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道元と生きる 正法眼蔵随聞記 の商品レビュー

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2024/10/09

禅宗(曹洞宗)を知るのに最適な書。

2024年10月読了。

長らく積ん読状態だった本の中から、今年の『余りにも異常な夏』に苦しめられた心から、「何か自分の心を落ち着かせるものを…」との思いで引っ張り出した。
 
日本史において「曹洞宗は只管打坐」「臨済宗は公案」と教育されてきた私からすれば...

2024年10月読了。

長らく積ん読状態だった本の中から、今年の『余りにも異常な夏』に苦しめられた心から、「何か自分の心を落ち着かせるものを…」との思いで引っ張り出した。
 
日本史において「曹洞宗は只管打坐」「臨済宗は公案」と教育されてきた私からすれば、道元と云う人は『多くを語らず只管に座禅せよ』というイメージが強く、ここまで饒舌に(=懇切丁寧に)仏道について語っていた事 自体に驚いたし、又感動した。
そもそも私自身、臨済宗系の学校に通っていた事も有り、曹洞宗とは距離を感じていたが、有る御縁で、今は亡き佐藤俊明先生の著書と出会い、禅宗の奥深さに触れてはいた。だが中々『正法眼蔵』そのものにまでは手が伸びず、この「随聞記の解説本」である本書に辿り着いたと云う次第である。佐藤先生の著書は宗派に拘らず『広く禅のこころを伝えたい』と云う啓蒙書であったが、本書は『正法眼蔵』の解説書の解説書という趣きで、心を打たれることが多く、(戯れに言えば)鎌倉時代の偉いお坊さんから長ーい棒が伸びてきて、愚かな私の頭を叩いて戴いた気持ちになった。
禅宗は、大きな三宗(臨済宗,曹洞宗,黄檗宗)の下に、更に「○○寺派」が十数派も枝分かれしており、個人的にそれらが「宗派同士で仲違いしているのなら嫌だなぁ」と思っていたが、本書と、そして嘗て読んだ佐藤先生の書も同様に、宗派に囚われず又「自力」「他力」等に拘っているのは大変愚かなことで、全ては『仏力本願』なのだと喝破されていた事に、非常に強い感銘を受けた。

とは言え『公案等を弄り返すような事はせず、只管座禅を全ての大元』にする宗派(=曹洞宗)でも、学びの段階では公案は勿論のこと故事,説諭話を沢山学ぶ行程がある事に、矛盾と納得も感じたのは素直な気持ちである。

と、ここまで語っておいて、自身は実は日蓮宗なのだがw、仏道は広く融通無碍であり、やはり日本人には『大乗仏教』が一番こころに響くものがあると強く感じた。本書も二読、三読するに値する貴重な本である。又、現在絶版している佐藤俊明先生の書も、本書より更に初心者向けの好著なのだから、曹洞宗本部からの再版を強く希望する。

左衛門佐

2023/05/30

年齢を考えると、再読などする時間があれば他の新しい本に出会いたいと最近、読んだらすぐに本を処理してましたが…、これは誰にも渡さない。繰り返し読む。「ここは!」と思うところに付箋を挟みながら読むのですが、付箋だらけになってしまい、すぐに再読体勢に入りました。すごい本でした。

Posted byブクログ