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江戸の岡場所 非合法〈隠売女〉の世界 の商品レビュー

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2024/10/15

 江戸時代の深川を舞台とした人情物を読むようになって、時折「岡場所」という言葉に出会うことがありました。 江戸時代における公認の遊里である吉原と異なり、非公認の遊里が岡場所です。 なぜ、深川を舞台にした作品にそんな岡場所が登場してくるのか。 そんな疑問を抱いていたときに本書『江戸...

 江戸時代の深川を舞台とした人情物を読むようになって、時折「岡場所」という言葉に出会うことがありました。 江戸時代における公認の遊里である吉原と異なり、非公認の遊里が岡場所です。 なぜ、深川を舞台にした作品にそんな岡場所が登場してくるのか。 そんな疑問を抱いていたときに本書『江戸の岡場所』に出会いました。  本書は岡場所を中心に江戸時代を裏の遊里史から観た一冊です。 深川以外にも夜鷹や準公認の品川や千住などの非公式な遊女たちについて、絵画や洒落本での描かれ方から当時の民衆がどのようにそれらの場所を捉えていたのかがわかるようになっています。  とくに深川の岡場所については紙面のなかでも厚く解説され、ページ数も他の章よりも多くとられています。  この本のなかから読み取れることとして、当時の人々が幕府や権力といったものへの想いを岡場所に託していたことがわかります。 そして、岡場所で働く遊女たちも性の自由をそこでの働きのなかで主張していたことが垣間見れます。  そうしたある種の反骨精神は上下関係や身分などの縛りに囚われない気風の良さといった深川人情とつながるように感じられました。 同時に当時の人々が岡場所を吉原よりも支持していたことには、社会への反発心や不満があったこともわかり、深川人情が古くから好まれていたことを理解することができました。  深川の気風の良さや当時の人々の想いを感じられる印象深い一冊です!

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2023/12/10

文字通り江戸時代の岡場所─吉原ではない非合法な私娼街について膨大な資料を基にその実際と暮らしを描く。岡場所の女性たちの息づかいが聞こえてきそうな、そんな気がする本であった。

Posted byブクログ

2023/04/20

江戸といえばの代名詞の一つ、花街。 吉原が圧倒的に有名だが、その影に深川をはじめとした私娼地・岡場所や反公認の遊廓・内藤新宿があった。 公的庇護のない、いわば雑草魂のような根強さと自由さとでのさばった岡場所に焦点をあてながら、当時の性産業、吉原のように体裁が整えられたものでは...

江戸といえばの代名詞の一つ、花街。 吉原が圧倒的に有名だが、その影に深川をはじめとした私娼地・岡場所や反公認の遊廓・内藤新宿があった。 公的庇護のない、いわば雑草魂のような根強さと自由さとでのさばった岡場所に焦点をあてながら、当時の性産業、吉原のように体裁が整えられたものではなく、泥臭さの残るより庶民の実情に絡んだ業界の様子がどのようなものだったのかに迫る。 合わせて、史資料から幕府や民衆のセックスワーカーに対する態度、そこから醸成された倫理観がどのようなもので、それらがどう明治へと繋がっていったのかへの考察も行っている。 なかなか重厚で面白かった

Posted byブクログ