うらやましいボケかた の商品レビュー
御年九十歳になる著者、五木寛之さんは九十歳の壁を「直撃せずに 迂回する」 「よじ登るのではなく回り込む」と知恵のあることを仰っています。そんな五木さんでも「加齢の難しさは、全身くまなく 均一に衰えるのではなく各所バラバラに変化していくことにある」そうで、変形性ひざ関節症を抱えて今...
御年九十歳になる著者、五木寛之さんは九十歳の壁を「直撃せずに 迂回する」 「よじ登るのではなく回り込む」と知恵のあることを仰っています。そんな五木さんでも「加齢の難しさは、全身くまなく 均一に衰えるのではなく各所バラバラに変化していくことにある」そうで、変形性ひざ関節症を抱えて今は杖の生活とのこと。そうであったとしても、九十歳で明瞭な文筆活動が出来ることに驚きです。作家を生業(なりわい)としてきた人の脳は衰えないのですね! 六十五歳で大好きな車の運転をやめた著者。懸命ですし、柔軟です。運転は「できるけど、しない」という一つの美学を感じます。「要するに老人は〈邪魔をせずに〉生きていけばいいのだ。 それが自然のあり方なのだ」と。その言葉には達観した境地を感じます。 戦中、戦後を経験した方なので「国家がいざとなれば 国民に対してどんな非道なこともできる」というのを身をもって知った最後の世代がおっしゃる言葉は含蓄があります。手を洗う習慣が無かったのも過酷な時代を生きてきたからだと。もちろん今は新型コロナウィルスの影響で習慣づいたそうです(笑) この本のタイトルの、羨ましいボケ方の処方箋が書いてあるわけではありませんので、読んだ方はがっかりするかもしれませんが、人は、必ずボケる。ならば「ほんわか と少し緩んだ感じにボケる/人に好かれる ボケ方をする/世の中を明るくするような楽しいボケを目指す」のがテーマだと。すなわち、ここで答えを出さない。これから100歳に向かって五木さんが生きていく姿勢がこのタイトルの答えなのでしょう。 「体は枯れても、心は枯れない。その不自然な矛盾が高齢者の生き方を厄介なものにする」‥と。枯れない心を抱えていることは幸福ではないのでしょうね。老いてのちも楽ではない百歳人生の荒野。「青年だけが 荒野を目指すのではない。 老人の行く手にもまた荒野が広がっている」と言いながらも、湿っぽくならなずに、ぺこぱ の漫才のようにツッコミと見せかけてフォローする、九十歳のつぶやきが、ゆるく優しいエッセイです。 シニアの方にお勧めの本だと思います。 【目次】 九十歳の壁を回り込む 間違いだらけの人生だ 寒さ暑さも還暦まで 下を向いて歩こう ゆっくりした ボケかた 加齢は各所 バラバラに進む 人間の体は奥深くて面白い こども 庁より「ひさ、こし庁」 運転できるけどしない 人はどんな事態にも慣れる 「はい、はい、お先にどうぞ」 無理をしないで ボチボチと 言葉の渦に流されながら ながら 養生法のすすめ マスクの捨てがたい 効用 男たちに覚悟はあるか 明日 どうなるかはわからない きたるべき超インフレ時代 単身 社会の幸福とは 一瞬の出会い、 忘れぬ記憶 変わる時代と変わらぬ 意識 思いがけない不意の涙 百年人生の荒野を行く 「死」は思索から現実へ 記憶の海に漕ぎ出だせば ようやく「禿」の仲間入り 体は枯れても、心は枯れない もはや、こわ いものなしですな 出口はどこかにあるものだ 卆寿 にして知ること 風雨 強かるべしと覚悟する 明鏡止水いまだ遠し 極楽浄土という世界
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ボケる思考、ガタつく体を日々実感しながらも、ひとり軽やかに「老年の荒野」をゆく―人の生き方と考え方、日本も世界も目まぐるしく変わる時代に、ユーモアをまじえて綴った卒寿の本音 【目次】 九十歳の壁を回りこむ 間違いだらけの人生だ 寒さ暑さも還暦まで 下を向いて歩こう ゆっくり...
ボケる思考、ガタつく体を日々実感しながらも、ひとり軽やかに「老年の荒野」をゆく―人の生き方と考え方、日本も世界も目まぐるしく変わる時代に、ユーモアをまじえて綴った卒寿の本音 【目次】 九十歳の壁を回りこむ 間違いだらけの人生だ 寒さ暑さも還暦まで 下を向いて歩こう ゆっくりしたボケかた 加齢は各所バラバラに進む 人間の体は奥深くて面白い こども庁より「ひざ・こし庁」 運転できるけどしない 人はどんな事態にも慣れる 「はいはい、お先にどうぞ」 無理をしないでボチボチと 言葉の渦に流されながら ながら養生法のすすめ マスクの捨てがたい効用 男性たちに覚悟はあるか 明日どうなるかはわからない きたるべき超インフレ時代 単身社会の幸福とは 一瞬の出会い、忘れえぬ記憶 変る時代と変らぬ意識 思いがけない不意の涙 百年人生の荒野をゆく 「死」は思索から現実へ 記憶の海に漕ぎだせば ようやく「禿」の仲間入り あす死ぬとわかっていても 体は枯れても、心は枯れない もはや、こわいものなしですな 出口はどこかにあるものだ 卆寿にして知ること 風雨強かるべしと覚悟する 明鏡止水いまだ遠し 極楽浄土という世界
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※このレビューにはネタバレを含みます
豊昇龍、優勝と大関昇進、おめでとう!「君が代」の前に「モンゴル国歌」を演奏して欲しかった!国技だから君が代はわかる。でも、外国の力士を認め、その力士達が頑張り優勝したのだから、優勝力士の国歌を演奏しその栄誉を称えるべき!相撲協会に猛省を促します! 昨年卒寿を迎えた五木寛之さん「うらやましいボケかた」、2023.3発行。医療の専門家は「できるだけ歩け」と言う。その一方で「無理をしてはいけない」とも言う。氾濫情報の中で数千万人は立ちすくんでいる。こども家庭庁もいいが、ひざ・こし庁でも新設したらどうかw 数千万票が政府与党の支持に回ることはまちがいない。
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タイトルは気難しいおじいちゃんが少しボケてきて、ニコニコして話しやすくなった。「今のおじいちゃんが一番好き」という話から。ボケのは防げない。でもいいボケ方があるんじゃないかということです。 五木寛之のエッセイは比較的常識的なことを書いていて、つまらなくはないのだけど、ぬるま湯の...
タイトルは気難しいおじいちゃんが少しボケてきて、ニコニコして話しやすくなった。「今のおじいちゃんが一番好き」という話から。ボケのは防げない。でもいいボケ方があるんじゃないかということです。 五木寛之のエッセイは比較的常識的なことを書いていて、つまらなくはないのだけど、ぬるま湯のイメージです。ですが90歳ともなると先行く人の体験談が切実で参考になったりしますね。 「荒げる」を「アラゲル」と読んでいたが、「アララゲル」がホントって、最近知って、言葉で仕事をしているのに、こんな年になってるのに、大丈夫かというような話。
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