軍と兵士のローマ帝国 の商品レビュー
ローマ帝国については色々な視点から出版されているが、この本は軍と兵士を中心として書かれており、視点が違うだけで新しい発見があるものだと気付かされる。 歴代の皇帝はどうやって兵隊を集めたか、その給金はどうしたか、給金を捻出するためにどんなことをしたかなど、ちょっと普通には知れなか...
ローマ帝国については色々な視点から出版されているが、この本は軍と兵士を中心として書かれており、視点が違うだけで新しい発見があるものだと気付かされる。 歴代の皇帝はどうやって兵隊を集めたか、その給金はどうしたか、給金を捻出するためにどんなことをしたかなど、ちょっと普通には知れなかったことがあり面白い。 兵士にとっては命懸。兵士をまとめるリーダー的隊長も大変だっただろう。読んでいてなるほどと思うことがたくさんあった。
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古代世界において繁栄を極めたローマは、一方では、対外戦争や内乱を繰り返す戦闘姿勢の国家であり、兵士が皇帝位をも左右する軍事体制の国家であった。建国から西ローマ帝国滅亡まで、軍隊と政治・社会との関わりを多角的に追跡、兵士たちの生涯にも光をあてて新たなローマ史を描き、その盛衰をユーラ...
古代世界において繁栄を極めたローマは、一方では、対外戦争や内乱を繰り返す戦闘姿勢の国家であり、兵士が皇帝位をも左右する軍事体制の国家であった。建国から西ローマ帝国滅亡まで、軍隊と政治・社会との関わりを多角的に追跡、兵士たちの生涯にも光をあてて新たなローマ史を描き、その盛衰をユーラシア史のなかに位置づける。 古代ローマが好きなので読みました。 軍隊の変遷から見たローマ史なので、ちょっと視点が変わって興味深かったです。教科書で読む西ローマ帝国滅亡も軍隊から見ればこういうことだったのか~と。
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軍というファクターからローマ帝国を読み解いていく。最初は戦争のたびに参集していた軍が常備軍となり、当時ではめずらしい定期給を貰う存在として経済の中心ともなる。 さらには権威の象徴となり、皇帝への決定権を持つような存在ともなる。 国とその指導者にとって、軍というのがどういう存在かと...
軍というファクターからローマ帝国を読み解いていく。最初は戦争のたびに参集していた軍が常備軍となり、当時ではめずらしい定期給を貰う存在として経済の中心ともなる。 さらには権威の象徴となり、皇帝への決定権を持つような存在ともなる。 国とその指導者にとって、軍というのがどういう存在かということはローマ帝国だけに収まる話ではないだろう。
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素直に面白かった。こういう視点でローマ史を眺めると物事が違って見えてくるし、現代にも示唆がありそう。 強さを誇ったローマ市民らの国民軍の中でまず所得制限が次第に緩和され、後にプロの軍人に徐々に移行し始める。それを強力に推し進めたアウグストゥスであっても元老院に遠慮してローマには側近の近衛兵のようなものは置かなかった。それが次第に変容し、皇帝選びにも介入を許すようになってくる。 そして、蛮族とみなしていたゲルマン人やフン族の力を借りるようになり、最後は彼らに主導権を握られて西ローマ帝国は滅びる。結果論では時の皇帝らの判断に対していかようにも批判できそうだが、構造として徐々に変容していた面は重要だ。誰が皇帝であっても似た結果になっていた可能性はある。 さらに寒冷化が進まなければ、疫病は広がらず、ゲルマン人も西進、南下してこなかった可能性もある。 なお、東ローマ帝国はゲルマン人の進出がそれほど激しくなく、さらにシルクロード交易の恩恵を受けやすかったという。この点は筆者の別の本からの延長だろうか。 最後に、この本は軍事史ではない、自分には戦争も軍隊訓練の経験はない、訓練を受けたギボンとも違う、と最後まで断る筆者の真摯な姿勢は考えさせられる。
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〝歴史上の巨大国家は、もとから広大な地域を支配していたわけではない。大抵の場合、征服戦争を通じて巨大化した。アッシリア帝国、ペルシャ帝国、秦、モンゴル帝国、オスマン帝国...ローマ帝国もその例に漏れないが、より本質的な意味において、戦争を遂行するための規模と質を備えた常備軍(...
〝歴史上の巨大国家は、もとから広大な地域を支配していたわけではない。大抵の場合、征服戦争を通じて巨大化した。アッシリア帝国、ペルシャ帝国、秦、モンゴル帝国、オスマン帝国...ローマ帝国もその例に漏れないが、より本質的な意味において、戦争を遂行するための規模と質を備えた常備軍(兵士)とが密接に結びついていた点で異例である〟・・・ローマの建国から滅亡に至る帝国の盛衰をとおして、軍と政治・社会との関わりを追跡した、ローマ史を探求する学徒向け解説書であるといえる。
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