米蔵夫婦のレシピ帳(1) の商品レビュー
「夜明けの旅団」とのギャップに驚かされる片山ユキヲの「米蔵夫婦のレシピ帳」。振り幅が広すぎやしませんか。 妻に先立たれた小説家の日々を淡々と描いています。 悲しみから逃れるため、ありし日の思い出を振り返るため、男は妻の残したレシピを見て食事を作ります。過去を整理して、未来へと進...
「夜明けの旅団」とのギャップに驚かされる片山ユキヲの「米蔵夫婦のレシピ帳」。振り幅が広すぎやしませんか。 妻に先立たれた小説家の日々を淡々と描いています。 悲しみから逃れるため、ありし日の思い出を振り返るため、男は妻の残したレシピを見て食事を作ります。過去を整理して、未来へと進むために。 少しずつ心の整理がついてきたかのように思えた日々。しかし不意の一瞬、妻が生きているかのように錯覚してしまったことで、死んでいるということ失ってしまったということを突きつけられてしまい、心が抑えきれなくなってしまう。 静かに、それだからこそ残酷に突きつけてくる孤独。そしてまとわりついてくる後悔。 少しずつでもいいから、孤独・後悔と向き合い、前へ進んでいくしかない。歩み始めた矢先にあらわになってしまった、限界と虚構。 作る料理は美味しそう。しかし、その料理が訴えてくる温もりが、孤独を一層際立たせるという、違う意味で強力な飯テロの漫画。 いつの日か、正しい意味での飯テロ漫画に、最高の飯テロ漫画になってくれることを期待します。
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