図面で同時一斉に変更内容が反映されます。個別に平面図や断面図を作成する製図作業が、BIMではコンピューター上に実物の建物を仮想な3次元モデルを創り上げる作業に移行するのです。3次元形状で建物を視覚的に瞬時に「見える化」する表現は想像力を刺激する行為であり、幾度となく繰り返す無機質な作図作業ではなく、創造力を駆使する模型を組み立てる世界へ導いてくれます。  意匠・構造・設備および周辺環境などの基本設計から実施設計・各種解析・工事積算・契約および仮設計画・施工の建築の生産プロセスは、多岐にわたる業務と大勢の人員が費やされます。3次元の建築モデルに属性情報を付加した各デジタルモデルをプロジェクト全体の流れのなかで効率的に運用することにより、コミュニケーション・デザインツールとして、また建築の理解度向上につながり建築設計本来の創造業務に資源・時間を集中し、質の高い建物を創る意欲が湧き上がるのではないだろうか。  現状のBIM環境には、導入・維持にともなうコストパフォーマンス、各ソフトの互換性・汎用性、パーツデータの充足・品質向上、BIM技術者のICTスキル・ラーニング、2D CAD資産のデータ運用などの問題が山積みのままです。しかし建築物に関するすべてのデータベースをデジタルの3次元建物モデルに集約することで、建築物の生産プロセス(設計・工事)・運営・維持管理に至るライフサイクルを通じた情報の活用とIoT・AIとの連携が可能となります。部材の仕様や性能を属性情報として持つBIMを活用すれば、より精度の高いシミュレーション解析結果により迅速な合意形成が得られます。また、レンダリング機能によるCGパースのアウトプットは常態化し、ウォークスルー・アニメーションを作成することも可能となり、クライアントに建物の完成イメージが容易に伝わり、設計者の意図がさらに明確になり打ち合せ時の食い違いが減少しています。今後は、高度な表現を持つBIMに進化すればコミュニケーション・ツールとしての関係者間の合意形成の迅速な対応機能に加えて、熱・風・音といった外部環境の「見える化」による意思決定支援ツールとして、クライアントのみならず設計者自身のデザイン・ツールにも有効であろう。  「建築・BIMの教科書」は、BIM利用技術者試験2級(筆記)の教材として推奨されていますが、今回は、BIM(Building Information Management)の“M”を理解する上のBIMの「基礎・実践・人材・発展」を読み進めました。決してBIMソフトの操作マニュアル書ではありません。

Posted byブクログ