内角のわたし の商品レビュー
万人受けはしないと思うけど、なんっか好きなんだよなあ、伊藤朱里さん。 気持ちよく読み終えられる本ではない、けれど、誌面にほんのり私がいる。その感覚がいいのかもしれない。
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森ちゃんの内側に住んでいるサイン、コサイン、タンジェントの3人が脳内会議を開き外界を測りにかける。 うぁー、三角関数とか無茶苦手なアレルゲンなんですけど。呼吸できなくなるんですけど、保健室行っていいですかっていいたくなる感じに読みづらかったんですが次第に慣れてくると、可愛いが大好...
森ちゃんの内側に住んでいるサイン、コサイン、タンジェントの3人が脳内会議を開き外界を測りにかける。 うぁー、三角関数とか無茶苦手なアレルゲンなんですけど。呼吸できなくなるんですけど、保健室行っていいですかっていいたくなる感じに読みづらかったんですが次第に慣れてくると、可愛いが大好きで愛想ふりまくサイン、勝気で毒舌おばさん入ってるコサイン、日和見主義でやりすごすタンジェント、内角に守られて自分を形成してる森ちゃんは、他人からの無自覚な悪意や好意からも傷ついてしまう知覚過敏で許容量超えるとフリーズしてしまうこともあったりで、女の子って器から抜けきれないでいる。 歯科助手の先輩には、毅然として隙のない「直線」と女の魅力を武器に生きる「曲線」がいるけどどちらにもなりきれない森ちゃん。 スマホの育成ゲームのなかに居場所を見つけたり、新人君と共通点をみつけたりしながらも違和感が襲ってくる。女編の付く漢字は何故か嫁に媚、嫉妬と蔑んだイメージを連想させる被害妄想ぶり。多様性とか弱さを盾にするとか、自覚なしで加害者になってることには気づかないところは死角だったりだけど。髪を切っても、機種変しても、思考はぐるぐる回って三角形の内側からは出られないのか、前を見て歩きだせないでいる自分。なんだか生きづらさを感じさせる作品でした。
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「好きと似合うがイコールじゃなくなったら死んだほうがマシ」 と混乱する “サイン” 「だったら死ねばっ」 と毒を吐く “コサイン” 「いやそれうちらも困るやん」 と茶々を入れる “タンジェント” 駅前のファッションピルに入っているショップで、洋服の試着をしている場面から始まる。...
「好きと似合うがイコールじゃなくなったら死んだほうがマシ」 と混乱する “サイン” 「だったら死ねばっ」 と毒を吐く “コサイン” 「いやそれうちらも困るやん」 と茶々を入れる “タンジェント” 駅前のファッションピルに入っているショップで、洋服の試着をしている場面から始まる。 え〜〜(@_@) サイン・コサイン・タンジェント って、高校の時に苦戦した三角比!? 頭の中が苦手意識でいっぱいになる。 でも数学嫌いの皆さん、安心して下さい。 数学の話ではありません(笑) 主人公は、理不尽な事だらけの世の中を懸命に生きる女性、森ちゃん。 変化し続ける社会に対応し、女性である自分を守るため、3つの人格を作り、毎日を何とか乗り切っている。 苦しみながら…… きっと誰しも森ちゃんのような苦しさを、自分の内側に抱えているものかも知れない。 自覚があってもなくても。 それを声にしてくれた作品だろう。 苦しい感情をコミカルに描いているが、結構読みづらかった。 嫌な男たちが何人も登場するので、気持ちがザラザラするし。 でもラストは森ちゃん自身が変化していき、前向きな気持ちになれてホッとする。
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死ぬまで自問自答して、自分の中でああでもないこうでもないを言い合っていくのだろう。 自分を甘やかす声と糾弾する声、その他いろんな声と仲良く向き合っていかなきゃならない。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
今までにない設定すぎて最初は混乱したが、なぜかするすると読み進めてしまい、世界観にハマっていった。自分が日々生きる中で感じたことのある思いも詰まっていた。 そうとは書いてないけれど、多重人格の人の頭の中みたいな感じなのかも。でも最後は自分ひとりで歩いていく結末なのかと思ったら、いっときは消えたサインコサインタンジェントが再び現れたのが希望の話としては違和感があった。直線のその後が気になる。
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生きづらさを抱え、「愛され守られていたい」(サイン)、「隙を見せず強くありたい」(コサイン)、「無関心で平穏に過ごしたい」(タンジェント)という3人の「わたし」の意識がめまぐるしく移ろう、歯科助手のアルバイトをしている女性が主人公の小説。 自分の中に複数の人格がいてせめぎ合ってい...
生きづらさを抱え、「愛され守られていたい」(サイン)、「隙を見せず強くありたい」(コサイン)、「無関心で平穏に過ごしたい」(タンジェント)という3人の「わたし」の意識がめまぐるしく移ろう、歯科助手のアルバイトをしている女性が主人公の小説。 自分の中に複数の人格がいてせめぎ合っているという設定は面白いと思ったが、そのせめぎ合いの感じ(ここまでくるともはや多重人格では?)やストーリーの流れは、自分にはあまりしっくりこなかった。 配偶者の呼び方や多様性についての小説中のやりとりは、なかなか興味深かった。
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なんと表現していいのか。主人公の気持ちが痛いほどわかるし、敏感すぎにも思えるし、若さやかわいいさを重要視させらてきた過去の自分にもシンクロして、それが彼女の中の3人の意識と同化してざわざわします。加害者が「年配の男性」とも限らない、被害者が「若い女性」とも限らない、自分が被害者と...
なんと表現していいのか。主人公の気持ちが痛いほどわかるし、敏感すぎにも思えるし、若さやかわいいさを重要視させらてきた過去の自分にもシンクロして、それが彼女の中の3人の意識と同化してざわざわします。加害者が「年配の男性」とも限らない、被害者が「若い女性」とも限らない、自分が被害者と思っていても加害者であるかもしれない。そして至る所にそれらは存在して"つぎたしのタレ"のようになくならない。そんな世の中はなんて生き難い。主人公がたどり着く、とにかく考えることをやめないことしかできないのかもしれない。感想をうまく言うことが難しい小説ですが、喉に小骨が引っかかったような読後感が残る小説でした。
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何も知らずに読み始めたときは、3人いると思ったらこれ、みんな主人公の人格なのね。って感じで最初は読みにくかったー。 そこに理解が追いついてからはサクッと読めました。サイン、コサイン、タンジェントの3つの人格がバランスをとって生きている主人公。そこから浮き彫りになるのは、女性とい...
何も知らずに読み始めたときは、3人いると思ったらこれ、みんな主人公の人格なのね。って感じで最初は読みにくかったー。 そこに理解が追いついてからはサクッと読めました。サイン、コサイン、タンジェントの3つの人格がバランスをとって生きている主人公。そこから浮き彫りになるのは、女性という性が直面する理不尽さや不条理さ。 物語で女子高生が電車でおじさん?に怒鳴られるシーンに主人公が居合わせる場面が妙に印象に残っている。そこで思い出したのはかつてバイト先の店長に言われたひとこと。 「もし、事故があったときは迷わず警察を呼びなよ。〇〇ちゃんは女だからってことでナメられることもある。だから警察を呼んできちんと対応してもらいなさい。」 当時の私はなんで?って思ったけど、大人になるにつれて、女ってだけでナメてもいいって思う人は世の中にたくさんいるんだなぁということも学びました。 あー生きづらい生きづらい。
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